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私にとって親の愛って、無条件で無尽蔵なものだった。自分の心を騙してまで親の愛を得ようとする子どもたちの努力が切なくて、大人になった彼らがすごく愛しい。私にとっては読んでよかった一冊でした。
けど「なんで急にそこからの目線なの?アッハ!」なあのラストは何?!…いやあのシーンがあるから重くなりすぎないでいいのかな。
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「今日という日が残りの人生の最初の一日。」
まさしくそう思わせてくれる素晴らしい本でした。
書名を見て、エッセイ?小説?
詠美先生も年を重ねて『死』というテーマについにランクアップ?
など、勝手に思い込んでしまってすみませんでした。
これは最良最高の『愛』の話です。
愛っていう言葉は世界中の人達の使っている万能薬のような言葉ではありますが(創太くんのセリフから)一概にそれだけではなく、家族に対しての愛、連れ合いに対しての愛、兄弟同士の愛、友達同士の愛(歪みがあってもなくても)様々な愛がこの本には満ち溢れています。
しみじみと、言葉の流れに身を漂わせて詠美先生って本当にイイなぁ~と
再確認したのでした。
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誰でも生まれた瞬間から死に向かって生きてる。
わかってる事なのに、大切であればあるほど受け入れがたい事実。
血のつながりや、親等で括れるものでも、距離や時間で測れるものでもなくて。
ただ静かに毎日を愛しく生きようと思った。
失う怖さを感じながら、そう感じられる人と。
絶対に自分を大切にしようと思わせてくれる人と。
それってとても幸せな人生なんだと思う。
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久しぶりに山田詠美の文章に触れて、やっぱり好きだって思った。
最近、逝去された知人の事を思いながら、残された家族の事を思いながら読みました。
沢山の素晴らしい言葉が沢山の物語でした。
そこに生きていた事は間違いのない事実、愛おしいその人と共に過ごせた事に感謝するためにも…
亡くなってもその人の誕生日を祝えたら…
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死んだ人間に対する「死んで欲しい」という感覚は、亡霊みたいではあるが、「存在とは何か?」を突きつけてくる。死んだ人間は変わりようが無いし、「存在」を無かった事にするしかないんだが、人の心にある存在を無しにするのは時間が必要だろう。この場合は家族だが、よく聞く話は偉大なる創業者がいて、死んだ後も会社に君臨し、従業員達は死んだ創業者に縛られるというのに似てる。会社も家族みたいなものだし。が、澄夫の場合は家族は別として、学校においてはそんなに偉大だとは思えず、死んで何年たっても先生たちの語り草になるってのが、ちょっと非現実的ではある。
登場人物がなんか面倒な人たちばかりで読んでいてイライラするんだが、父としての誠の影が薄いし、そもそも誠が美加のどこに引かれて再婚したのかもわからないし、家計的な話もしっくりこないし、子供たちは歪んだ恋愛しちゃうし、それを父母は普通に受け入れてるし、なんか浮世離れした家族という印象で、現実感に乏しい。
子連れ同士の再婚家族小説というから、「早春スケッチブック」みたいなテイストを期待したんだが、地に足のつかない浮ついた展開で期待外れな感じ。語り部が子供視点のメリーゴーランド形式ってのは悪くないんだが、これじゃ父母の気持ちがわからないからモヤモヤする。最終章のまさに神視点の展開・オチも緩くて締りがなく、なんかシラケル終わり方。同じ山田の太一と比較しちゃいかんのだろうが、女流作家だとこうなってしまうのかなって感じ。
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再婚で家族となった一家の自慢の長男が落雷で亡くなったことを契機に母は徐々にアルコール依存になっていく。理想的と見えた家族の崩壊。しかし崩壊と見えて再生の兆しも感じられる。
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親の再婚、腹違いの兄弟、
他人が家族になる、血のつながり、つながらないけど家族。
兄の死で、そんな家族が、ある意味分かちがたくつながったような印象。
兄弟姉妹それぞれの視点で描かれる物語。
それぞれの死のとらえかた、とらわれかたがあって、
とらわれすぎちゃった母親との関わりがあって、
でも最終的に、それがちゃんといい感じに着地して、
読後感はいい。
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子連れどおしの再婚。末っ子の誕生。長男の死。アル中の母。
語り手を長女、次男、次女で語り継いでいくところや、家族の死をテーマにした部分が朝井リョウくんの「星やどりの声」を思い出させたのだけど、すぐさま消し去られましたね。こっちはもっとヘヴィ。
特に次男の創太に対する母親のひどい言動には読むたびチクリと胸が痛みました。
もうこの歳になれば、完璧な親ばかりではないのは重々承知してますが、それでもこの母親はひどい。
とは言え、私は子供もいないし、子供を亡くしたこともないので、環境が違っていたら、きっと感じかたも違うのかなと思う。同情の余地はありました。
そして皮肉なことに、この母親の存在があって、血の繋がりのない継父と長女が、そして長女と次男が本当の家族になっていくんですよね。苦しみを共有して。戦友のように。
最後のあれは正直どうなの?って思ったけど、ある意味ハッピーエンドでよかったよかった。でした。
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久々にすっきりする家族ものを読んだ!
親の離婚、再婚、連れ子に腹違いの兄弟姉妹、そして長男の死。壊れた母親。
長男が母親にとって特別な存在って今少しだけわかる。
再読。
澄生への愛情の傾倒、血のつながりを深く考える、つながらない者への薄い愛情。よくよく考えさせられる。
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山田詠美さんの最近刊。彼女が家族を描いた作品。家族の設定が再婚同士かつ片方は死別、そうやってできて幸せを作っていけそうな家族の長男(母親の実子)が雷に撃たれ志望する。その後で壊れてしまう母親を支えながら微妙に揺れ動く壊れ物のような家族のなかで育っていく子供たち。それぞれに葛藤を抱えながら育っていき、恋をすす年齢に達し様々な愛の形を見つけ出す。そんな話なのだが、壊れそうだけれども壊れない家族の形、またその中で育っていく子供たちの心情をうまく描いていて、面白い・楽しいという小説ではないがなかなか楽しめた。
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まさか山田詠美にここまで泣かされるとは思わなかった。
読み終わるとただただ呆然としてしまい、しばらくたっても思い返すと涙がにじんでくる。
彼女の作品は今まで恋愛ものしか読んだことがなかった。
インテリな女と肉体派の男の恋愛を書く作家という勝手なイメージを持っていたので、家族を扱ったこんなにまで胸を打つ作品を描き出すとは。
私が今年読んだ本の中で一番の作品といってもいいほど。
物語は二つの家族が親の再婚により一つになり、さらに新しい命も誕生し新しい家族としてスタートした澄川家。
それは誰もが羨むまさに幸せを絵にかいたような家族だった。
しかし、長男の不運の死によって家族の様相は一変し、息子の死を受け入れられなかった母はアルコール依存症となっていく。
長女、次男、次女のそれぞれの視点から物語は語られるが、とりわけ次男の創太が絡んだ場面になると、もうだめだ。
涙腺決壊。胸がキューンと苦しくなってくる。
次男は父の連れ子で母とは血がつながっていない。
その彼が母と出会った時からずっと一貫して、母が壊れてしまってもなお母に愛されようと寄り添い続ける姿はなんとも切ない。
決して愛情を平等に分け与えるような聖母のような母ではないのに。
ただ、この物語は単なる継子のお涙ちょうだいではもちろんない。
幸せの象徴だった長男の死が重要なファクターだ。
死を抱えながら生きていたらこの母のように精神が徐々に壊死してしまう。
それをどうやって家族は乗り越えていくのか。
決して暗い話ではない。
死者への執着よりも、生きている者が一番大事なんだという作者のメッセージが強く感じられた。
血よりも濃い家族の絆、そして家族の再生。
ラストは希望に満ちた素晴らしい終わり方だった。
新聞や雑誌、各所で取り上げられ、気になっていたこの本。
普段だったら山田詠美は積極的には読まないけれど、読んでみて分かった。何しろ傑作である。
もちろん文章の綺麗さ、巧さは間違いない。
山田詠美と聞いて尻込みする人にも是非読んでもらいたい素敵な作品である。
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このような話を、回想しつつ現代に戻りつつ、その章の語り手の心理を交えつつ、他の登場人物の心理を考察しつつと、読み手に混乱させることなく綴って行くのはかなりな至難な業なのではないかと思われます。
語り手を章ごとに変える構成、どのような人物との関わりが出来てきて深まっていってそれで家族のどこが変化するのか、あるいはしないのか。
とてもよくかんがえられて書かれているなあと。さすが山田詠美先生。
あまりたくさんは実は読んだことがない御作品ですが、いつも
すごいなぁ、と思います。
ひりひりと痛い。でも涙はでませんでした。
私にもこのミカママのような壊れた人格の家族がかつていました。
してあげられなかったことばかりを思い出しながら読みました。
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息子の死に向き合いきれなかった母とその家族の物語。再婚、連れ子と複雑な家庭環境の中にあるそれぞれの人の心情を、ここまで表現できるのはさすが。
人の死という誰にも訪れる、だけど重たい事柄を描いた作品なのに、読後感はなぜか気分が良くなった。
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家族の話
兄弟姉妹の心情が丁寧に書かれている。
山田作品はもっと毒があるのかと
勝手に想像してたけど
なんだか暖かい
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久しぶりに山田詠美さんの作品を読了。
とても良かった。
血の繋がりのない関係が、家族のように一つ屋根の下に集っているという話や設定が、昔から何故かとても好きなのだけど、この作品にも同じ好感を抱いた。
親の再婚で出来た、新しい家族とその崩壊、再生。生きているものと、死んだものと。
決して明るい話ではないけれど、希望が感じられて読後感はとても良いと思った。