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SF小説というのは、子どものためのお話だと思ってたから、ものすごく衝撃だった。
ラムファードの怒りや悲しみや企みや。
ラムファードのいとおしさ。
自分の意思か、全体の意思か。
そこに違いはあるのかな、という運命に対する疑問。
すごく良かった、しばらく経ったらまた読み返したいです。
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人生において最も大切なものは愛である。
そんなポップミュージックで何千何万と唄われてきたことを今さら言われても何も心に響かない。
なんとも軽薄な言葉に聞こえて仕方がない。
愛してるだの恋してるだのという素敵なセリフも毎日毎日繰り返すうちに安くなってゆく。
ラブだのピースだのと装身具のように言い散らす人が果たしてどれだけ平和に頭を悩ませたのだろうか。
常に恋愛していたい。私は愛に生きるのだという人もよく見かける。
それだけが人生の目的になることは幸せなことなのだろうかといつも疑問に思う。
だけどもし、
人生の目的というものがなんとも些細で馬鹿馬鹿しいものだと知ったらどうだろう。
人類の目的ですら、宇宙から見れば三軒先まで行って醤油を買ってくるだけの子どものお使いのような取るに足らないものだとしたらどうするだろう。
僕たちが生きている意味なんてほんとにくだらない理由でしかないと知った後で聞くこの言葉は、少し形が違って見える。
ヴォネガットが人生の目的とは何か考え抜いた末に出した結論は、愛だったのだ。
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ストーリー :☆☆☆
世界観 :☆☆☆☆☆
ビジュアル :☆☆☆
キャラクター:☆☆☆
読みやすさ :☆☆
オススメ度 :読んで損なし!
幼女じゃないですよ。妖女です。
「われはロボット」に続くSFを読もう第二弾。
爆笑問題の太田さんが超オススメしてたので
どんなもんだと思ってたんですが
いや、なんというか、とても難解な物語でした。
ストーリーとしては、
空間と時間の割れ目に落っこちたおじさんと、
運がよすぎるだけで大金持ちな青年が主役。
普段神と呼ばれている地球外生物?の
大きな力に巻き込まれ、
理不尽で、孤独で、無力で…
慢性的に満たされない気持ちと、
向ける相手がわからない怒りを抱えたまま、
火星、水星、そしてタイタンへ
押し流されていく話です。
というか、登場人物全員が
無意味で理不尽な目に合い、
孤独で無力なままです。
善と悪もないし、悪気も男気も色気もない。
どんでん返しもクライマックスもあるようでない。
たまに紙で指を切ったような鮮烈な悲しみがある。
パッと見なにも残らないようで、
そうでないようで、でもこれじゃなぁ、なエンド。
わかんねッ!!(汗)というのが最初の感想だった…
太田さんが解説で、その「わからなさ」が面白い、まるで人生のよう、と書いていて
ちょっと腑に落ちたような。そうでないような。
文章表現は巧みです。ササーッと読めました。
とくに最初のあたりは秀逸。
「お前たちがどこかに行けるなんて考えがどうして出てくるんだね?」
あらゆる物語は、読者がその入り口に立ち、
「この先はどんなところで、なにがあるんだろう」と思いながら
一歩を踏み出していくわけですが、
のっけから「どこにもいけやしないし、なにもない」と
身もフタもないことを言われてしまいます。
「いやそんなはずはない、
自分の足で行って自分の目で見てこよう。
私ならなにか拾ってこれるはず。」
そう思ってタイタンの旅に出てみたものの、終わってみれば
本当に「どこにも行けなかったし、なにもなかった」ので
「そらみろ、なにもなかっただろう」
と言われているようで釈然としません。
本当になにもなかったかというと、そういうわけではないのですが、
光も、地面も、掴んだものも、
あるのかないのかわからないくらい
かすかで頼りなく、ぼやけてよく見えません。
まるで宇宙空間のようですわ。
でも生きることは、そういうことなんだろうか。
私たちは何も持たずそこから来て、
何も得ずそこへ還るんだろうか。
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やっぱしSF大好きです。
それも、理論に基づいて、50年後にはこうなってるでしょう、100年後には十分あり得ます、みたいなんじゃなくて、荒唐無稽なのが。
そして、この小説は、やさしさに溢れてるような、そんな気もします。
読んでて気持ちよくなり、やさしくなれる文章をかけるってのは、これはもう一番すごい。
そんな風に思いました。
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ウン十年振りの再読。読み終わって当時もなんだかぼんやりした印象だったなあ、と思い出す。ヴォネガットはその後好きな作家となったがこの作品に対する思い入れは薄い。基本設定および雰囲気は結構好みなんだけどなあ。
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SFの古典中の古典。半世紀が経過してさすがに古びてはいるものの、名作と言われるだけあって非常に面白い。たぶん訳もいいのだろうけど、ぐいぐい引き込まれる。さらに人間の社会や制度に対する問題意識が現代でも有効に機能している。
海外はいざ知らず、日本においてSFやファンタジーというのはあまり人気がない。アニメやマンガの印象もあろうが、子供向けの、あるいは知的でない娯楽のためだけの商品であり純文学などとは一段劣ると捉える向きは多い。中途半端なインテリ層は特にその傾向が強い気がする(直木賞は取れないという暗黙のルールがあったり、最近だと某氏が「(年収)500万の人はファンタジーに逃げている」なんて言ってたり)。
しかし、それはまあ、SFを知らない人、あるいはSFを読んでも理解できない人による不当な評価だと言っていい。SFというのは、現実離れした単なる夢物語ではない。ある特殊な状況、特殊な環境において社会や制度、人間の行動がいかなる様態を取りうるのかという可能性を検討する一種の思考実験だといえる。そこから現実世界の様々な事象の意味や矛盾点があぶり出され、あるいは日常生活において疑問に思うことのない"現実"の確からしさに揺さぶりがかけられる。"リアル"な話だけが現実を語わけではなく、逆にSFやファンタジーを通して初めて現実の一側面が姿をあらわすこともある。
もちろん、SFやファンタジーならなんでも現実を映すわけではない。そこでは多大な想像力と緻密な構想力とが要求される。しかもそれは、書き手だけでなく読み手に対しても求められ、その要求水準は決して低くない。
しかし、そうであればこそ、書き手と読み手の想像力と構想力が高い水準で合致した時、ときにSFが描く現実は"リアル"が描く現実を凌駕する。
科学的にはあまりに古くあまりに厳密さを欠くSF作品が半世紀を経た今でも名作として読まれるのは、まさにこの想像力と構想力による高度な思考実験がこの作品で実現されているからなのだと思う。
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不思議な感じ
全宇宙の全能者が人類を手足のように動かし、未来を作ろうとする。主人公は「手足のように動かされる被害者」なんだが、実は全能者こそが「動かされていた」ことに気づく。とにかく奥が深く、どこかで読んだ感じのする不思議な作品だった。
驚くべき事は、この作品が1959
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妖女という名前の響きで買ったけど妖女の話ではなかった。
でも、うまくまとめられないけど面白かったのでよし!
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友達に薦められて読んだ。
不思議な感じ。でも面白い。
どんなところが面白いかは・・・答えにくい。
ただ、いろいろな場面で考えさせられるような言葉があった。
「誰にとってもいちばん不幸なことがあるとしたら、それはだれにもなにごとにも利用されないことである」って文章などなど。
何年かしたらもう一度読んでみようと思う。
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世界と宇宙と人間と予言と科学と幻想の物語。すごいストーリーで眠れる獅子でコメディーでトラジェリーでデフォルマシオンでインフェルノだった。SFのレモンといってもいいけど、後味はすごいことになる。トレパネーション。
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人間を宇宙的に見たとき、不思議な動きをしているんだろうな、と思うことがある。
見えもせず感知もできない宗教の相違について戦争を起こしたり、文明を作っては壊したり、生まれてくるのに自殺したり、あっちからこっちに行く人間がいるかと思えば、こっちからあっちへ行く人間がいたり。「タイタンの妖女」は、そうした人間の異様さを外側から描いている小説だ。だから皮肉がきいているし、運命の残酷さを隠すことなく描いていて、人間として不思議な気分になる。「私たちはどうしてこんな動きをしているんだっけ?」って。文体的な読み辛さも、読了してしまうと人生を思い出すときみたいにばらばらに、でも順序立てて経験として残るように思い出されて、この本が伝えたいのは「概念」なんだろうなと思った。
最後、爆笑問題の太田光による解説がよく書かれていて驚いた。太田光ってなにしてる人なのか全然知らなかったけど、一気に興味湧いたし、感動した。
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原文で読んでみたい。
「よろしく」というメッセージは、機械を超越して命令に背けたサロに向けてのものなのか、
トラルファマドール星人をも利用した生命からのコミニュケーションなのか。
まあ、どちらにせよばかばかしい。
汚いジジイが欠陥機械の催眠術でラリって天国へU.F.O.で飛んでいくラストは最高のジョークだと思う。
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ヴォネガットの書いたもので読み逃していたもののいくつかのうちのひとつ。
細部はドタバタだけど、総体としては壮麗巧緻。面白かった。
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面白かった。コンスタントはラストだけ救われたな(笑)。中盤からコンスタントが大変な目に遭いますが、流転の人生は読み応えがありました。人は所詮、何者かに必要とされ、利用されないと生きられないのかも。哲学的な本でもありました。
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2012.2.11読了。
2年程前からずっと読んでみたかった作品。やっと読むことができた。
いまいち掴み所のない、不思議な小説。展開がドタバタというか、切った貼ったしたような印象を受ける。
しかし物語を総体として捉えてみたとき、これがものすごい作品だということに気が付いた。
人生ってなんだろう。自由意思ってなんだろう。
ラストが本当に本当に素晴らしい。感動。
訳がちょっと古すぎる気がする。
理解しにくいところが数か所あった。それだけが残念。