投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
シニカル。だけどどこか優しい。こういうユーモアが好き。
初めて読んだカート・ヴォネガット・ジュニアは、なかなかぴったりだった。
おじさんのおはなしをもっと読みたい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
SFと呼ぶには とても柔らかな手触り
新装版なので太田さんのあとがきも読めます
綻びがない世界観の中で
不必要に固結びされずに
くるくる体温を変えながら波打つ文章は
特に色の比喩がとても美しくて
水星のハーモニウムの描写なんかには
宮沢賢治のそれが重なります
和訳がまた素晴らしいです
作品に対する物凄い愛情が
文字から零れて伝わって来る
飲み込み難さで洋書を敬遠しがちな人でも
きっと楽しめると思います
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
ストーリー★★★★★
登場人物 ★★★
内面描写 ★★★
耽読度 ★★★★
読後感 ★★★★
登場人物紹介
マラカイ・コンスタント
40歳。記憶を消され火星陸軍として操作される。
操られてることに気付き家族と脱走を試みるが失敗し
しかも分隊の相棒ボアズと地球に向かうつもりが水星に行ってしまう。
3年後水星を脱出し地球に到着。
その後家族と土星の衛星タイタンに向かう。
そして74歳。妻が死に、サロに地球へ送ってもらう。
地球に到着した午前三時、雪の中遅延したバスを2時間待ってる間に死亡。
死に際に親友と再会する夢を見た。
ウィンストン・ナイルス・ラムファード
自家用宇宙船で愛犬と宇宙の旅の途中、時間等曲率漏斗につっこんでしまった。
それからラムファードは過去と未来を知るようになる。
最終的にタイタンでコンスタントと会ったときに太陽系を去って宇宙のどこかへ送られた。
ビアトリス・ラムファード
ラムファードの元妻。火星から運ばれている途中
コンスタントに犯された。
その後火星ではシューリマン呼吸法教習所で教官を務めた。
戦争で地球に向かった際、アマゾンに不時着し1年間ジャングルで過ごし
ラムフォードの差し向けたヘリコプターで救助される。
その後売店で働き、コンスタントと息子と共に土星の衛星タイタンへ行く。
「太陽系の生命の真の目的」という本を書くことに没頭し
書き加えた部分をコンスタントに朗読する生活を送った
クロノ
コンスタントとビアトリスの息子。ドイツ式三角ベースが得意。
サロの宇宙船の交換部品を工場を拾い幸運のお守りと称して常に持ち歩く。
父親であるコンスタントと初対面した際に「地獄へ失せやがれ」と言い放った。
火星地球戦争の際に母とアマゾンに不時着し救助された後、
非行少年として警察の間で有名になった。
両親と共にタイタン到着後は、交換部品をサロの死骸の上に捨てた。
余生はタイタンの鳥と一緒に生活を共にし、夜更けにときより叫んで過ごした。
42歳のときに母は死に、父とサロは地球へ行ってしまった。
サロ
トラルファマドール星の機械。
ミカン色の皮膚に三本の細い足、腕は無く、目が3つ。という外見をしている。
足は膨らませることもでき、すぼませると吸盤となる。
トラルファマドール星の政府樹立一億年記念祝典の日に代表として選ばれ
トラルファマドール星のメッセージを送りうる限りの遠くの生物に届ける仕事を託された。
しかし宇宙船が故障しタイタンに不時着、交換部品が届くのを待った。
トラルファマドール星人は地球人類の文明が交換部品を製造できるように人類の歴史を操作した。
サロは交換部品の到着を待ってる間、タイタンの泥炭で彫刻を二百万個作った。
ラムファードにメッセージの中身を教えてほしいと言われ拒否した際
大喧嘩になり侮辱されまくった。ラムファードが太陽系を去ったあと
コンスタント達にはメッセージの内容を教え、その後自分自信を分解し自殺した。
その後コンスタントにより元通りに組み立てられ
コンスタントを地球へ送り届け、再びメッセージを届ける旅に出た。
ボアズ
コンスタントの相棒。23歳。火星陸軍で本当の司令官の内のひとり。
分隊仲間をどんなふうにでも動かせる制御盤を持っている。
本当の司令官で集まっては制御盤で操って将軍たちを裸で競争させたりして遊んでた。
脱走したコンスタントを追い掛け、水星行きの宇宙船に乗ってしまう。
宇宙船で眠っている間に制御盤を壊された。
水星到着後は水星の生き物ハーモニウムに自分の生き甲斐を見い出し
地球へ戻らず水星に残った。
カザック
ラムファードの愛犬。
タイタンにてセント・エルモの火に包まれる。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
タイタンの妖女は、私にとって初めて読んだと言ってもよい海外SF作品。カート・ヴォネガットの著書を読むのも初めて。
これまでSFというと、スピルバーグ映画のような、叙情表現は少なく、「未来」「宇宙」というモチーフを使って展開されるエンターテイメント寄りの作品というイメージがあった。
しかし、タイタンの妖女は私のそんな偏見を良い意味で裏切ってくれた。あとがきに爆笑問題の太田光が、私のような人間にとっては読みにくい作品かも、というようなことを指摘していたが、そんなことはなかった。(確かに取っ掛かりの部分は理解しにくかったけれど・・・・・・・)
というのも、物語が冒険、宇宙旅行、といた明るいお話ではなくて、宗教や戦争、孤独、裏切り、追放など終始切ない、というかかなり主人公にとってシビアなお話だったからだ。
とにかくこの物語で一貫しているのは、決して逃げられない不条理であると思う。でも不条理な災厄に見舞われた人たちは、それを受け入れ、意味のようなものを見出していく。生きるための希望とまではいかないが、それぞれが自分自身を温める陽光を見つける。
主人公を含む登場人物たちに降りかかる仕打ちは容赦ないのに、救いのない話ではなかった。
誰かに必要とされて、利用されて幸福だと思える人間たちは美しかった。
たとえ他者の欲望を満たすことや、夢を叶えるコマとして使われたとしても、自分がそこに存在し、何かをしたということは消えてなくなるわけではなく、無意味ではないのかもしれない。
いろいろ思うことがありすぎて、うまくまとめられないけれど、ラムファードの作った宗教はおもしろかったし(良いという意味じゃない)、サロという機械の自殺や火星人たちの自殺、みんなが一連して誰かに利用されていたことなんかは本当にすごい、よく考えたなーすごい!という感想。
生まれ変わったらハーモニウムになりたい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
人の存在意義、真理…そんな事を語ると一様暗く救いがたい後味になるもの。
でもこの本は物語自体が面白く、荒唐無稽でそうした虚しさとは一歩違った読後感へ導いてくれる。
自分を過信していた価値観から突き落とされ、どん底から真理を見つけ、そこからもまた断絶され…。それらがまた輪廻する。愛おしい物語。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「過去に存在したあらゆるものは、これからもつねに存在し続けるだろうし、未来に存在するであろうあらゆるものはこれまでも常に存在したんだ。」
ニーチェの永劫回帰を思わせる決定論的な歴史法則に翻弄される人々。
悲劇であることを徹底しているからこそ、『タイタンの妖女』は喜劇である。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
いろんな星を巡り巡って、その物語にあったオチに笑ってしまいました。たったあれだけのために宇宙規模での動きがあったっていうのが馬鹿馬鹿しすぎる(笑)
でも、最後のシーン。温かい夢をみさせてくれるのがヴォネガットの優しさであり、とても惹かれるところだ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
川上未映子が勧めていたので読む。面白かった。突飛なSFで現実味はまるでないんだけど、生きることに付随する様々な問題について、自分の見方を刺激するようなエピソードがいくつもあった。断片的なシーンが心に残るのは萩尾望都「銀の三角」に似てるかも。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
このような世界を思い描けるヴォネガットの頭の中を覗いてみたい。
核兵器を打ちつくし、新しい宗教を受け入れた地球
地球人のために亡者となる人々が住む火星
人を傷付けたくない者にとっての安住の地となる水星
そして美しいタイタン
軽快なテンポで進む楽しい楽しい物語である一方、端々で色々考えさせられる。
人を利用することと、人に利用されること。
幸せの選択は非常に難しい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
学生時代(30年以上前)にヴォネガット作品はよく読んでいて、
これも読んだはずだけど、内容はほとんど忘れていました。
今回、再読して大きな発見をしました。
現代ネット社会のクラウドを予言している箇所があります。
トラルファマドール星のロサが、託されたメッセージを起草した知性について説明するところです。
「・・それは、みんなが一吹きずつの靄をもちよった雲のようなもので、その雲がみんなのかわりにあらゆる重大な思考をやってくれるんだ。・・」
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
面白かった。
不思議な物語。
現実的かつ非現実的 な感じ。
いや、非現実的かつ現実的?現実って?
時間を置いて、読み返したい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
図書館で借りました。この方の本は以前何かを読みかけて挫折した思い出があるので最後まで読み終えられるかなあ…と心配に思っていたのですが時間はかかりましたが完読出来ました。面白かったと言うよりは…何となく寂しいお話でした。
読んでいて強く感じたことはこれはキリスト教圏の人が書いた話だなあということでした。根底に絶対神という概念を持っている人でなければ出てこない発想だな、と。そしてある意味、敬虔なキリスト教徒のお話だと思いました。
一人の神が、もしくは一人の人間が、一種の異星人(機械?)が操作して人々の人生を、運命を決定している。最初その観念に非常に不公平さを感じてラムファード氏にムカムカしていたのですが。でも訳はわからないが人生が何だかわからない力により決定づけられているのであれば、それが神だろうが一個人だろうが機械だろうがその人生を生きている個人には関係ないのではないか。その人はその人の生を生きるだけなのではないかと考えるようになりました。個人的には自分の人生が決められているとは思えないし思いたくはないのですが。まあ知らなければどっちでも同じことだよね、と思ったりはします。所詮自分はそのようにしか生きられなかったのだろうと言う諦めともしかしたら自負と共に。
最後に、「生を受けさせてくれてありがとう」という台詞があり救われた気がしました。どのような形でもどのような人生でも誕生しなければ始まらないし人生は謳歌出来るのかと心強く思いました。たとえタイタンでも異種生物の中でも人は楽しく生きて行けるのかもしれない。それはとても頼もしい考え方です。
気が向いたら英語で読んでみたいな、と思いました。他の作品もまた読んでみようかな。本との出会いも縁だなあ…としみじみ思い返しました。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
あらゆる時間と場所に波動現象として存在する男ラムファードと、彼に人生を狂わされた大富豪コンスタントの物語。悪趣味なまでに壮大なブラックユーモアで溢れています。コンスタントを火星へと駆り立てた動機のオチとか、ラムファードが地球で流行らせた宗教の陳腐さ等々挙げ始めればきりがありません。自分にとっては笑うというよりも苦笑いがどこまでも続いた感じでしたが、読みやすくて物語の吸引力がすごかったです。登場人物たちが幸せだったとは自分には思えなかったけれども、こういう面白さがあるのかと知れた一冊でした。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
何だか懐かしい感じがしたのは、読後の心持ちが、小学生の頃読んだ西遊記や三国志のそれに似ていたからかもしれない。
太陽系を主人公と共に旅をする。旅をしながら幸・不幸と人生をかんがえる、感じる。そんな一冊かなと思う。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
2012年9月の課題本の1つです。
http://www.nekomachi-club.com/
--------------------
荒唐無稽なストーリーのSF小説。場面や登場人物が突然変わり、様々な出来事が唐突に散りばめられています。場面は、「地球・火星・水星・地球・タイタン」というように急に移り変わります。登場人物だって、説明もろくにないままに名前が変わったりします。慣れない人ははっきり言って読みにくい。
読みにくい人へ向けてアドバイス。どの惑星で読み終わってもいいんです。それぞれの惑星では、それぞれの性質があります。
・徹底的に平等な世界
・誰も傷つけない世界
・すべてが管理された世界。
主人公と一緒に惑星の旅を続けましょう。火星や水星で留まるのか、最後の惑星タイタンまで行くのか、それは読者の自由です。
爆笑問題の太田光さんの解説では、星座に例えた話が出てきます。人間たちは、星と星を勝手につなげて、○○座と命名して楽しむ。その考え方をこの物語にも応用してください。それぞれの惑星の物語を楽しんだ後、つながりを考えてみてください。
ハードボイルドな文体なゆえ、無駄な描写や説明も少ない。それぞれの登場人物の行動から、読者自身の解釈を加えて感情移入してみてください。読者の解釈次第で『タイタンの妖女』はどこまでも広がります。