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みんなのレビュー39件

みんなの評価4.1

評価内訳

  • 星 5 (12件)
  • 星 4 (16件)
  • 星 3 (10件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
35 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

<香りたつ官能、美しき異端、乾いた虚無感>というカバーにあったコピーに不審を抱いたけれど、読んでみて「おお!」と得心。「マタイ受難曲」がもたらしたという直木賞作品。

2001/08/08 10:36

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 小池真理子さんというと、「悪女というものは、こういうものなのよ。こういう魅力で男をたらしこむの」調のエッセイばかり書いていたような印象があって、そういう調子の小説を読まされてもなあ…と、ずっと食わず嫌いのままでいた。直木賞受賞の本書も、タイトルと表紙の写真が何やら気はずかしくて、気にはなっていたのだけれど手に取れずにいた。
 夫君の藤田宜永さんが直木賞を取って夫婦のW受賞−−じゃ、奥さんの受賞作からでも読んでみっかなという気になった。そのニュースを知らなかったら、すれ違っていたはず。人との出会いと同様、本との出会いとは不思議なものなのだ。

 まったく癖のない文章。いったん頭のなかに留めておいて、その意味するところを多角的に検討しなくてはならないような、いかにも文学的な暗喩とか形容がほとんどない。出てくる男女の会話もナチュラルだ。会話の相手と読者に、こいつは一筋縄じゃいかないなと思わせる形而上学的な内容やけれん味がない。
 そりゃ、そういう文体で、そういうキャラクター設定なんだと言ってしまえばそれまでだけれど、快調に読み進めていくうちにすっぽりと著者のふところに取り込まれ、そこでいよいよ毒をなめさせられるという感じ。

 実際、読み終わってみると、浅間山荘事件が時代のなかでどういう位置づけができる出来事だったのかとか、人を恋するということのなかで肉欲はどんな意味をもつのかとか、罪を犯したものはそれをどう償いどう裁きを受けるべきなのかとか、ずいぶん日常から異なる地平に連れてこられていたのだということに気がついて驚く。ディープだ。その意味においてなら、小池真理子という作家は人が悪い。確かに悪女と言っていいと思う。

 物語は、一人の女性の葬儀から始まり、それに先立つ死の床の様子が描かれる。女性には、人を殺したという過去がある。それも、連合赤軍が起こした浅間山荘事件が解決をみた日、その膝元の軽井沢の別荘が舞台だった。

 まっすぐな性格の女子大生だった布美子は、英米文学を専攻する他大学の助教授が手がける官能的な大作文学の下訳を手伝うことになる。助教授には元華族の令嬢であった美しい妻がおり、夫婦は、布美子を囲む学生運動の潮流にはまるで影響を受けない超然としたところで、常識を外れた性生活を営んでいる。
 夫婦との世界の違いを意識しながらも、美しい二人の存在に惹かれ、徐々にその世界で息づくようになっていく布美子。孤独を忘れ、夢のように心地よく楽しい日々を二人と過しながら、彼女は、自分がそのカップルを同等に愛していることに気づく。
 しかし、好ましい3人の関係のバランスをこわす男性がある日現われ…。

 神が己れの中に降り立ってきた瞬間を迎えてこの小説が書けたとあとがきで述べられているが、終章はその通り、圧巻である。大切なものを人がどう扱うかということが痛いぐらいに書かれているのだ。「人生を賭けて」ということがリアルに迫ってくる。

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紙の本

胸がバクバクするくらい、すごい名作

2022/03/08 15:51

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

第114回直木賞受賞作。(1996年)
 1972年2月28日、雪の軽井沢で起こった連合赤軍によるあさま山荘事件は犯人逮捕の瞬間を迎えていた。それと時を同じくして、同じ軽井沢の別荘で起こった女子学生による男性射殺事件。この長い物語は、何故その事件が起こったのかを描くミステリーである。
 この回の直木賞は五木寛之委員によれば「ほとんど満票と言っていい支持」だったそうで、田辺聖子委員は「軽井沢の風のようにすぎてゆく人生の一瞬を見る思いのする佳篇」と絶賛している。

 2022年はあさま山荘事件から50年となる。
 だとしたら、小池真理子さんが描いたこの物語の事件からも50年となる。
 犯人となった女子学生布美子は、物語の冒頭の1995年に45歳で亡くなっている(つまり、この物語は病気で死を覚悟した彼女がその直前に語った秘密の出来事という構成である)が、彼女を事件へと誘った大学助教授片瀬と妻雛子は、もしかしたら、まだ存命であるかもしれない。
 物語の、虚構の世界の登場人物ながら、彼らにとって50年という時間はどれだけのものだったろうか、とつい考えてしまう。
 同時に、この衝撃的な作品を読んだ読者にとっても、流れた歳月はどうであっただろう。
 田辺聖子さんがいうように、それは「人生の一瞬」であったかもしれないが、人生とはそんな一瞬があればこそ成り立っているのかもしれない。

 主人公布美子が知らないまま逝ってしまった、その最後の謎を知った時、胸に感動の大きな波が立ち上がるようであった。
 すごい作品だ。

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紙の本

恋、その力

2004/10/11 16:38

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:タール - この投稿者のレビュー一覧を見る

小池真理子の耽美の世界は、昼メロチックな泥沼劇になりそうな
ストーリーであっても、少女マンガの夢物語のイメージが絵として
見えてくるほどに美しい。
ところがそれと同時に、現実味のある皮膚感覚や手厳しい精神分析を
自分の体験のように痛く感じることで、“作り物”であることを忘れさせられ、
そのリアルな物語の世界に没頭するしかなくなってしまう。いったん
読み始めると、すべてを知るまでどうにも自制が効かなくなる。

冒頭近く、「この話には重大な“秘密”がある」ということが明かされる。
そのため、読み薦めながら後半深くになるまでずっと、登場人物の性格を探り、
出来事を反芻し、いったいその先にどんな秘密の暴露が可能であろうかと、
必死になって推理をしている自分に気がついた。「秘密」というキーワード
ばかりが頭から離れずにいたため、この本のタイトルは『秘密』だっただろうか、
などと考えたりもした。もしかしてこれは恋愛小説ではなく、推理小説だったの
だろうか、とも思った。
ところが、タイトルである「恋」の意味がわかった途端、
「秘密」というキーワードはその強い拘束力を失ったのである。
秘密は確かに衝撃的だった。予想のつかないものだった。ところが、
この作品に描かれる「恋」の前では、「秘密」はもはや二の次となっていた。

これは、やはり『恋』だった。愚かで浅ましくてやりきれないのが恋心であり、
人を破滅に導くまで暴走を止められないのが恋である。
耽美と退廃の小池文学極まれり。そんな迫力で迫る大作だった。

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2005/10/19 23:15

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2005/10/31 14:17

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2005/11/10 23:39

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2006/05/16 18:02

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2008/04/12 22:53

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2008/09/06 15:57

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2009/03/28 23:06

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2009/07/05 11:55

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2009/12/17 00:29

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2011/03/22 01:14

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2010/08/15 16:49

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