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「ニサッタニサッタ」の前日譚。エエ味出してたあのとわさんが主人公。
大正から戦前戦中戦後といえば、戦争で悲惨なことになったとはいえ、文明国家だと思っていたの本。俺らの祖父祖母の時代だから地続きの世界と思っていたが、北海道開拓史においてはl、こうまで俺の知らない過酷な世界だったとは。
それにしても、主人公とわ、そしてその母親のたくましさ、しぶとさが素晴らしい。物語の中で何度も何度もしつこいくらいに悲惨な目にあう、とわさんや母親。それでも彼女らは生き延びること、子供や家族をなんとしてでも養うこと、それだけを念頭に「今日を生き延びる、今日をやり過ごす」ことに集中する。そして何度も何度も地べたを這い、泥水をすするような事態にあっても、生き延びてゆく。その描写のすさまじさに眉間にしわが寄るのを止められない。そしてなぜか、とても大きな勇気をもらえる。
彼女らの境遇からすれば、俺なんてまだまだ生きていけるし食えてるし眠れてるし逃げ場もたんまりあるじゃないか。もっともっとあがけるじゃないか。
できれば、お国を運営している連中に読んでもらいたい。連中の舵の取り方、羅針盤の見方一つで、どれだけの尊い命が無駄にされていくか。しかと心に焼き付けてほしい。
とわさんのお兄さんはじめ戦争で散っていった命一つ一つをないがしろにするつもりは一切ない、だが国の舵を握った連中が間違った航路を進めば尊い命が無駄死と化すのだということを、俺たちもしかと覚えておきたい。
「お国のいうことは信じちゃなんめえ」
パヨクるつもりはないが、作中に出てくるこの言葉の重み、きっちり感じておこう。
それにしても、男連中の情けなさ…父親、義父、亭主、孫(これはニサッタニサッタの方)、まさかの三吉までもが実になさけないダメ人間。
俺もその仲間かもしれないなぁ。老い先も短い人生とはいえ、もうちょっと生きるしたたかさを持つようにしたい
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戦中・戦後の北海道開拓史を、とわ家族を中心に丹念な自然・人物描写と独特の表現で綴られた作品。世の不条理や国策に踊らされる人々。それとなく挿し入れられた主義主張。端折れる部分もあるが、これはまあこれでいいだろう。
「だからせめて深呼吸の一つでもして、あとは時をやり過ごす。そんなときには、笑っているより他、出来ることもないと思う。だから何となく笑うようになったのかも知れない。」
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主人公、とわの人生後編。戦火が激しくなり、生きろよ、なんとしても生きろ、と言った人たちが死んでいく。そんななかで思い通りにならない人生を、どう生きるのか。次の世代へとバトンを託す小説。
アイヌの文化を知りたくて課題図書的に読んだのだが、個人的には恋愛模様や人間の生き死にが、「こうなるだろう」と高をくくっていたところをみごとに裏切られて、読み終わって、もやついた。たぶん、理解するには今の自分では若いのだと思う。もう少し年を取ってから、もう一度読み直すと思う。
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力強い物語。
舞台は、北海道知床。大正から昭和にかけての、開拓者の家の娘、とわの物語。とわ自身の意志で入植したわけでもなく、足を前に進ませる明るい夢があるわけでもなく、それでも流されるだけではない。懸命に生活を営む物語はたくましく、力強い。
NHKの朝ドラに刺激されて、久しぶりに再読。
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乃南アサの描き方がすごい。
読んでるうちに感情移入どころか、その本人になってくる。笑笑
わたしはトワです。って。なる。ホントに。
とわになって物語に翻弄される。
知床開拓に来た家族の苦労話、苦戦話なんだけど。わたしが動き出す。夫や家族、バッタ、冷害その他いろんなものに振り回されて、それでも家族を守らんとして必死に生き続けるそのとわやトワのお母さんになってる。読んでる間は完全になっちゃうのよ。わたしを一人ここに残して、完全に『あんにゃは我慢しすぎるけぇ』とか呟いちゃうから。
もう、本を読んでるこのわたしすらトワでした。笑笑
人生の落ち込み、浮き、そしてまた落ち込み、それで少しづつ年を重ねていくそのとわの人生を自分の体で再体験するようなそんな一冊です。
乃南アサがすごい。ホント。ここまで引き込むか。
物語自体はさほどじゃないんだけど、歴史を追うような内容なのに、何故かわたしの目の前に大量のバッタが登場したりするんだ。
これ、乃南アサマジック。
凄まじです。
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壮大な話だった。選択肢がないとはいえ、自分なら、とわのように力強く生きられるか?現代の日々の悩みが本当に些末なことに感じる。
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方言での読み方が最初戸惑ったが、読み進むうちに慣れた。知床、カムイワッカの滝等にはバイクで1985年に行ったが、あの辺が大正時代からの開拓で苦労したのは初耳でした。大正時代から昭和、戦争を経て苦労続きだが、子宝に恵まれどちらかといえばハッピーエンドで良かったです。
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知床を舞台に開拓民少女が過酷な自然、貧しさ、戦争を生き抜く
息子が小学生の時に自由研究でアイヌ文化を勉強していて、夏休みにアイヌを学ぶ旅で道東に行く前に一度読みました。
そして、知床半島の美しい知床連山と知床五胡に心を打たれながら、開拓民の壮絶な人生を思っていました。
再読し、また心に重く深く。
時代の流れと運命は受け入れ、その中で力強く精一杯に生きる、ということ
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とわの生きる力が凄いと思った。
昔の人のたくましさと、今自分たちがどれだけ恵まれた時代に生きてるのかが分かった。