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「蒼穹の昴」から続きシリーズ4作目。
張作霖爆殺事件の背景を紐解いていく内容。
一冊なのですぐに読み終えてしまうが、中国近代史に興味を持つのにはいい本だと思う。
史実とフィクションが入り交じっているので、どこかでが史実なのか興味が出てきた。というか、そもそも史実が真実かは不明なので、これを正とするというのもいいのかもだけど。
そして、やはり張作霖はかっこいい!
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「蒼穹の昴」、「珍妃の井戸」、「中原の虹」に続く浅田次郎の中国近現代史シリーズ。張作霖謀殺事件を舞台に、事後のレポートと張作霖を運んだ伝説の蒸気機関車のモノローグと二つの視点を交互に挟んで描いていく。
13年春に文庫本化されてすぐに買ったものの、ずっと途中のままでカバンの中に入っていた。やっと読み終えました。
「蒼穹の昴」や「中原の虹」とかと違って、1冊だけなのでその気になればすぐ読めるんですが、要所要所に挟み込まれる、俺って中国事情とか中国語に詳しいんだぜと言わんばかりのエピソードやルビふりにイラッとしたりもしながらも、浅田次郎だなぁとそこに楽しみを感じて見たり。
「蒼穹の昴」や「珍妃の井戸」を読んで、北京に何度か通ったりしましたが、また、奉天、瀋陽に行きたくなりました。って、2008年に瀋陽には行っていて、張氏帥府も訪れていますが、当時は張作霖にそんなに興味はなくて、近代史で名前がちらっと出てくる人っていう位しか認識がなかったからね。
まあ、春児が最後に出てきて、おいしいところを持っていくのは、浅田次郎のこのシリーズとしてはお約束なので、しかたないんでしょうね。
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蒼穹の昴、珍妃の井戸、中原の虹から続く、中国の富と欲望渦巻く動乱の時代を描いた壮大な叙事詩の最終章。
大平原から御料列車へ舞台が移っても、やはり張作霖は張作霖だった。
末期の際まで颯爽と時代を駆け抜けた様は眩しくも鮮やかの一語に尽きる。
まあ人物像は作者の創作だろうけど。
とはいえ、シリーズ物としてではなく一冊のみで評価するなら正直物足りない気もする。張作霖爆殺事件が関東軍の工作だということは、序章から公然の秘密となっており、最後まで読み進めても傍証となる事実は結論を補強するだけで、急展開が待ち受けているわけでもない。「思ったよりも大掛かりな陰謀だったけど、概ね予想通りでした」といったところ。まあ史実なのだからあまり脚色出来ないのだろうけど、小説の展開としては些か退屈に感じた。
あくまで、シリーズのカーテンコールという位置づけか。
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蒼穹の昴から始まる中国の歴史もの最終章、ということで読んだけども、もう全体で言えばエピローグ部分に近いこともあって結構あっさりで、これ単体での評価はそこまで高くない。でも、シリーズの最後という形で読めばあり、ですかね。
最後の吉永さんの独白の仕方はどうかと思うけど。
鉄道の擬人化は個人的にはありです。
最初何が始まったかと思ったけど歴史事実に照らし合わせて、こいつが爆破されるやつか、とわかったらありでした。
張学良の物語も読みたい気もするけど、あえてここで終わった方がいんだろうな。
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シリーズ4作目。
張作霖の爆殺事件の真相を語る物語。
その語り部は、天皇から調査を命じられた主人公の天皇への報告書(マンチュリアンレポート)と爆破された機関車(擬人化された機関車)が交互にストーリを語っていきます。
擬人化された機関車が語り部とはさすが浅田次郎と思いました。(でもかなり違和感あり)
さらには、最後に真相を語る吉永中佐。
そして、マンチュリアンレポートの第7信。
正直、技巧に走りすぎでは?って思います。
そうはいいながらも、今までの背景を知っていると、じんわりと悲しみが押し寄せます。さらには張作霖の覚悟と生き様に心揺さぶられます。
これは、本作だけを読んでもきっとつまらないでしょう。中原の虹から読まないとその感動は味わえないと思います。
いくつか、いくらなんでも!!っていうところがありましたが差し引きしても中原の虹の続編としては満足です。
しかし、さらにその先を知りたくなりました。
これまた、続きがでるのかな。その辺期待しちゃいます!
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『中原の虹』から連続で読み始めてみた。前作で長城を越えた張作霖のその後の苦悩、そして非業の死。それを追う日本の陸軍中将。2つの視点から、歴史的出来事を深く考察していく。その中で、張作霖の想いに触れ、その涙のシーンではおもわずぐっとくる。これはやはり必ず『蒼穹の昴』『中原の虹』とともに読むべきものである。
そして張学良の物語を是非読みたいと思う。
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天皇陛下から直々に張作霖爆殺の真相を探るよう密命を受けた陸軍中尉志津邦陽が、手紙の形で陛下に認めた満州からの報告書「マンチュリアンレポート」。
事件の首謀者である関東軍に対する痛烈な義憤と張作霖という草原の英雄に対する
深い愛惜の想いがこの小説の骨格を成している。浅田次郎は、義と情の人だと思う。
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『蒼穹の昴』の登場人物と重複していたので、イメージが湧きやすかった。
歴史小説と言うより、エンターテーメント性が強く感じる。『蒼穹・・』の西太后が可愛いおばさんに描かれていたように、天皇も、関東軍の一部の軍人も、張作霖も、それぞれ苦悩を抱えた良人に描かれている。
中国からも、日本からも角が立たないような、八方美人的な纏め方に、多少なりとも不満が残ったが、浅田氏が広く読まれている秘訣とも思える。近代日本の中国へ侵攻の流れが分かり易かった。
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蒼穹の昴、中原の虹を読んでから年数が経ち過ぎてたけど、それでも懐かしい気持ちが蘇った。予想していたより断然読みやすい展開なのはさすが。
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「蒼穹の昴」から連綿と続く中国シリーズの、目下最終巻。張作霖爆殺事件の真相を探る歴史ミステリーの体裁をとってます。
昭和史の闇に対する浅田氏の見解、という視点で読めばなかなかに面白いのですが、清朝末期のありのままを壮大かつ意外な切り口で世に出した本シリーズのラストがこれか、と思うと正直…。きかんしゃトーマスとトップハム・ハット卿の漫才が始まった時には本当にどうしようかと思いました。
西太后、光緒帝、李鴻章、袁世凱にトーマス・バートン…魅力的なキャラクターが軒並み退場してしまうと、こんなものなのでしょうか。そして史了どこ行った?ずっと読み続けてきてこの結末は、寂しさを禁じえません。
「蒼穹の昴」と「中原の虹」の間に「珍妃の井戸」があったように、本書も幕間である事を期待したいものです。もっとも、この先続けても雄大さは感じられるのかなあ…。
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いよいよ刊行開始になったシリーズ最新作「天子蒙塵」。その前の本作は、さていつ頃読んだのだったかな、と思って本棚を検索してみてビックリ。なんと登録してませんでした。ちょっと細かい内容までは忘れてしまったのですが、満鉄を擬人化しつつ、張作霖爆破事件に至る各人の動向を、それぞれの視点から描ききった力作だったと記憶します。というかそんな建前はどうあれ、本シリーズで心打たれなかった作品はないんですけどね。という訳で、本作を登録しつつ、上記最新作を存分に楽しませてもらおうと思う次第。
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初めて浅田次郎を読み終えて、これは面白かった。まず構成が面白い。張作霖の事件を批判して投獄された軍人が天皇の命を受けて事件を調べるため、大陸に渡る。そこからの彼の報告書と張作霖がその中で爆死した豪華な機関車の独白という二部構成で、交代に話が進められていく。まず序章で浅田が言いたいであろうことが多く語られる。ありえないことがありそうに思えてくる。ただ機関車の独白部分は少し感傷的な所があるのが気にはなる。
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蒼穹の昴から約3ヶ月ほどかけて全十冊読破。最初から最後まで実在した人物と架空の人物が入り混じり、非常に読み応えがあった。史実を表層的にしかしらなかったので、小説とはいえ最初に読み込んだこれらが今後のベースになってしまいそう。
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『中原の虹』のその後、張作霖爆殺事件の謎を描く。
この事件、事件名くらいしか知らない己の情けなさ。
でも、ここまで読むまでは、張作霖について、あえて調べずに読むことにした。
昭和天皇の密命を帯びた陸軍中尉、志津が描いた報告書と、なんと、西太后の御料車(!)のモノローグで構成された物語。
中原に出た張作霖が、国民革命軍との戦いに敗れ、奉天に帰る。
その際、かつて西太后を乗せた英国製の御料車に乗って。
例の岡圭之介や、吉永将も登場する。
吉永は張作霖の乗った列車に同乗おり、途中で関東軍のたくらみに気づく。
吉永は張と運命を共にすることを選び、大怪我を負いながらも命を取り留める。
こうした経験から、本作で登場する吉永は心を病み、『中原の虹』の時とは別人のようになってしまっているのが痛々しい。
この人は実在の人物なのだろうか?
いずれにせよ、この時期、日本にも、中国にも、国家のエゴに翻弄されて、目の前にいる、関係を築いた隣国人との間で板挟みになって苦しんだ人はいたに違いない。
西太后の奉天行きの様子は、きっと記録にあることなのだろうと思うが、お付きの人々が座ることもできずに付き従ったという話は、さもありなん、と思った。
最後の、紫禁城を訪れる場面で、春児とあのシャーマンの老女が登場する。
春児は…出てこなくてもよかったかな?
ドラマチックに盛り上がるけれど、なにか話が作り物臭くなってしまう気がする。
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現代史の謎、張作霖爆殺事件の真相に、密勅を受けた日本陸軍将校と、擬人化した機関車を通して迫る。
この頃の中国史は登場人物が多くて理解しづらいですが、浅田次郎の描写で理解が進み、俄然興味が湧いてきます。
蒼穹の昴のシリーズ作品で、一部の登場人物も出てきます。