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紙の本
彼は、彼らしく
2004/05/09 12:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:祐樹一依 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「毎日晴天!」シリーズ10作目にして、レギュラー人の話から半歩ずれて、その友人郡のウオタツの話なのです(笑)。しかしシリーズ節は炸裂。菅野節は正直ちょっとだけ読みにくい書き方をされてるのだけれど、そのちょっとぶっきらぼうなようなところが、逆に人間描写に即しているように思えるのは贔屓目だろうなあ。
そしてメインのお二人がいるのですけれど…(ウオタツは儚く散るのだ、それはもう決定事項なのでネタバレにならず)、これがまた痛い身の上を晒してくださいます。その辺り、ボーイズラブ、というジャンルを書く人にとっては鬼門に違いないと僕は思う。BLって、基本的にキレイなものだと思われてないですか? 色々な描写について。お約束な流れの恋愛物、ただし倒錯、みたいな(苦笑)。でも、そういう妙な正当性から異端を発してみることこそに、何か凄さを感じずにはいられないのです、たまにはね。
明確にはされていない二人の結末も、この場合はアリだと思う。誰もが幸せにならなきゃいけない、という意見に反対しているわけではないし、かといって万事が巧く行くはずもないと思う二律背反。そういうもどかしさも、感じることは悪くはないと思うので。
(初出:CANARYCAGE)
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