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11編の作品が収められた、藤沢周平の江戸市井小説。『時雨のあと』は読後にほっとする感があったが、この『神隠し』は、どちらかというとその逆。
人間の業の深さ、哀しさが情感豊かに描かれている。
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おもしろかったかな。安心して読めるよね、やっぱ。藤沢周平はなんといったら良いか、不思議な魅力があるなぁ。人間模様がおもしろいんかな…。今回は短編集で、一段と読みやすかったかな。ほんのちょっとした事件に人間があれこれ考えたり行動したり…おもしろい。先が気になるのもある。今回は忙しくて読み切るのに時間がかかってしまったけどさらっと読めるものだった。
読んだきっかけはアリゾナ無宿を手に入れるまでのつなぎ。パパの本棚から。前も藤沢周平読んでおもしろかったし。
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妻というもの、女の気持ちというもの
男からみたおんな
女の乳房への拘り、いろいろ考えさせられました。
ぎらぎらしてるとよっぽど惚れてないと
女は怖くてついてこれないんだなw
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藤沢氏の短編集の中で評価の高い本のようだ。おそらくこの作品群において藤沢氏が人間の奥に潜むダークな心の襞を描こうとしていることを評価した故だろう。しかし、あえて言うが私の好きな藤沢作品ではない。本書の中で私の好きな藤沢作品に近いのは「桃の木の下で」と「小鶴」ぐらいなものか。全て面白く読んだのではあるが、他の作品は読んでいてなんとなく落ち着かないのである。たとえば『告白』。なかなか良い小説です。30年連れ添った妻の空白の一日がテーマ。女の怖さをうまく表現しているあたり、氏の実力を感じる作品です。
しかし、私が藤沢氏の小説を好きなのは、どうしようもない境遇や生まれながらの身分のために甘受せざるを得ない運命を哀れに描きながらも、誠実に誇り高く生きようとする主人公の一分を立ててやるところにあります。やりきれない状況のなかにも、そこに救いがあり、そうだからこそ生をポジティブに受け入れることが出来るのです。しかし、この作品群において藤沢氏は人の心の闇や女という生き物の怖さなどをあぶり出そうとしています。読んだ感想は何とも居心地が悪い。「ほろりと良かったという結末」よりも「深くどろどろした状況」のほうが、よりリアリティーがあることは承知したうえで、私は小説に「あぁ、よかった」という感動と救いを求めたい。「あほか、そんなにハッピーエンドが好きなら、ハーレクイン・ロマンスでも読んどれ!」と言われそうだが、悲惨なものをわざわざ小説で読みたいとは思わないのである。わざわざ小説で読ませていただかなくとも、現実社会や歴史は十分悲惨なのだから・・・
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市井もの武家もの取り混ぜた短編集。「小鶴」「桃の木の下で」が良かったー。次点で「鬼」。
市井ものもいいけど、小禄のお武家さんの暮らしを想像するのが好きだ。
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ぞくりとした。
井沢屋の主人の妻を愛する気持ちと、嫉妬と、お店を守りたい気持ち。
どれもが純粋なのに、三つが合わさり、悪人が一人現れただけで、純粋な気持ちは、泥沼の中、更なる深みへとはまって行くのか。
井沢屋さんが気の毒でならなかった。
でも、他に妻を愛する気持ちと、お店を守りたい気持ち、両方を大切にして成功できる道があったのだろうか。
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20110820 どんな気分の時も安心して読める本。
20140507 いろいろな人生を見させてくれる。ついつい感情移入してしまうのはストーリーが練られているからだと思う。
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最近読んだこの方の作品の中では、後味が悪いものもなかなか多かったような気がするかな。でも、総じて人間描写は相変わらずうまいなぁって思えた。
あと、やはり人間はいろんな裏があるから面白い笑
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読後が晴れやかな作品が少ない短編集。
「拐し」
娘を攫われた職人が犯人から幾度も小金をせびられる。女の強さというか逞しさになんとも言えない気持ちになった。
「昔の仲間」
余命半年と告知された商家の主人が過去を清算しようとする。因果応報。
「疫病神」
かつて家族を苦しめた父親との再会。陰惨な結末しか想像できず、ぞっとした。
「告白」
長年連れ添った妻おたみは、若い頃に行方不明になったことがあった。おたみはその真相を笑い話のように告白するが、一生胸に秘めているべきだったのではないかと…。
「三年目」
約束した男を待ち続けていた娘。後悔はしたくないと動き出すが…。明るい未来が待っているとは思えなかった。
「鬼」
容姿の醜さから鬼と呼ばれる娘サチは怪我をした侍を匿い、恋をする。鬼と呼ばれるたびに傷ついていたサチがようやく晴れやかに顔を上げて歩き出した矢先に訪れる別れ、やるせない結末。
「桃の木の下で」
武家の妻が斬り合いを見てしまったことから藩政の不正が明らかになる。遠回りした恋の成就。読後の清清しさにほっと一息。
「小鶴」
吉左衛門の家は夫婦喧嘩の凄まじさ故に養子のなり手が無い。しかし記憶喪失の娘、小鶴と共に暮らすようになってから家の中は明るくなり、養子の話も持ち込まれ…。寂しくありながらも、どこか暖かな陽だまりを髣髴とさせてくれる結末だった。
「暗い渦」
信蔵はかつての婚約者を見掛け、当時を振り返る。今は貧しく暮らす元婚約者の、その友人を孕ませた信蔵の手前勝手さに呆れながらも、収まるところに収まったということなのだろうとも思えた。
「夜の雷雨」
極道ものの孫がいつか戻ってくることを信じ長屋で暮らす老婆。孫代わりに可愛がられていたがために巻き込まれてしまったおつねが哀れだ。誰も救われない結末。
「神隠し」
岡っ引の巳之助の元に商家の女将が行方不明になったので探して欲しいと依頼が来る。だが無事に戻ってきた途端に調べは不要と言われる。引っ掛かりを覚えた巳之助は調べを続け…。巳之助が関わらなかった未来を想像してしまう。
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終わり方に余韻を含ませるのが上手い作家さんですね。
短編で時代物、江戸、人情、庶民の暮らし・・・
と来ると、「ほっこり」系かと思いきやそうでもない。
結構、救われないものもありますな。
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藤沢周平には珍しい、ブラックな作品を集めた短編集。
男と女の深い溝を、ミステリー仕立ての予断を許さない展開で、描いた作品がずらり。
特に、神隠しにあった女を探す、酔っぱらい目明かしが主人公の「神隠し」や、平凡な生活を営む大店の亭主が、ふとした出来心から不信に苛まれる「昔の仲間」、十年前に自分たち兄弟を捨てた親を偶然見つけたことから生活が一変する「疫病神」など、どれも後味の悪い時代小説となっている。
藤沢周平といえば、春の訪れを感じさせる風が胸を通り抜けるような読了感が特徴的なのだが、この作品はそんな風は一向に感じない。
人間への不信と絶望。
この短編集を読んで、藤沢周平の作家としての幅広さを、あらためて知りました。
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短編集。ハッピーエンドにはならない、ままならない人生の、男と女の機敏を描く作品。最後の話は、すっきりと。
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読んだきっかけ:藤沢周平さんです。最近よく読むようになったなぁ。連れが持ってた。
かかった時間:10/6-10/10(5日くらい)
内容:短編集。ショートショート並みに短いのもある。珍しい。
最初の「かどわかし」は、「連れ去られた女性はどうなったの?」と不安にさせておいて、「なーんだ」という話。ですが、笑えるオチではない。何か、のどにひっかかったような、ちょっとイヤな気持ちになる感じ。
他、前編通してそんな話が多い。
藤沢周平さんは、「ほっとなる温かい話」と、「暗ーい、救いようのない話」の極端なものを書きますが、どちらかといえば、暗ーいのがそろっていますが、なかなか読み応えのある一冊でした。
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いつか読んでみたかった藤沢周平
ひとつひとつの話にホロっと来るようなオチがありとても楽しく、次の話はどんな結末を迎えるのか?と読み、あっという間に読み終えてしまいました。
また読んでみたい作家さん、好きな作家さんになりました。
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藤沢作品のすべてに共通しているのは「仄暗い」人間の性。
裏店で身を潜めるように暮らす市井の人だったり、
身を売られて落ちて行く女の人だったり、
妻に逃げられその日をただ生きる人だったり、
とにかく主人公は生きる事に投げやりな毎日を送りながら、
その中で「ある日」、特別なことが訪れる。
それは良い事だったり、反対の事だったりするのだが。
作家藤沢周平は、平凡な日常が次第に変わって行く様を実にイキイキと丁寧に、そして哀しく描いていきます、、、
読者は主人公や作中の人物にスンナリと感情移入して、
「あっ、それをしちゃいけない」とか「早く、はやく逃げて」とか思わず声を出してしまうような、切迫した緊張が
ところどころに鏤められているにもかかわらず、
物語自体は淡々と進んで行きます。
本当に淡々、、、
気がついたら読み終えて、ため息ばかりが出てきます。
そして胸に落ちるのは、
愚かであればあるほど愛おしくなる人間への思いを書き続けた藤沢周平その人のことです。