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紙の本
日常のドタバタと妹のアホさが面白い短編集
2010/10/27 20:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちょうど1年振りな本巻だが、構想自体は前巻の直後からあったのだろうか。狂気のシリアス全開だった後だけに、まるで正反対な軽いテイストの日常エピソードが詰まった短編集となっている。相変わらず助詞(てにをは)が変だったり、変換ミスっぽい漢字があったり、表現が少し妙だったりするのがさすがに少々気になるが、内容はかなり面白いものとなっている。
1.コスプレの死神
実質的には恭也とキョウの2人で外出もしない小話。タイトル通りにメイド、チャイナ服、シスター、女医と続く、イチャイチャ成分ありの斬られ成分多めなコントである。
2.閉鎖空間の死神
学校内の、何のことはない「閉鎖空間」だが、ラノベではお決まりな話であろう。暑苦しい男共のやおい話が多過ぎる気もするが、割と良いことも話している。キョウの「不満の原因」が最後まで語られず「?」となるが、これが本巻の一応の肝として最後まで伏せられる。
3.湯煙の死神
旅先の露天風呂でアハハウフフ、ではない。(露天風呂はあるが)銭湯である。またも出てくる暑苦しいやおい展開。しかし、ここでは「裸マント」なる素敵なコスプレ(?)のためにあった話かもしれない。
4.代理の死神
命(ミコト)がキョウの代役を務める設定が全てのナイスな話。偏った趣味さえなければ無欠の奥ゆかしい美少女だけに命ファン急増の予感さえ漂うが、ここで先の伏線を回収しつつ次巻以降の伏線を新たに用意している。おそらく前巻の終わりに出てきた人物かと思うが、ココロを上回るという執着が、ココロ以上の狂気で描かれるのか、それとも違った形で姿を見せるのか。あまりに残念なオチでうやむやになったものの、ひとまずお互いの想いを確認した2人の今後が気になるところである。
時に犬も食わない痴話喧嘩でもある4つの本編だけでも面白いが、幕間として挿入される『小桃伝説 その壱~参』が実に見事な役割を果たしている。兄への想いが過ぎた妹のアホさ全開な爆笑要素だけでなく、前日談だったり後日談だったりして内容を深めている。
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