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[hyahya MEMO] 頁をめくるたびに高熱のトンネルを進んでいるようで、息苦しい。いつか下ノ廊下を歩く時、渓谷の美しさに目がゆく前に、またあの息苦しさを思い出しそうだ。(2008年4月6日読了)
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彼らの苦しみを想像することすらできない。
これでもかと言う苦難の連続。
命が犠牲になることが前提で始められた工事に
挑んだ人々が精神と肉体の限界に望み、自然と闘った記録。
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あの黒部ダムが着工される20数年前、知られざる難工事が黒部の峰で進められていた。
予測しない事故が次々と起こり、その度に無残な屍を晒す人夫たちの姿。
それら死の重責に耐え切れず、心を乱した若い技師の哀れなる最期。
そして、工事の完成が近づいているのにも関わらず、その歓びにひたることなく山を去っていく主人公…
私は実際に黒部ダムを見て、その雄大さに圧倒されていた。
しかしその裏では、工事に関わった人間は誰も救われない、残酷な現実が隠れていることを本書によって感じた。
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史実をもとにした小説なんだが、俄には小説だと信じられないような記述が満載の本。戦前の技術が未発達な時期に現代になっても躊躇するような難工事に挑んだ男達の小説で、個人的には「黒部の太陽」なんかより数倍面白いと思う。
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びっくりです。
日本でこんなことがあったんだなぁと・・・。
トンネルを掘る過酷な環境におののき、
物語の最後もぞっとする感覚に襲われる。
吉村昭は怖いものを書くのがものすごく上手い。
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人の命より,工事完工が優先された時代。
ダイナマイトも自然発火する100℃を超える岩盤を穿つ難工事。
ノンフィクションだからこその圧倒的なリアリティが生々しいです。
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請求記号:ヨシム
資料番号:010693794
黒部第三発電所建設。トンネル貫通への情熱と大自然の猛威。
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230ページくらいの薄い文庫本で、文字通りの一気読み。「黒部の太陽」を読むくらいなら、高熱隧道を 2回読んだ方がいい。
黒四こと黒部第四発電所の工事現場を実際に視察した吉村昭が、そこからインスピレーションを受けて描いた黒三、黒部第三発電所の物語。第二次世界大戦前夜という異常な雰囲気の中、300人以上もの儀牲者を出して建設された黒三は、ときとして人命軽視の無謀な工事という批判を受ける。しかし、高熱隧道に描かれるのは、儀牲者一人一人を悼み、幾重もの安全確保策を講じつつも、しかし、到底太刀打ちのできない、否、想像すらもできない自然の脅威に打ち負かされ、すり潰されてゆく人間の姿である。
摂氏160度にもおよぶ異常な地熱、鉄筋コンクリートの宿舎を 500m以上も吹き飛ばす泡(ほう)雪崩、技師と人夫の人間的な葛藤、トンネル屋としてのプライドが一緒くたになったストーリーは、黒三の規模とあいまって、まさに圧巻としか言いようがない。
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300名以上の犠牲者を出しながら貫通させた黒部第三発電所。
摂氏160度を超える岩盤、鉄筋コンクリート造の飯場を500m吹き飛ばす泡(ほう)雪崩。
幅60センチの通路を50キロの荷を抱えて転落していく、自然発火したダイナマイトで木っ端微塵になった遺体を目の当たりにして、人夫と作業員の立場の違いからぞっとするラストに向かっていく。
日本にこんな自然環境があることに衝撃を受け、その中で人命をさしおいても構造物を作り上げる様子にやりきれない思い。
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トンネル屋のあつい(熱い、暑い両方の意)記録。
土木系技術屋は絶対に読んだほうがいい。
そうでない人も読んだほうがいい。回し読みした奥様もおもしろかったらしい。
黒部、仙人谷ダムの工事記録。
山登りをやる人は下ノ廊下といえばピンとくるかな。
これを読む前に歩いてしまったのが残念。
もっとも読んだ後だったら怖くて一人ではいけないかな。
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凄い本だ。
とにかく自然は凄い。
隧道工事にとりつかれた人間の情熱も凄い。
この異常な空間を描き切った作者は凄い。
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黒部ダム第四発電所の物語ではなく、
黒部第三発電所の物語。
よって戦前昭和11年~昭和15年の話。
‘極限の’大規模土木工事。
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前から黒部峡谷の鉄道に乗ってみたいと思っており、それにしても何であそこに鉄道なのかなと不思議に思ったことがありました。他人様のレビューでこの本を知り、是非読んでみようと思い借りてきました。すさまじい工事の末に黒部の発電所が出来たことを知りました。
300人を超す犠牲者を出した隧道工事。
最高温度165度の高熱岩盤を掘り進むと言うだけでも正気の沙汰ではないですし、たび重なる泡雪崩、坑道内の事故。特に迷信深くない人でもこの工事は自然の神に呪われてるとしか思えない事象に読んでいて背筋が寒くなりました。ここまでして黒部に発電所は出来たのか。そうまでして作り上げなくてはならない施設だったのか。
すさまじい。読んで良かったです。
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なにこれ、超絶望。
隧道(ずいどう)とは山に開けられたトンネル。
黒部に発電所を建設するために、黒部渓谷に穴をあけ道を作る。
内部温度60度の坑内で、撒いた水がとたんに蒸発するような140度もの岩盤にダイナマイトを仕掛けて穴を開ける。
プロジェクトXよりもだいぶ前の、時代は第二次世界大戦開戦直前の昭和13年(1938年)くらいで、おのずとこの工事は国威をかけた事業に祭り上げられた。
最初の大事故で工事中止になりそうになったとき、「以後気をつけるように」という中央政府の勅令で工事続行。2度目の大事故では天皇から御下賜金がだされ無言の圧力で工事続行。
掘れば掘るほどに岩盤の温度は上がり続ける。
もう人夫が何人死んでも工事はとまらない。
これが本の重みなのかと、十二分に思える素晴らしい小説です。
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昭和10年に着工した黒部発電所のトンネル工事。途中160度の高熱岩盤を乗り越え、300人の犠牲者の末に完工。
戦争直前の時代とはいえ、人の死を何層にも積み重ねながら工事を遂行しようとする現場のパワーに圧倒される。
この小説は美談なのか、無謀な国家主義批判なのか。