紙の本
政官財、それにも劣る新聞、テレビ
2008/12/13 21:10
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投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニューヨーク・タイムズのシステムの方が、日本のシステムよりもすべての面で優れているとは思わないが、マスコミ自身がよく使う「日本の常識は世界の非常識」という言葉はまさに日本のジャーナリズムにこそ使われるべき言葉であると感じた。
『上杉君はどの政治家の推薦状を出したの?』p.129)のようなNHKの採用試験の状態では、テレビに大分県の教員採用疑惑など非難する資格はない。キャスターたちが「あきれた実態ですね。」とか「最近に始まったことなのでしょうか。」とか「本当に上は知らなかったのでしょうか。」とかしたり顔で述べていたが、「この程度のコネでいいんですね。」とか「その程度なら安いもんですね。」とかが本音ではないだろうか。
そして、容姿で選ばれたとしか思えない女子アナたち(最近は男アナもか)。乱れた私生活。出会いと金を求めてその世界に入ったと思われる者ばかりが跋扈している。志ある者は足を引っ張られて本来の仕事をさせてもらえない。知恵ある者はテレビ報道などまともには信じていないのだが、世論に与える影響力はいまだ大きい。
それにしても、マスコミ人は、『他人のミスに厳しく、逆に自らの過ちに甘い』(p.201)という体質に読者や視聴者が辟易してきているのに気付いていないのだろうか。テレビは視聴率が取れるとなれば、素行が悪くてもその芸人を使い続け、いまや芸能界全体がソドムとゴモラ状態になって、そのふしだらさを社会に蔓延させようとしている。その一方で、反論できない弱い立場の人には、過剰なバッシングを行いストレス解消しているかのようである。
だいたいテレビの報道番組で、みのもんたや古館一郎に「政治家は庶民の実態が分かっているのでしょうか。」などと言われたくない。まだ、「貧しい人たちのためには、この政策は間違いだ。」と上から目線で言われるほうがしっくりくる(私だけだろうか)。もし彼らが本当に庶民の側に立った報道をしたければ、普通の人の生活水準で生活し、仕事に必要な経費を残して、残りの収入は恵まれない人に寄付したらどうか。あるいは、国の赤字解消に当てろとどうして言わないのか。その上で使い道に注文をつけてはいかがかと思う。
談合、癒着、盗作、流用、… 読み進むうちに、目の前が暗くなったが、若い記者たちに期待したい。人は変わることができる。一人一人が変わればその組織も変わる。ハルバースタムが書いたように、現代社会ではマスコミは最大の権力でもあるのだ。
『過ちて改めず、是を過ちと謂う』(論語)
マスコミ人にこの言葉を送りたい。昭和の戦争の時のようにならないためにも。
紙の本
興味深い
2024/03/06 12:39
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在のジャーナリズムの問題点について、興味深く読むことができました。エリート意識など、わかりやすくてよかったです。
電子書籍
大メディアの堕落
2016/11/19 18:47
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投稿者:三葉虫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の大メディアがいかに腐敗しているかを告発している本。「記者クラブ」という閉鎖的なお仲間を作り、横並びで、政府の広報活動をしているという浅ましい姿が暴露されている。読みやすいのですぐ読めた。著者によると、記者クラブの記者は政治家からも舐められているようである。著者が政治家秘書をしていたときに先輩秘書から聞いた言葉が紹介されている(第4章「記者クラブとは何か」―第3節「英訳・キシャクラブ」―「なめられるエリート記者」)。
いいか、仮に、記者クラブ所属の新聞、通信、テレビなどの記者連中が来てもそれは放っておいて問題はない。あの連中は仲間だし、安全パイだ。まず、とんでもないことはしでかさんよ。問題は、雑誌とかフリーの記者がやってきたときだな。
道理で大新聞やテレビはいつも問題の本質を突かないわけである。
こんな話は 3.11 とか 9.11 以前だったら半信半疑で受け止めたかもしれないが、こういった事件の後のメディアの体たらくを見るに付け、まさに切実な現実だとわかるようになってきた。現に今でも TPP 法案が審議されているはずなのに、ほとんど報道されていない。メディア自身も TPP でグローバル資本に呑み込まれる可能性があるにもかかわらずだ。大メディアはすでに外資の支配下にあるらしいので、すでに批判能力を失っているようだ。さらに、ここに書かれているような横並び意識があるとすると、個々の記者が深刻に受け止めていない理由もよくわかる。他社も深刻に受け止めていないのだから自社もたぶん大丈夫だろう、一社員である自分たちが心配してもしょうがない、と思うのはごく自然な話ではある。
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記者クラブ批判を主に、フリーランスのジャーナリストの取材がどのようなものかを記している。日米の新聞社の違いや、通信社と新聞社の違いから、ジャーナリズムのあり方について筆者の考えを述べている。
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日本の新聞記者について
記者クラブの害悪について
元ニューヨークタイムズの記者である著者が
外国メディアと比較して書いた作品。
これが全貌とは思わないが、現状の新聞の問題を知る上で参考になったと思う。
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この本を読んで
1、ジャーナリズムに関する日本と外国との考え方の違い。
2、日本で報道されるニュースの内容が、どこもほとんど一緒
3、記事の発信者がわからない
というのはやはりおかしいと改めて思うようになった。
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昔から心あるジャーナリストからは指摘されていた記者クラブ問題であるが、ここまで単刀直入に指摘した本は無いだろう。読みすすめていて記者クラブ制度の疲弊っぷりにムカムカさせられるが、果たしてこの状況をどうやったら打破できるのかその方策が簡単に見つからないことが更にイライラさせられる。
やはり一度新聞は潰れないとこの状況は変わらないのだろうか。
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海外と日本のジャーナリズムの姿勢を事細かに記述していて、新聞記者の実態を浮き彫りにした。この本を読んで感じたのは、週刊誌や雑誌は半分が本当ではない、ゴシップだと思うが、残り半分は新聞が書けない・書かないことが記述されていると感じた。
そうだよねぇと思ったのは、結局は会社員。危険を冒してまで攻め込む根本的な姿勢が日本人には持ちにくいと思った。アメリカのタイムズの話を引き合いにだし、日本のジャーナリズムは奇異であると断言し、書籍化していいるあたりが、勇気あるジャーナリストだ。
人と変わったことをやろうとすることがこれほど勇気のいることなのだ。自分の信念を決して曲げない芯の強さが著者にはある。
アメリカを代表して論じているが、アメリカのジャーナリズムこそが真のジャーナリズムなのか。的がずれているとは思うが、そう思った。
日本人のマスコミの体質は、たぶん変わらないと思うよね。著者もそう感じているのではないか。
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日本のジャーナリズム、特に新聞記者に対する痛烈な批判の書。NHKとNew York Timesに勤務した著者の経験から、閉鎖的な記者クラブ制度の問題点と、ジャーナリストとしての自覚に欠けるサラリーマン記者の問題点を指摘してる。海外の記事を紹介する「クーリエ・ジャポン」を読んでいると、これが新聞に掲載されているのかと驚くほど文量が多く、深い記事が多い。それに対し、日本の新聞は一つ一つの記事が短く、まともな分析がされていないものがほとんど。ただ、その背景には日本には欧米でいうところのインテリ向けな「高級紙」が存在しづらいことも背景にあるんだろうと思う。記者クラブが解放されるべき、という結論には多いに頷けるけど、それで新聞社の体質がどれほど変わるかな。外国メディアの日本版といった「黒船襲来」でも起こらないと、日本の新聞がダメダメなのは変わらない気がするな。
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「ジャーナリズム」の馴れ合いやら構造的欠陥をさらりとした筆致で記した新書。
基本構造やら、権力におもねく御用体制についてなど、現行のジャーナリズムにもいろいろ慣習上の不都合が多いものだ。
フリーで闘う筆者に、すこし勇気を貰った。
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本のところどころから、何者にも屈さない著者の”強さ”が伝わってきます。
日本の記者クラブってのはこれほどまで傷んでいたのかと驚かされるばかりです。
ということは、政治欄の記事を読んだところで、本質的な部分は何一つ見えないわけですね。
アメリカのジャーナリズムと比較すると、日本の報道といわれているのは通信に近いと。
自分の頭で考え、確認していく作業が必要だと改めて思いました。
そして、冒頭にも書きましたが、そのような体制のまずさを改善しなければという以上に、筆者の生き方にみとれました。
僕が浸かっているのはまだまだぬるま湯。
周りの人の白い目を気にせず、信念を貫いて結果を出すことの大切さと大変さを再確認しました。
あと、著書で紹介されていた櫻井よしこ氏の
「匿名で批判されても相手にしないが、名前を出して批判する方にはそれなりの対応をする。」
という話は関心させられました。
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2008/10
記者クラブ制度を中心に、日本のジャーナリズムというものがどれだけ酷いものか、強く論じている。実際に著者自身が体験したことを基に書かれているので臨場感を強く感じることができ、メディア論としてはなかなかのもの。
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『再び結論を先に述べれば、日本でいうジャーナリズム精神とか、海外でのワイヤーサービスメンタリティに相当する。ワイヤーサービスとは、日本でいうとこ共同通信や時事通信のような通信社のことを指し、速報性をその最優先業務とするメディアのことだ。いわゆる海外でのジャーナリズムとそれとは一線を画す。単に、時事的な事象を報じるだけではなく、さらにもう一歩進んで解説や批評を加える活動を一般的にジャーナリズムと呼んでいる』
TVニュースで地方の祭りなどを報じていると見ているほうは「今日はニュースがないんだね」と言い合ったりするが、報じることは沢山あるはずだよな…と思う。
新聞にしても、旬じゃない記事(発覚から少し時間が経ったニュース、新しい大事件に取って代わられた話題など)を思い出して取り上げるということがあまりに少ないのも不満。見ているほうも「それもう古いよ」という感性はマジでなんとかしたほうがいい。
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『官邸崩壊』など話題の本を執筆している筆者が、日本のマスコミ(主に新聞記者)の現状を報告した本。世界の中でも、特殊な組織である「記者クラブ」と、ジャーナリストのあるべき姿について、詳しく書かれています。(2008.9.14)
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日本の新聞・テレビ記者たちが世界中で笑われている。その象徴が日本にしかない「記者クラブ」制度だ。メモを互いに見せ合い同じカンニング記事を書く「メモ合わせ」、担当政治家が出世すれば自分も出世する歪んだ構造、権力におもねり掴んだ事実を報道しない体質。もはや新聞・テレビは権力をチェックする立場と国民に知らせる義務を放棄したも同然である。恐いもの知らずのジャーナリストがエリート意識にこりかたまった大マスコミの真実を明かす、亡国のメディア論