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腐敗や堕落といった言葉がいつしか似合う言葉となってしまった『政治』のそもそもを考えるのに好適な1冊。代議制や民主主義などの根本的なところから優しく解説されている。著者の述べるように「政治からは逃げられない」のであるから、どう対峙するかという自分の軸をしっかり持たねばならないと改めて気づかされた。
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今の政治家を批判している方々すべてに読んで欲しい。もちろん,今の政治家にも悪いところはあると思うけれど,では自分はどうか?ということに気付かされる。良書。
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権力と自由とを対立的に見る発想は憲法学にもある。憲法学では権利や自由と権力とを対立させる間gな得方が一般的。権力は人々の権利や自由を妨害したり侵害したりするので、人々の権利や自由を守るために権力を制限しなければならない。これこそが憲法の役割。
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講和ということもあるのでしょう。まるでルソーを読むよう・・・。
静かな語り口で、わかりやすく、あきることなく読める。
読後は、たぶん血となり肉となる知識なのですが、さて・・・、何が書かれてあったのかと思うことはある。
時間があれば、何度か読み直してみるのがいいのかも。
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面白そうなのは討議・権力・自由あたり。逆に最初の決定と最後の方の議論は現実への応対という点でどうも応用倫理学の無力さを印象付けてしまっている気がする。国境の非合理性や意思決定の複雑さというところを再起させたところで、現代の人間がそこから何かを見出すとも思えない。現代人の一件無知な単純行動は、複雑すぎる現実へのフリーズと衝動的逃避のような気がするが、それに対して北風を浴びせることは解決策なのか。ちょっと私には判断がつかない。
杉田先生の本を買うのは実は初めて?遅筆で現代デモクラシー論の執筆が大いに遅れたという話を学部時代の某先生の講義で聞いたことがあったが、今回もどうやら相当前の執筆依頼を放置した挙句に口述筆記の形式を採って漸くモノになったらしい。
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本書は政治哲学を考える上での基本書として思考をフラットにしてくれます。その意味で学生向けの良書といった感じです。政治の複雑性というものを知らしめられました。ただ、平易な表記ですので、読みやすいです。
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杉田敦『政治的思考』岩波新書、読了。「決め方は決まっている 代表に任せればいい 正しい答えはわかっている 自分には権力がない 自由とは放任だ 国家など要らない 的が誰かは知っている」。本書はこれらと違う見方を示す。政治的に考えるとは何か。手垢にまみれた認識を一新する一冊。
決定、代表、討議、権力と自由をキーワードに通例と現状を検討し、政治にどう向き合うのかという「距離」を著者は提案する。多様なオプションを認めた上で、私たちが「変える」とは私たちが「変わる」ことへ認識の変化を促す。
おまかせ民主主義、ヒーロー民主主義でない選択は、全否定の短絡的帰結によって導かれるものではない。政治に不満や不信を抱く人、政治を諦めてしまった人に手にとってもらいたい一冊。著者の『思考のフロンティア 権力』(岩波書店)と併せて読みたい。
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「なるほど!」とおもわず口に出したくなる素晴らしさ。
政治とは何かについてとても分かりやすくまとめてい、読んだ後に政治に興味が湧いてくる。
マスメディアの政治批判に流される前に、一度は読んでおきたい一冊
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【読書その82】杉田敦氏による、政治に関する考え方を決定や代表、討議などのテーマに沿って論じた本。非常にわかりやすかった。
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明治期における運用の時代に構築されていった政治制度。読んでいてもピンとこないのは政治について疎いからではと思い手にとった。
本書は政治というより政治に対しての姿勢を論じている。政治は万人にとっての正しさを追究するものでなく、少しでも納得いく形で何かの決定をするためのインフラ。価値観の多様化や決定が及ぼす領域の拡大により、決定することがより難しくなっている。その難しさを外部のせいとしている単純化した風潮が見られるが、まずは自分を含めた内部に目を向けるべきではという主張。
平易な言葉で現代政治に対する問題意識を絡めながら論が展開されているのは良かったが、政治制度の歴史的成り立ちをもう少し記載してくれればより勉強になっだと思う。
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過去と未来の間として現在にふみとどまって、自分たちの行動がもたらす影響について、考えをめぐらしてみることも必要なのではないでしょうか。(p.27)
政治については、「正しさ」をやみくもに追求してもうまくいかないけれども、「正しさ」などないと開き直ってもいけない。政治とは、欲望をもった人びとが出会い、何とか共存の道を見出していく、両儀的な領域です。必要なのは、「まあまあ正しい」政治を実現するために、さまざまな声に耳を傾けていくことです。(p.71-72)
権力を一方的に行使されているという考え方をやめ、権力課程の当事者であるという意識を持った時に、すなわち、責任者はどこか遠くにいるのではなく、今ここにいると気づいた時に、権力のあり方を変えるための一歩がふみ出されるのである。(p.102)
自由とは、完全な一身では決して実現できるものではない。そのことを、まずは認めたほうがいいと思います。かといって、完全には実現できないのなら、自由には意味がないのかというと、そうではありません。自由を求めることのうちにこそ、自由の重要な本質が存在がある。自由を求め続けるからこそ、政治が必要になります。そして、政治が存在している限りで、自由は実現しているのです。(p.125)
政治はさまざまな価値観にかかわるものであり、多様な価値観の間の調整こそが政治だということを理解する必要があります。(p.188)
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政治を論じる上での現代的論点を分かりやすく整理した一冊.
政治学は「市民の学」であるわけで,ぜひ多くの「市民」の皆さんに手に取ってもらいたい.
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決定・代表・討議・権力・自由・社会・限界・距離という8つのテーマを通して、政治の捉え方、関わり方を記す。
政治は皆のことについて決める営みである。納得はいかないが、受け入れなければならないこともある。政治に不愉快さ、押し付けがましさがつきまとうのはこのことによる。何を問題とするかを決めた時点で、責任を誰に問うかもある程度決まっている。したがって、いつ何を問題とするか決めることは慎重であるべきである。
代表制が必要な理由には、規模の問題、専門性の問題がある。しかし、それだけではなぬ、政治家がそれぞれ意見を主張することで、知識の乏しい人々が争点や対立軸を理解するという政治劇(演劇)的な装置として代表制が存在していると考えられる。
討議することは民主制において重要であり、消滅してはならない。政治に正しさを過度に導入しようとすると、人々による話し合い、複数性が排除され、全体主義体制になりうる。
主権的な権力だけでなく、監視の権力、市場の権力等について、我々が支えているといえよう。その権力が排除されていないのは、我々が望んでいるからである。したがって、不都合な問題に対して、外部の人に押し付けるポピュリズム的な考え方をするのは妥当ではなく、権力の責任者はここにいることを自覚するべきである。
自由は権力と対義されやすいが、社会権のように自由の条件整備のために権力が必要な場面もある。すなわち、自由な状態とは政治的な秩序の不在ではなく、むしろ権力や政治によって実現しなければならない点もある。
今では経済のグローバル化と主権国家の相対化により、国民という単位で政治的な決定をしても、その効果が限定的になっている。政治の複雑性や不透明性が拡大している今日、当事者として関与しながらも、過度な期待を持って早期解決を求めない距離を保ち、中長期的・俯瞰的な視野を持つことが必要なのである。
政治との関わり方を一般人に分かりやすく示した書である。また、政治が我々の生活の至る所に不可分のものとして存在していることを理解させてくれる書でもあり、政治に詳しくない初学者向けの良書であろう。
しかし、政治と関係するあらゆる分野について(例えば、メディア、官僚制、教育)、そこに存在する課題の全ての要因を我々に帰着させている点が強引すぎるように感じた。確かに、民主主義国家でにおいては民意を反映させた政治がなされるが、そのことをもって政策の全てを直ちに自分たちの一部とする(当然そこに責任も発生する)のは、我々の範囲を広く捉えすぎているのではなかろうか。
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十人十色の考え方や意見の相違を調整するのが政治の営みである。ゆえに誰もが政治から逃れることはできない。政治の問題は、すべて自分自身の問題に帰するのである。
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平易な文章で書かれており、大学で政治学を学ぶ前、政治とは何だろうと考える際に一読するのが良いのかもしれない。柔らかい文体ではあるが、ところどころ思い切り突き刺してくる。
読みおわってなるほどなと思った後に、あとがきを読んで思わず笑ってしまった。