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別れて成長した兄弟が再会したとき、弟が住む上院議員の邸宅の敷地から次々と死体が発見される。死体は兄弟が育った孤児院で弟をいじめていた連中で、主人公の兄が謎を解き明かしながら、二人が再出発するために行動する。
連鎖する子供の虐待と虐待による心の病、兄弟、親子の絆が物語の核になっている。
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正直評価に困る。上巻は星五つで傑作の予感すらあったのだが、下巻の後半から急降下。そんなこんなで諸々が相殺されて結局こういう評価に落ち着いたのだが…。
今回のテーマは親子ではなく兄弟。いつものハート節は鳴りを潜め、サスペンス色を前面に出したスピードある展開で一気に駆けて行く。端々でのざっくり感はあるものの、ハートのサスペンスもなかなか面白いなと後半に期待してると、急カーブで景色がガラッと変わってくる。
物語としては徐々に破綻してくるのだが、色んな不良箇所をごった煮して、家族というテーマで料理してしまう手腕はあざといのか鮮やかなのか、もう何が何だかよくわからない。ある程度の速度を保ちつつも、それぞれの立場から見た人生観は読み手に充分伝わってくると思う。
過去を乗り越える過程で得たものと失ったもの、そして忘れてきたもの──荒業的な伏線回収でも心に響く余韻は残る。ストーリーを貫く直線はそこに向かっていたんだなと、まあ何となく清清しい終焉ではあった。ハート作の特徴を踏まえた上で読んでほしい秀作。
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殺し屋のマイケルが愛する女のためにマフィアを抜けようとするが、組織と戦う羽目に。弟も標的となったために、訪れると情緒不安定になった弟と昔孤児院にいた苛めっ子が死体を発見する。
ハードバイオレンスとサイコが盛り沢山。何となくオチは予想通り。
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上下巻通して一気読み。過去の3作と比べても一番スピード感あったと思う。これまでの作品は面白いけど渋いっていうか、無彩色の印象だったんだけど、今回は色味がある感じ。華があるっていうか、一番エンタメ色が強いんじゃないかな。面白かったです。
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マイケルが再会した弟・ジュリアンは作家となるも深く心を病んでいた。
ジュリアンの周りで見つかるいくつもの死体。犯人はジュリアンなのか?謎は交錯していく。
意外と言えば意外なオチではあったけれど、そこへ行き着くまでのそれぞれの葛藤がもっとあればよかった。そしてジョン・ハートはそれができる作家だと思うんだが。
謎が解けてからの展開が、必死で伏線を回収しているようでちょっとばたばたに見えてしまった。
会話でなく、エピで語って欲しかった。
前作までに比べると、あんまり好みじゃなかった。
ミステリとして、その解決法はどうよ?ってのが大きかったんだと思う。
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ジョン・ハートの4作目。
上巻ではエレナをあっさり手放し過ぎたのが気になったが、下巻の盛り上がりで巻き返したか。
ただ、別人格で殺人ってちょっとズルいかな。
ノンストップなストーリーではあるけれど。
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どうやって纏めるのかと思っていたが少し安易では?
映画化したら面白いかも。
サスペンスではあるがミステリーではない。
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ジョン ハートの作品、一気に読破^_^
【キング死】より【川は】より【ラスト】よりいい、大満足。 ハードボイルドだけど、人間関係は丁寧だし。ミステリーだけど、無理矢理な感じがない。次回作が楽しみです。
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ジョン・ハートの『ラスト・チャイルド』での第一印象は、ずばり、読みやすい、面白いの二点であった。『アイアン・ハウス』を手に取って、読み始めたら止まらないそのページターナーぶりに、改めてそのときの感触を思い出した。三年弱ほどこの作家の本を手にとっていなかったのだということに、改めて気づく。
この物語の主人公は、殺し屋である。しかも引退しようとしている殺し屋である。しかも組織専属の殺し屋。彼を拾ってくれた親父さんの逝去、彼の愛した女性に子供ができたこと、これにてやばい殺し屋稼業から引退。まあ、わからないではない話である。しかし親父さんの実の息子、ひねて、出来の悪い息子である。実の息子以上に親父さんが組織を任せたがっていた殺し屋の存在が疎ましい。妬み、嫉みでいっぱいの息子は、若き殺し屋の門出を許さぬばかりか、親父さんという鎖から放たれて一気呵成に殺し屋への憎悪を爆発させるのだ。
街角が轟音をあげて炸裂するシーンにて、活劇はスタートする。殺し屋は愛する女性を救い出し、炎と血と消炎を置き去りにしながら逃げる。まるで激画の世界のように胸のすくアクション。完全なる力の備わった銃撃の美学。ジョン・ハートの他の作品を読んでいる人々はまずこの過激で大胆なストーリー展開と、冒険要素の連続に驚き呆れるに違いない。
しかしそれだけなら凡百のアクション小説に終わりかねないところ、ジョン・ハートはさらなる仕掛けを用意して、作品世界に暗い奥行を与えてくれる。それは殺し屋の弟の存在である。弟は、兄とともにアイアン・ハウスという奇妙で曰くありげな施設に育ち、そこで過酷な暴力に苛まれ精神を病んでしまった。兄は弟を守るが、守り切れない。そこに現れたのが、里子を求めて訪ねてくる美貌の女性である。
彼女は、兄を求めるが、兄は弟を彼女の救いの掌の上に差し出すのだ。そんな過去を背負った殺し屋は、弟の周囲で連続殺人が起こっていることを知る。精神をやんだ弟が、シリアル・キラーとして失踪したのではないか? そんな状況が彼を捉え、なおかつ殺し屋の兄は追われ続け、愛する人を守らねばならない。これぞ四面楚歌の出口なし。
あまりのスピーディな展開と派手なアクションの末、抱えてきた過去の暗闇の深みに見えるゴシック世界のサイコ風味、劇画的との謗りを受けかけないほどサービス精神に富んだノンストップ娯楽小説世界がここに確実にあることを請け合おう。これがジョン・ハートという作家の入口とは言えないまでも、この作家のエンターテイナーぶりに酔って頂きたい掛け値なしの一篇である。
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アイアンマウンテンの奥深く、朽ちかけた少年保護施設に兄弟はいた。
殺伐とした子供社会の中では弱い者は食い荒らされるだけ、兄マイケルは牙を磨き、弟ジュリアンは空想の世界へ逃避した。
時は経ち兄はギャングの凄腕の殺し屋として組織に君臨、弟は養子に貰われた後、一部で熱狂的な支持を受ける絵本作家となった
兄は恋人の妊娠を機に組織からの脱退を申し入れるが受け入れられず、ある時恋人の働くレストランが爆破、銃撃を受け多数の死傷者を出す。
逃亡する最中、組織のボスから弟を殺すと脅迫を受ける。
弟とは20数年会っていない。でも俺にはいつまでも大事な弟なんだ・・・。
上巻より
下巻では
マイケルはジュリアンを養子として引き取った上院議員夫妻の元を訪ねるが、ジュリアンは何らかの理由で精神を病みまともな会話が出来なくなっていた。彼を愛する養母と、冷淡な養父。敷地にある池からは次々に死体が発見される。それはかつて、アイアンマウンテンでジュリアンに酷い心の傷を付けた少年たちの変わり果てた姿だった。この地で一体何が起こっているのか・・・・。
主人公に殺し屋を持って来ているのに、ピカレスクではなくマイケルにきっちり感情移入させる所にジョンハートの手腕を感じた。マイケルはプロの殺し屋で、必要と思った時には躊躇しないし、感情に流される事はない。けれども、恋人へは持った事の無い暖かい家庭を夢想し限りなく優しく、弟は自分が守らなければならいという責任感に溢れている。ある意味都合のよいヒーローと言えるかもしれないけれど、男としては憧れる男性像だと思う。
貧困の中で見捨てられた兄弟。彼らの生きる道は選んだものではなく押し付けられたものだった。どんな罪を犯しても生き延びねばならなかった少年たち。持っていたのはすり減らした心と、いつか満たされるのではないかと渇望する空っぽの愛情の壺だけだった・・・。
とても心に残る話だった。
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面白い。上下セットで100円で買ったが、こんなにコスパのいい買い物はありえない。
繋がりの薄いようないくつかの要素が終盤に向けて収束していく構成や家族、血をめぐるテーマは他作品と共通するところだが、今作は主人公が凄腕の殺し屋ということで、あまり活字でそういう種類のものを読んだことがなかったので不安もあったのですが序盤はほんと良作アクション映画を観ているようでハラハラしましたし、終盤はミステリーの面白さや家族というテーマの掘り下げに引き込まれと、著者と翻訳者の力量やはり高い。オチの部分で一つ個人的に大嫌いなことやっているのに、まあいっかと思えるほどに別の部分で感動や高揚を味わえました。
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大好きだったパーカー亡き今、いちばん好きな作家と言えるかもしれません。
冒頭から勢いよく、しかも丁寧に描かれるストーリー、そして終盤では私は大泣きの心の救済と、ハッピーエンド。
こんなに早く読み終わりたくなかった…。
うまく魅力を書けない自分がもどかしいぐらい、本当におススメの作家です!!
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(上巻より)
弟を養子にしたのは上院議員夫妻だが、
上院議員のもつ権力がものすごい強大に描かれている。
違和感を感じるのは、アメリカの現実を知らないからなのか。
いくら昔酷いいじめをしたとしても、
息子を守るためだったとしても、
何人も人を殺したことがなかったことのようにされているのは、
いかがなものかと思うが、
それでも読後感が悪くないのも不思議だ。
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さすがジョン・ハート。期待通りのアクションエンターテイメントミステリーだった。
主人公マイケルは引退しようとしている殺し屋、彼にまつわる人々との友情愛情の描写一つ一つが家族について色々と考えさせられる。凄惨なシーンも多い(ジョン・ハート作品の中でも多い方ではないだろうか?)が、目を覆いたくなるほど傷ついた彼らが見せる自分以外を気遣うシーンは、訴えかけるものがストレートに伝わってきて心が痛いくらいである。
マイケル、恋人エレナ、その弟ジュリアン、義母アビゲイルと主要登場人物はみな個性が際立っていていい仕事をするのだが、特にジュサップがすごくいい。ストイックでミニマリストでフィジカルもメンタルも鍛えぬいている彼が、後半弱さを見せてしまう。それまでのジュサップが完璧すぎるだけに、そのシーンがとても印象的で引き込まれるのだ。こういう男に俺もなりたい!
これで、ジョン・ハートの既出作品は全て読了してしまった。次回作の出版と翻訳を切に望む。ほんま早く読みたいぞ!