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そういえばテレビでやっていたな、と。ややミーハーな気分で購入。
実はタイトルをみて「夢を追う」こととか、「努力」について書いてあると想像して、購入を躊躇ったりもした。「夢を追って成功しました」なんて話なら、わざわざ(一般論でいえば美しくもない)「イカ」を題材にして読みたいとは思わない。純粋な学者話ならまだしも、テレビを前提としているなら、大したことのない「ネタ話」になってしまうのがオチだ。
そんな躊躇を感じながら読んだけれど、かなり面白い。ところどころで「テレビマンはこんなに苦労しました」なんてニュアンスの話が出てくるけれど、そんな話は捨て置いていい。不親切ながら描かれるイカの生態に思いを寄せるだけでともかく面白い。
ときに「イカの飼育はとても難しい」なんて書いてある。さらに「養殖には成功していない」なんてことも書いてある。いったい養殖に成功すればどういうイカが食卓にのぼるのか。あるいは天然イカと養殖イカの違いは何だろうとか、はてさて、養殖ウナギは脂が付き過ぎるのが常だが、養殖イカにも脂がつくのだろうかとか、そういう話だけで数時間ないし数日は楽しい。
そんな、すごくつまらないことを面白がる変な人でも、かなり楽しめる本に仕上がっていると思う。
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NHKが世界で初めて撮影に成功したダイオウイカ。この成功をつかむまでの10年に渡る、プロジェクトチームの苦難を描いたドキュメントです。
これだけ長いスパンでプロジェクトに取り組めるのはNHKだからのでしょう。ロマンがとっても詰まってます。
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2013年1月に放送された"NHKスペシャル 世界初撮影! 深海の超巨大イカ"の10年に及ぶ取材記録をまとめたものです。あの映像を見た時は本当に驚きました。番組は1時間でしたが、その裏にはこれだけの努力があったということを知ることができ、ますますあの映像は撮影スタッフや世界中の学者の執念が引き寄せた奇跡だったんだなと感じました。たぶん、ここには書けないような事件もたくさん起きたんだと思いますが、これからもNHKには、こういうTV番組をこれからも作って欲しいです。
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2013年刊。NHKスペシャル「深海の超巨大イカ」の撮影秘話を描く。二十数分に過ぎない動画撮影を実現するのに、苦節十年を費やしたプロジェクトXである。そもそも、ダイオウイカは欧米では、船乗りを苦しめるイカとして「海底二万哩」にも登場する馴染み深い種。ゆえに、日本ではあまり評価されなかった写真撮影に驚愕し、その撮影チームに取材が殺到するほど。このように日欧の温度差が乖離する中、国際チームを編成し動画撮影を達成したことに敬服。撮影機材の進歩発展、その製作の工夫、撮影方法確立と生態調査の地道な努力は特筆すべき。
なお、NHKの冷やかさに比して(長期間、動画撮影に成功しなかったことにも起因していようが)、ディスカバリーチャンネルの熱意の凄さ、欧米のダイオウイカ研究への国家支援体制の充実度には嘆息(海軍の支援のある国の存在にはさすがに驚いた)。