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コンテンポラリのサスペンスだと往々にしてあることな気がするのですが、映画やドラマのシナリオ的にシーンを積み重ねていくような感覚のあるお話で。個人的にあまり得意な感じではなくちょっとうーん。
街中で騒ぎを起こしたり人死にがそれなりに出てる割には詰めの甘い敵役とか(これは最後までそうであった…)、大逃走繰り広げた後に一人で買い物に出て派手な場所に行くヒロインとか、シーンとシーンのつながりとか事件の重さをどの程度でとらえたらいいのか見失ってしまうことがあって(いえあのリサ・マリー・ライスとかシャノン・マッケナとかローラ・リーとかいつでも死にそうなお話を読みすぎてるせいなのかもしれないのですが)。特に長丁場なお話だったので、序盤から中盤のまだエンジンかかってないあたりで読み進めるのが中々大変な感じでした。もうちょっときゅっと纏まってるともうちょっと読みやすかったかなあと思ったりもするのですが、デビュー作でそれはやっぱり難しいかな…。
ロマンスとしては特に中盤以降、過去や現在に問題を抱えている二人が喧々囂々喧嘩しながらも徐々にお互いの内面を知っていって、ただ衝動的に惹かれあうだけではなくて本当にお互いを愛するようになる流れや、二人が抱えた重荷をゆっくり分け合えるように、相手を許すことで自分も許されていくような感覚がとても好きでした。
正直なところリサもレイフも好きなキャラクターかというとちょっと難しいところもあるのですが、それでも有能で美人さんハンサムさんでそれなりに年を重ねているからこそ頑なで弱みを見せられない二人が、自分の中の柔らかなところに触れることを許せる人に出会えてよかったね、と思ったり。
しかしレイフさんお金が必要ならまずそのクルーザー売ろうぜ…て突っ込んでしまった訳ですが、後半ストーリー展開上必要になるからさせられなかったんだろうなあ…。