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写楽の正体を語るために、わざわざ小説に体をなして作者の推理を語るものが理になっているが故に、その本筋以外の余計なストーリーは一切、余分である感が強いが、後編では、これらの余分なストーリーの最たるものである高層ビル回転扉事故や謎のハーフ美人教授などが登場することの必然性が話として収斂することを期待したい。いずれにしろ、子供を亡くし不幸であるはずの主人公に全く同情も、感情移入もできないで、非常に読みづらいのが残念である。
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写楽の謎を解くと云うストーリーなんだけど、
前振りが長くて少し辟易する。
別にこんなのいらんだろという描写が多い。
下巻を希望にして、借りてみよう。
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2013.4.15読了
冒頭の悲劇が救い無さ過ぎて…
写楽の謎を追い始めてからと、それまでの空気が違い過ぎてちょっと違和感
後編が楽しみだけど、江戸パートは少し読みにくい
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面白い。しかし、二百年前の著名人をある程度詳細に把握できるところに驚嘆した。江戸時代がとても身近に感じられた。様々な仮説を腹案に下巻へ。
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写楽の謎に迫るミステリ。
世界三大肖像画家・写楽は一体誰だったのか?
元大学講師・佐藤は、発見された一枚の肉筆画から
真相を突き止めようとする。。。
下巻に期待。
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島田荘司さんの写楽に対する思い入れがひしひしと伝わる
というか伝わりすぎる!
らしいといえばらしいが少々くどい。
でも写楽の正体は気になる
がんばって下も読んでみるべし。
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[抜粋+感想]
・江戸編の描写が楽しい。江戸時代にもこういったお祭りがあった。仮装やフェイスペインティングとかする文化は昔にもあったと。月も。蘭学も。
・現代編読んでいて江戸時代が近いというとを言っていて驚いた。近いのに全く知らなかった。
(写楽について)上巻p359
「記録が全然無い、これは異常ですよね。本当にまったくない。通常こういうことは考えられません。だって江戸期っていうのは、もう最近だしね、意外によく解っている時代なんです。」
江戸期のことまったくわかってない人がいたよ。
・ジャポニズムは19世紀すでにあった。クールジャパンは焼き直し?
意識が外へ向かえば向かうほど、中がよくわかっていなかったことに気づく。
写楽も北斎もまともに見たことがない。リタイアしたら、月に一度の楽しみとして美術館・博物館を平日にめぐってみたい。
一部、作内主人公の主張なのか著者の主張なのか判然としないところがある。
p413
『江戸では細かな金の払い方ができなかったんです。通貨制度の不備で、お釣りもうまくもらえない」
「いきおい大雑把になって、それが宵越しの銭は持たない、なんて江戸っ子の気風も生んでいく』
抜け荷と禁酒法の相似性 p434
下巻
丁寧に書かれてるので、だんだんと思考が結末へと追い込まれていきます(悪い意味ではないですが、本格ミステリ作家だなあと)。
帯の「小説が現実を超越する」っていうのは普通のことじゃないかと思いましたがそういうツッコミ待ちなんでしょうね。
p334
「そもそもこのお江戸はよ、いっさいがっさい米じゃ動いてねぇ。田んぼの真ん中じゃねぇんだぞ、誰がいったいこの町中、あんな重てぇ米俵担いでうろうろするってんだ、あほらしい。米遣い発想はよ、もう天下のお江戸の銭遣い経済とあってねぇんだ。時代にまるっきりあってねぇ。だから札差ばっかが儲けやがる。そいでその金が、吉原と芝居小屋に流れるんでぇ。
これもお上がよ、約束ごとにもたれかかって、何も考えねぇでいるからよ。社会の仕組みの、根っこのところを変えねぇとよ、こういうのはいつまで経っても解消しねぇよ。お上はそこんところがちっとも解らねぇ。」
p337
「様式にもたれかかって楽してちゃあな、世の中は変えられねぇ。目が曇っちまったわ。」
p354
「打ち壊さなきゃあな、春朗、腐っちまうのよ、屋台骨が、虫食って。それが古い家。だからな、一度は打ち壊さなきゃなんねぇんだ、自分でよ。(中略)そうやってな春朗、そうやって新しいものは生まれるのよ」
そして一息つき、
「そうじゃなきゃ、続かねぇ」
写楽論を知らない自分にとっては十分に説得力のある流れだった。
コアとなるガジェットも2重写、謎の解決も二重うつし。
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写楽がこんなに謎だったなんて。
日本中で話題なった回転ドア事故。そこからどう展開するのかわからなかったが、非常に潤沢な知的情報をもたらしてくれた。
江戸と現代を行きつ戻りつする展開も興味深い。
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写楽の謎にせまるお話。
前半は主人公の佐藤さんの悲劇がつらいです。
なんとか浮上してほしい・・・。
落ちるところまで落ちたなら、きっといいことがあるはずって
願いながら読み進めていました。
写楽の書いた浮世絵は印象深くて、
私も美術の便覧?でみた中でもすごく好きでした!
でもまさか
こんなに謎めいていた人・・・絵・・・だったなんて。。。
江戸時代の政策や他国との関係、町民の様子、状況などなど
いろんな角度から本当の写楽について迫っていくのが
面白いです
江戸編?と現代編?のストーリーで
ただ解決させるだけじゃないところがなお読みやすいのかも。
下巻に期待!
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<上巻あらすじ>
【現代編Ⅰ】
浮世絵が好きで、過去に北斎の研究書も出版したことがある
元大学講師の佐藤貞三が図書館の地下倉庫で肉筆画を見つける。
その絵は写楽っぽいけど筆名がなく、謎の欧文が書かれていた。。。
そんなある日、佐藤が息子を連れて六本木に出かけたとき
息子が回転ドアに挟まれ死んでしまう。
意気消沈する中、妻の千恵子に「アナタは殺人者だ」と怒鳴られ
貿易業界の資産家である千恵子の父にもクズ扱いされ
佐藤は居場所がなくなり、家を出ることに。。。
一人ぼっちで自暴自棄の佐藤。そこに一本の電話がかかってくる。
相手は、回転ドアの事故の再発防止のため集まった原因究明チームだった。
佐藤はチームの面々と会合し、そこでチームの中心人物である
機械工学の美女教授・片桐と出会い、彼女の励ましや助言によって
佐藤は生気を取り戻し、写楽の絵にのめり込んでいく。
そして以前見つけた写楽っぽい肉筆画の欧文が、片桐の翻訳によって
『福は内、鬼は外』と書かれていると判り、肉筆画の筆者は
『福内鬼外』という筆名だった平賀源内ではないかと興奮する。
写楽は、140個以上の作品を僅か10ケ月間にすべて描きあげていて
(2日に1個のハイペース)正体も明らかになっていない謎多き人物で
佐藤は写楽=平賀源内と推察するが
残念ながら平賀源内は写楽登場の15年前に死亡していた。。。
そんな中、以前佐藤が書いた北斎の研究書がデタラメだと週刊誌に掲載された。
実は佐藤の妻と義父が回転ドアを作った会社を訴訟し執拗な攻撃をしていて
それに対して回転ドア関連会社が報復として佐藤を攻撃してきたのだった。
佐藤はその攻撃に対抗し信頼を得るために、写楽の新説を執筆し発表することにした。
【江戸編Ⅰ】
浮世絵とか出版してた蔦屋重三郎の話
【現代編Ⅱ】
佐藤は、写楽は平賀源内ではなく、発想の根本的な転換が必要だと考え
北斎とか歌麿とか色々と調べることに。
下巻へつづく・・・
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世界三大肖像画家、写楽。彼は江戸時代を生きた。たった10ヶ月だけ。その前も、その後も、彼が何者だったのか。誰も知らない。歴史すら、覚えていない。残ったのは、謎、謎、謎-。発見された肉筆画。埋もれていた日記。そして、浮かび上がる「真犯人」。元大学講師が突き止めた写楽の正体とは…。構想20年、美術史上最大の「迷宮事件」を解決へと導く、究極のミステリー小説。
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2013/5 初読時のメモより
作者が提示した、写楽の謎:写楽が誰にせよ(既に知られた人物の変名にせよ)何故出自などが全く伝わって無いのか、接触していた筈の周りの人々が写楽について何故なにも語っていないのか。写楽はオランダ人だったという仮説は、これを合理的に説明していると思う。役者絵は、ブロマイドと芝居の宣伝を兼ねるものなのに、写楽は本来対象にならないような端役も描いていたという事も本作で初めて知った。
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読みやすくて面白かった。
でも写楽についての記述が冗長な印象。
伏線がわかりやすいのに、同じことを何回も繰り返していてくどい。
写楽の正体について迫っていく展開が急ぎ足だったので
余計に前半のダラダラ感が目立つ。
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島田荘司の斜め屋敷の犯罪を初めて読んだときの衝撃、奇想天を動かすを読んでこれ以上の奇想なんてあり得ないと思った事実は変わりません。
島田作品を先に読んでいたので、続く新本格ブームも目新しくもなかった。これほどの奇想には出会えませんでしたから。
が、御手洗がなりをひそめ、石岡くんばかりががんばるずっこけ探偵みたいなものを連作されたあたりで島田作品から離れました。社会派にもなってほしくなかった。
しかし写楽ということで、興味を惹かれて久しぶりに手にとりましたが、正直残念です。読まなければよかったなあ…(T_T)
江戸編はまあよい。蔦重は好ましく、読み物として普通に面白かった。
でも現代編のとっちらかりようはハンパないです。最初の事故、妻との確執、いりますか? 教授が美人である必要性ありますか? 事故のその後も、教授の思わせぶりな態度も、肝心の写楽説も、全部結果はなしですか?
作家らしい妄想力で一つ作品をまとめることはもちろん上手に仕上げていますけど、所詮フィクションなんだったらそれでいいからちゃんと話を書ききってほしい。歴史書だったら物足りなさ過ぎる。どっちつかずなんです。
島田氏はミステリー作家でいてくれればよかった。歴史に手を出すなら自分を信じ過ぎだと感じます
ついでに解説の方、10年以上前に弘兼けんしさんが漫画の中で写楽=西欧人説で描かれてますが、きちんと面白かったし、漫画家さんが取り上げるくらいだからヨーロッパ人説が今回初めて!なんてあり得ないでしょ…。解説ならある程度責任ある発言してほしいです。
一番腹立つのは写楽の絵を一枚も載せていない本の作りです。誰も言い出さなかったのか、真剣に理解しがたい。せめて奴江戸兵衛と、比較対象の歌麿絵一枚くらいは載せろよ!
いくら文庫だからって、読者不在で本を作り過ぎじゃないですか? この内容で絵無しは「本」という存在として許し難いです。
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そもそも写楽の謎とは何か?をわかりやすく説明しながら、写楽の正体を解き明かす。
構想20年で資料収集した著者によって推論を交えた写楽の正体に迫る論理展開は、フィクションでありながらも、「もしかしたら本当に写楽はこの本の通りなのか?!」とさえ考えさせられる。
序盤の描写の生々しさが痛々しい。
また、登場人物のバックグラウンドや回収しきれなかった伏線については後書きで続編の執筆を著者自ら明かしているので、期待したい。