紙の本
香合わせの宴に酔う
2011/05/15 09:21
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
庇護者の源氏や朝廷の名だたるイケメンたちから愛を乞われた内大臣の隠し子玉鬘だったが、結局は髭もじゃのださいオッサンの手中に墜ち、こんなはずではなかったと後悔するのだがもはや後の祭り。あっという間に赤子を孕ませられてしまう。若い娘は昔からよくある蹉跌をまたしても繰り返してしまうのだった。
昔といえば紫式部の平安時代においても現代よりは昔の文物の方がはるかに優れていたと振りかえられるのであるが、では大陸と朝鮮半島から渡来した平城京の時代のヒトモノカルチュアがどれほど国風文化の藤原時代に勝っていたのかははなはだ疑問である。
しかし紫式部は、例えば源氏が六条院で主宰した香合わせにおいても、前代の到来物の香木の馨の深さには当代の新品なぞ物の数ではないと源氏と共に断言しているから、まあそれはそうかもしれない。法隆寺の蘭奢侍は後代の義政や信長が切り取って珍重したと伝えられる伝説の香木だが、その原産地はベトナム、タイ、インドなどの諸説が入り乱れているそうだ。
本巻の「梅枝」では、沈香でこさえた箱の硝子細工の容器の中に、「黒丸」と「梅花」という銘の二つの薫香が登場するが、おそらくこれは道長の時代につたえられた銘木であっただろう。わたしも源氏や紫の上や明石と夢の中で同席して、その芳香に酔いしれてみたいものだ。
子等揃い菖蒲湯に浸かるめでたさよ 茫洋
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本の内容
リンボウ源氏物語の第5巻。源氏36歳。通称「玉鬘十帖」のクライマックスを描く。
目次
蛍
常夏
篝火
野分
行幸
藤袴
真木柱
梅枝
藤裏葉
(レビュー前)
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この巻は蛍から藤裏葉までが収録されています。
ようやく半分まで読み終えました。
今年中に全巻(全十巻)読み終える予定が、なんだかのんびりしすぎで目標達成出来なそうです・・・
紫式部は、花散里と玉鬘に自分と重ねていると何かの本で読んだことがありますが、うーんそうかも、と私も感じました。
とにかく玉鬘の登場する章は丁寧。そして長い。
こんな扱いを受けた女君はいないんじゃないかな?
玉鬘といえば、私の中では蛍の章が幻想的過ぎて好きだったんだけど、今回は行幸の章で、玉鬘が初めて源氏や夕霧以外の貴族を見かけたときの感想に注目してしまいました。
「高貴な身分の人々は、だれもみなそんなふうに美しく格別なものばかりだと思い込んでいたのだが・・・まったくのところ、同じ目鼻をもっているとも思えず、見る影もなく霞んでしまっている」
ですって!ひどい言いよう(笑)
その他源氏もおじさん扱いだし、黒髭に対する感想なんかも面白く、素直すぎる玉鬘ちゃんに拍手です☆
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源氏36〜39歳。
本巻は終始、玉鬘。
玉鬘争奪戦を制したのは、髭黒。
源氏の美しさは、40歳台手前となっても衰えないが、子息も育ち流石に世代交代の感はある。
そのかみの老木はむべも朽ちぬらむ
植ゑし小松も苔生ひにけり
本巻を表している一句だと思う。
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玉鬘特集。
源氏のせいで(間接的にだが)母の夕顔を亡くし、しかも死亡の事実を知らされなかったため、失踪扱いになるという可哀想な幼少時代。
成長したら母親似の美人だったので、源氏(下心満載)に引き取られ、立派な父親ができたと安心していたら、娘ではなく女として見られていたことがわかって男性恐怖症に。
美人なので入内とかいい縁談の話もたくさんあったのになぜかヒゲ男の妻に。
美男の源氏や帝しか見ていなかったせいで、平凡な夫にがっかり。
紫式部は美人に恨みでもあるのだろうか。
不美人の末摘花をdisるのも忘れていないが。
源氏の息子は初恋の人と結ばれてめでたしめでたし。
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六条院での香合わせや帝・上皇の行幸、明石の君の入内など華やかな行事が源氏にしかできない華やかさで催されます。位は准太上天皇へと登り詰めます。息子も太政大臣家の娘と結婚。ヴィスコンティの「山猫」の舞踏会シーンが頭に浮かびました。満ちるは欠けるの始まり。源氏も絢爛たる貴族文化もこの辺りがピークです。
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希有な運命を辿った玉鬘の行方にも決着がつく。
この世の栄華を極めた源氏。でもこれからの世代交代も感じさせる。。。