紙の本
富の簒奪
2002/05/20 11:56
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投稿者:奥原 朝之 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回はペルーでのお話。
ペルーでレアメタルの鉱脈が発見された。しかし発見された場所に問題があった。反政府活動を行うゲリラ達の拠点だったのだ。レアメタルの採掘権を独占したい米国の鉱山会社は非合法活動を行うために工作員を雇う。工作員はゲリラに化けてゲリラ内部へ潜入して壊滅させるというミッションを依頼されたのだ。
大筋では上記のような話だが、ペルーでのゲリラ活動がどういうものなのか、政府はゲリラ達をどのように制圧しているのかが描かれている。山猫の夏や黄色い蜃気楼などではこれらのゲリラの動きをスパイスのように使っていたのが、本作品ではその話が中心である。
著者は力の無い者達が力の有る者達の手によって富を簒奪されていく仕組みは今も昔も変わらないことを描きたかったのかもしれない。
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かつて文化人類学の学究だった志度正平は、あるできごとをきっかけに民間の破壊工作員となった。
ニューヨークで白人の娼婦ロッサナと自堕落な同棲生活を送っていた志度のもとに新しい依頼があった。
アメリカ巨大鉱業会社から、ペルーの山岳ゲリラの首領抹殺の仕事がきたのだ。
志度は首都リマに向かった。
ペルーの首都リマに到着した志度正平は、自分に酷似した日系の革命家ツトム・オオシタになりすまし、二人のインディオと共にゲリラの進発地チャカラコ渓谷に向け出発した。
4千メートルを超すアンデスの山々を越えていくつかの戦闘に耐え、ゲリラの進発地に潜入した志度を過酷な運命が待ち受けていた。
どうした船戸!うすいよ!全体的にうすい!
文化人類学の設定や志度正平のタフガイぶり、その後のツトム・オオシタ、そして何より最後のオチ(−−)凸
でも船戸作品は男の哲学書、教科書なので読み続けます。他の作品へ期待します。
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面白かった。
でも、それだけかな。
私自身はファン必読とまではいかないと感じますが、南米シリーズを読もうと思うなら(私もですが)、通らなければいけない一冊。
読んで損はないかな。
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どいつもこいつもあっさりと殺し、殺される。
怖いけど、ああいう南米の奥地みたいなところ
一度行ってみたい。
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南米三部作、ペルー編。てっきり最後はポル・ソンファンに自分の影を見ながら一騎討ちするんだと思ってたら全然そんなことはなかった。あんだけやり散らかして おいてあっさり退場かよ!誰がいつ死ぬか油断がならないので緊迫感がある。緊迫感ありすぎて、アンデスと聞けば連想するアルパカもメロンも思い出しもしなかっ た。「山猫の夏」が一人称なせいか少し感傷的なので、こっちの淡々とした方が自分には合う。四千メートル越えのアンデスというで過酷な環境で殺し合う男たちは 40前後。凄い体力デス。
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これが書かれたのは1985年。冷戦真っ只中の、中南米が舞台。登場人物は破壊工作員。潜入先はとある民族革命運動のゲリラ組織。依頼内容は、その革命運動のリーダーを殺害すること。
船戸与一の得意ジャンルであるだけあって、中南米の暑苦しさ、虐げられているインディオたちのむごい実態、その上に君臨する白人たちの優越感、山岳地帯の息苦しさとある種の清涼感、それら全てが生き生きと描かれている。
破壊工作員である登場人物たちが、何故破壊工作員になったのか。彼らの中にある破壊衝動や殺人衝動はどこからくるのか。そんなものが数人の登場人物を通して語られる。
いつも読む船戸与一と少し違う印象があったのは、革命運動を行い、米国帝国主義(こんな単語、もういまや死語なんだろうなあ……)に対抗する立場の人間を主人公にすえることが多かったのに対し、この作品はアメリカの某大企業に雇われた男が主人公だからか。
ストーリー展開もいつもの船戸節、というのはご愛嬌だが、20世紀という時代を知る上で、読んでみてもいい小説なのかもしれない。
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ペルーを舞台にしたハードボイルドな話。
インディオのゲリラが活動する土地にウラン鉱床が見つかったため、ゲリラ組織を壊滅させるためにウラン鉱床を狙う会社から依頼を受けたひとりの日本人がゲリラ組織に潜入する。
この作家の話は最後は主人公が必ず死ぬ。
今回も多くの人を殺した後で主人公は死んで物語が終わる。
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南米三部作の二作目。
登場人物の魅力が、他の作品に比べ少なかったような。
しかし、最後まで飽きずに読めたのは流石。