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憧れなのか、愛着なのか。
恋なのか。
そんな主人公の男の子の思いを背景とした、別れの物語。
思いっきり弱い立場の子どもたちが描かれていて、彼ら彼女らは、おろかさや、未成熟さもあわせもっている。
そこは決して美しくない。
しかし、物語の終わりには、手放しとは言えないかたちで、希望と祈りが示される。
その部分は、なかなかよかった。
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エエ話や・・・~太輔が事故で両親を失い,入った児童養護施設には,同学年の淳也とその妹の麻利がいて,2つ違いの中間にはお洒落な美保子がいる。もう一人は6才上の佐緒里で班のまとめ役。大学進学を夢見ていたが,弟の入院費を負担してくれた遠い地の親戚から,高校卒業後は経営する印刷所を手伝うように言われる。資金不足で中断している願い飛ばしを園を出ていく前に実現したい4人は小学校の卒業生を送る会での実行を決意する~どこかで見たような画風だと思ったら,スタジオ・ジブリの人だった。ジブリのアニメにしたらほのぼのとして良いかも知れないな
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太輔、淳也、麻利、美保子、佐緒里は、児童養護施設「青葉おひさまの家」に暮らす子供たちだ。
「ひとり」をよく知る子供たちの閉塞感と出発。
逃げていいのだと伝えたかった、と朝井さんが何かのインタビューで答えていた。それで興味を持って読んだ。世界の狭い子供が、その余白に気付かないまま追い詰められてとった行動を、ニュースで見ることがある。やりきれなくて悲しくなる。余白にも、楽しくないことはたくさんあるかもしれない。でも、かけがえのないものを得られるかもしれない可能性は、余白にこそある。自分の人生を自分でどうにかできなくても、いつかは必ずすべてが自分次第になる。
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今回の朝井さんの作品の主人公は、小学生。今までは高校生とか大学生とかを主人公に持ってきていたから、新鮮だ。
事故で両親を亡くし、引き取られた叔父の家で虐待を受けた太輔は児童自立支援施設で暮らすことになる。
太輔の、「自分が何をしたところで何も変わらないこともあることを知っている」と思い至るシーンが印象的です。
ああ、そうだった。小学生の頃なんて、思い通りに行くことなんて、何一つなかった。それが、すごくつらかったのに、どうして忘れていられたのか。。。
いやいや、忘れていたわけではないのです。大人になった今、思い通りに行かないことがあまりにも日常で起きすぎていて、それが私たちの日常にしみこんでしまっていたんだ、と思うのです。だから、大人になった今は、少しくらい思い通りにいかないことがあったって、動じずにいられるんでしょう。慣れただけ。決して思い通りに行くことが増えたわけではない。
そうやって私たちは、生きていくしかない。生き延びていくしかない。この作品を読んで、そう思いました。
最後、の佐緒里のセリフも印象的。
「私たちは、絶対にまた私たちみたいに人に出会える」
人生は確かに思い通りに行かないけれど、あきらめてはいけない。希望を捨ててはいけない。そう感じさせられた。
最後、号泣でした。
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読み易かった。小学生太輔が主人公で舞台は児童施設。
最後のところですごく感動した。こんなに素晴らしい仲間に会えたから、同じように素晴らしい仲間が新しい環境でも現れるかな?って思える仲間に出会えただけで幸せな事なんだって思う。
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初めの三年前で泣く。
最後でも泣く。
叔母さんが変わりを探してる。
ありさちゃんの映画。
はっとさせられる。悲しいけど、暖かい小説。
何者は心臓えぐられるようだけど、この本は、不安なんだけど安心する気持ちになれました。
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20130918読了
☆p321
いじめられたら逃げればいい。笑われたら、笑わない人を探しに行けばいい。うまくいかないって思ったら、その相手がほんとうの家族だったとしても、離れればいい。そのとき誰かに逃げたって笑われてもいいの。
↑朝井さんのツイートを読み、きっとこの一文を伝えるために書いた作品なのだと感じた。
p169
ゲーム機や携帯電話はジュースをこぼしただけですぐに壊れてしまうのに、こんなに水浸しになってもいつもと同じように動き続けるこの町は、一体どういう仕組みなのだろう。
p170
だけどやっぱり、怒りは悲しみに負ける。
p176
伯母さんの家から飛び出したとき、自分は、果てしなく広い宇宙にたったひとりきりで放り出されたような気がした。ここに帰ってくれば、きっと、その宇宙に誰かが入ってきてくれると思っていた。みんなに合会えば、何もない宇宙がにぎやかになってくれると信じていた。
〜
勘違いをしていた。みんや、それぞれの宇宙の中にひとりっきりなんだ。
p201
太輔は、自分が何をしたところで、何も変わらないこともあるということを知っている。自分が関わっているのはこの世界のほんの一部の一部の一部で、自分のいない99・999パーセントのところで、宇宙も世界もまるごと動いているのだと知っている。
p269
同じ体育館の中、こんなに小さな世界の中でも、いくつもの時間が流れている。
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朝井リョウくん、今度は養護施設を舞台にした物語ですか。 高校生・大学生・若者というイメージが強かったから意外だったけど でも、上手になったんじゃない?(#^.^#)なんて親戚の小母さん気分のじゅんです。.(とは言え、ちょいと言わせてもらいたいこともあれこれあったりして。汗)
親元を離れて施設に暮らす子どもたち、なんだからそれぞれ事情を抱えているに決まっているわけで、
そんな年少者にあれこれ構えて接する大人やボランティアの人たちの暑苦しさや頓珍漢さ、の描写が巧いなぁ、と、うん、リョウくん、段々プロの作家になってきたじゃん、なんて、直木賞作家に何言ってんだ、ってなもんですけど。
主人公は、両親を交通事故で亡くし、叔父夫婦の元に引き取られたものの、そこでうまくいかず、虐待に結びついてしまったという経歴を持つ男の子・太輔。
彼の心の動きが丁寧に語られて、大人の突っ走りや、子どもなりの事情がよくわかります。
また、物語を通して、いい具合に小出しにされるあれこれのおかげで、そっか、そうだったのか、と謎解き的な楽しみ方もできたりしてね。
太輔が施設にやってきたのは小三の時で、
その時からずっと同じ班のメンバーは
しっかりしたお姉さん役の佐緒里(中三)
元気な麻利(小一)
その兄で少々気弱な淳也(小三)
一言多く、トラブルメーカー気味である美保子(小二)
そして太輔
そんな彼らの三年間を描き、空にランタンを飛ばす「蛍祭り」を復活させよう、という作戦がクライマックスなのだけど、
私が一番、うんうん、そうだよね、と思えたのは、
麻利や淳也がそれぞれ、クラスメートから苛められ続け、
それに対して、淳也が
「人をいじめる奴はいじめ続ける。」
だから、転校する、施設も別のところに変わる、と宣言。
そして、「いつまでもがまんして、いつまでも同じところに必要なんてない」と。
すると佐緒里も、
「いじめられたら逃げればいい。笑われたら、笑わない人を探しにいけばいい。うまくいかないって思ったら、その相手がほんとうの家族だったとしても、離れればいい。」
「逃げた先にも、同じだけの希望があるはずだもん」
・・・・ただ、正直、なんか変じゃないの?といった展開がかなり気になったのも確か。
手作りキルトのバザーで施設の子どもたちが旅行に行く、なんて無理でしょ! とか、
ランタンの材料の調達方法も、それはないでしょう、とか、
そもそも、施設の生活班のメンバーがずっと変わらず何年もそのまま、ってそれにも無理があるよね、とか、
ネタばれです。
佐緒里のことは、それでいいの? これもそもそもに無理があるんじゃないの?とか。
そして、それぞれが物語の大事な要素につながるものだけに、ただ重箱の隅を突っついているだけじゃない、というところが辛い、かなぁ。
リョウくん(なんて失礼だよね、ゴメン! でもデビュー作からずっと読んでいる読者として許してほしい。(#^.^#))の若さゆえ、次に期待、と新作を読むたびに思い、また、実際、一作ごとに上手になっていることを実感しています。
あはは・・・ホント、直木賞作家に言うことじゃないんだけど。
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今回は養護施設で暮らす小学生が主人公
「いじめられたら 逃げてもいいんだよ
という事を書きたかった」と
どこかで (情熱大陸かな?)朝井さんが言われてたので
どんなストーリーになるんだろう?と楽しみにしていました
いろいろな選択肢、可能性がある!
苦境にいる人たちがそういう明るい未来を想像できるといいなぁ
さわやかな読後感でした
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人生を世界地図と言っているのかなぁ。
施設に暮らす小中学生を中心とした物語。
両親が不仲というわけでも姉妹で不仲というわけでもないので、かなり想像しにくい設定ではあるのだが、世の中にはこのような世界も存在していることは確か。
信じ合える、信じられる人がいるということは恵まれたことなんだなぁ。
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久しぶりのゆっくりお風呂のお供でした(笑)
いろいろな状況で施設に預けられた子供たちのお話。
しんどかったら逃げていいんだよーっていうのが作者さんからの一番のメッセージなのかな。
ほんとにその通りだよなぁ。
施設ってきくと、もっと周りからの偏見とかをイメージしてしまう。
いじめの問題はあったけど、学校でも楽しそうな場面もあったし、私が偏見持ってる嫌な大人なのかな、と、ちょっと反省。
6年生なんてまだまだ子供なのに、なんか大人っぽいのがちょっと切ない。
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とっても期待して読んだのに。。。。。。。。
今の朝井君にしかかけないものを書いたほうがよいと思うけど。
ムリし過ぎ。
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子供にとっての未来を「世界地図」と捉えたタイトル設定なんだろう。
「人との出会い」というきっかけで何とでも地図は塗り替えていくことが出来る、というメッセージが本書の主題だろうか。エールの様な思いが入ってるようだ。
出てくる環境はありきたり、でも暖かいストーリーが心地よい。
「桐島~」にイマイチついていけなかったが、本作はすっきりとした読後感だったので好印象。
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どうしてこのような作品を書いたんだろう?朝井リョウ氏にこのような作品は望んでいないのに(少なくとも私は)
施設で暮らす子供達が複雑な家庭環境や学校でのイジメに健気にも立ち向かって行く様子や将来への希望を描く。
まるで重松清氏の作品のよう。悪くは無いんだけれど何か無理を感じる。今までは現代のひずみのある人間関係であっても冷静に本質を見極めるような、冷めた中にも人間性を示唆する内容だったけれど、本作品はTVドラマの脚本のようにベタである。
次作では、朝井氏らしい作品を期待したい。
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思わずじーんとしみじみしてしまった。少年たちの物語ってキレイにまとまりすぎたり、できすぎたまとまり方をしていたりしちゃうけど、妙に暗かったり寂しかったりで、「何者」にも通じるいやらしさみたいなものまで感じられて、それが朝井リョウのおもしろさなんだなと思った。
とてもいい話。好きな本。