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ぼくが住んでるのが東武スカイツリーライン(←恥ずかしい名前だなあ……)なもんだから読んでみた。ニュートラルな意見にならず、つい、提案など私見を盛り込んでしまうあたりが「鉄」向けっぽい。鉄郎くん、鉄子さんにとっては、「ふん、ふん」とか「いや、それは……」とか思えて面白いんだろうな。ぼくはそれほど「鉄」じゃないので、列車の型式とかを当たり前のように書かれてもちんぷんかんぷん。でも、遠い日に乗ったり散歩の途中で手を振った列車の写真もあって懐かしい。
列車の話だけでなく、事業体としての東武鉄道を取り上げているので、むしろそちらに関する話が面白かった。
こういう本ってある程度、ほめに徹するものかと思うけど、「地味である」「いまひとつ冴えない」といった言葉が散見される。沿線住民としてはちょっとおもしろくないけど、自分もそんなふうに思っていることは否定できない……。路線長では国内民鉄第2位にも関わらず、そして業績だって悪くないにもかかわらず、精彩を欠くところがもったいないんだよな。この本でも、地味で冴えないが時流に踊らされず非常に堅調だと言っているし、これまでの事業に関しても、本業にしっかり軸足を置き、妥当なことを失敗なくやってきたとしている。列車に関しても、地味で冴えないのが多いけど概ねうなずける設計と利用方法だとしているし、デラックスロマンスカー(きぬ号、けごん号)やスペーシアについては民鉄特急のなかでも別格の女王にふさわしいと、手放しといえるくらい評価している。
無駄なく堅調な性格で、秘めたる力をもっている東武――これから先が楽しみだ。できれば、もうちょっと派手にやってもらいたいな。スカイツリーもできたことだし。あ、それからやっぱり、「スカイツリーライン」ってのはやめてください。