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安定のジェットコースター展開。
連作中篇集ということで、始まりはお嬢様学園でのサスペンスアクション~の滑り出しだったのが、いつの間にかガラガラと転げ落ち、あるいは登り詰め、最後の書き下ろしに至っては、既刊の長篇『人工少女販売所』『幼形成熟の終わり』もかくやという「スワロウテイルらしい」えげつない話になってしまう。
既刊の時もそうだったけど、このシリーズは手品だ。種も仕掛けもあるのに魔法のように見える鮮やかな手品。
自我の形成、脳の働き、意識とは何か、そういうことに食指が伸びる人には絶対おすすめです。
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シリーズ第3作。時系列的には最初に位置する今作では清楚でかつ隠微なお嬢様学園での物語を主軸に、ヒトとヒトに造られし人工妖精が持つ「自己認識」「自我」に正面から切り込む難解で奥深いストーリーが読み応え抜群、といったところ。
自分としては雪柳が読んでてお気に入りだったので、最後はちょっと、ウルウルっと来ちゃいましたよ。
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SFマガジン誌上に掲載されたもの、PDFで無料配布されたものに書き下ろしを加えた連作中編集。長編2編より前の時間軸、揚羽の五稜郭での学生時代を舞台に五等級の魔女誕生の経緯を描く。
誌上での掲載を追っかけていたので想定よりも早く、また、連載時のものに加え新規の挿絵も収録とうれしい仕様での刊行に歓喜です。
書き下ろしでの椛子閣下と揚羽のやり取りや鏡子さんのアクションシーン等のうれしいシーンに、怒涛の複線回収、長編への繋がりと非常に楽しめた。
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連作中編。それぞれに完結する中編を重ねながら1つの大きな物語を形作る構成は見事です。難しい言い回しで煙に巻かれている感じは若干ありますが、圧倒的なテキスト量と、それでいて不思議に読みやすい文体で、実にSFらしい小説だと思います。
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本作はハヤカワ文庫には珍しく、シリーズ通してカバーイラストを手がけている竹岡美穂さんの挿絵があります。カバーの方も表紙、背表紙、裏表紙とイラストが続いており、本棚に並べるとちょっと目立ちます。
話としては、これまで出ている三作品の中では、最初の話にあたるのでしょうが、割と世界観を知っておかないと解り辛いところがあります。(主に鏡子のやり取り)
読むのであればやはり最初に「出た」話を読むことをオススメします。
あとネコミミです。
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人間の境界、複雑な政治力学、閉鎖された空間故の問題、そして登場する主人公達がそれらに翻弄される様がこのシリーズの中心だと思っているのだが、今作は化物染み怪しげな「不言」が全てを攫ってしまっていて、とても異質に思える。
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シリーズの3作品目にして、序章と銘打たれてる作品。
揚羽が「黒の五等級」を名乗る前の物語。
連作短編で、揚羽が五稜郭の生徒でいながらにして、
アクアノートとして活躍していくのだけど、
ミステリ・アクションの要素はありつつも、
それ以上に揚羽の学園生活に重点が置かれてる。
学園生活というか、雪柳や連理たちとの百合っぽい絡み、
そういった部分が読んでいて楽しい。
だからこそ、4篇目の物語で揚羽が学園から放逐されて
しまったことや、雪柳との別れがとても辛く哀しい。
読み終えてみて、また1作目を読みたくなった。
それ以上にやっぱり人工妖精が欲しくなった。
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相変わらずの面白さとクオリティを持つシリーズ三作目。
女学園×SF×ミステリ×必殺仕事人の素敵な融合。七色の蝶が舞い四季をめぐる情景、コメディとシリアスのバランスのある会話、SF的な謎の解明、物語の感動、と満足度高し。
鏡子さんの独自な価値観をもった罵倒も健在(笑) 今回は連作短編集だから謎の解明と戦闘場面が何度も楽しめる。
不可解な謎を提示し、丁寧に伏線を張り、推理し、と、綺麗にミステリの構図を物語の進め方に用いている。ミステリの文法が藤間千歳という作家には身体に染み込んでいるんじゃないかな。
あと、風気質[マカライト]のトリックスターぶりは物語を動かす上でも魅力的なのだと今回判明。
好きなミステリ作家が誰なのか作者さんに訊いてみたいかも。
あと、SFとしての大ネタと事件の黒幕が重なるのが独特。
現在、新作を楽しみにしてる国内SF作家さんの一人。
国内SFミステリの書き手としても藤間さんが有望株だと思う。
それと、瀬名秀明の『デカルトの密室』と読み比べても良いかもしれない。
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肉とかセックスとかえげつないなーとは思いながらも、人間はえげつないものだし、自分はそのえげつない表現に惹かれているのだし。
連作として貫かれているのは、学園生活(およびその後)と、「不言」との戦い。
五稜郭→空蝉計画という、舞台そのものが話のキモとなる作りは、やはり、さすが。
最後は「根性でなんとかなった感」は否めないが、それは作者の筆力。
負けじと読んでいた(この姿勢そのものがおかしいのかも)にもかかわらずぐっときてしまう。
願わくは鏡子のイラストを。
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始まりに繋がる短編集。揚羽の看護学校時代、友人を巻き込み事件を追うシリーズ。ひとつひとつで完結かと思いきや・・・、なんだこれ最後にうまく繋がる! すごい!
短編ごとの物語も、長編のごちゃごちゃに比べて綺麗にまとまってて読みやすかった。
しかし揚羽ちゃんのどん底突き落とされ具合は哀れですね。どうしてこうなったの、誰よりいい子なのに(ノx`。)
そして語られる内容が難しくてむむむー。対談というカタチよりは、地の分で深く語ってもらったほうがわかりやすかったかもしれないところがちらほら・・あぁ知識のなさに泣ける。
化学的なお話をすんなり理解できるようになりたいな…
ところで人工妖精の最後は散り散りになるのか、死体が残るものなのか、最後までわからないままだ。また1巻を読み直したい。
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人間によって作られた人工妖精のお話。
表紙挿絵は可愛らしいですが、倫理であったり、哲学であったり、
かなり読み応えあります。
戦闘シーンと日常シーンの緩急がとても心地よいです。
そしてなんといっても鏡子の高説が耳に残ります。
特に二編目の『魔法と科学』一気に作品に引き込まれました。
序章ということで最初に買いましたが、
『人気シリーズの前日譚たる連作中篇集。』
ということで三冊目の現在での最新刊ということになります。
(読み終わって気づきました)
これ一冊でも充分面白いんですが、
既刊二冊読んでからだとまた違った印象が生まれたかも、、
とりあえず既刊読んでみます!
920円+税 と若干お高い感じがしますが、ページ数も多く読み応えがあるので気になった方は是非読んでみてください!
ーーーーーーーネタバレ?雑感。
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これは多分、マルドゥックとか攻殻機動隊とかが好きなら多分面白いかと。(荒)自分は何故かアニメ一回見ただけの空の境界が浮かびました。
鏡子と橙子?かな。
日常場パートの設定とか会話劇にニヨニヨと楽しめた。
ロボット三原則を絡めたパラドックスは相変わらず頭痛くなる。
揚羽の存、存在意義がどこまでも重いんだけどエピローグに救われる。
連理と燕貴がイイ!!
(闊達ボブと剣士ポニテキャラ)
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なつかしかったので、というか前の忘れていたので
読み終わった後に
人工少女販売処と幼形成熟の終わりを読み直した
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86:前二作の前日譚に当たる、揚羽が五稜郭の学生だった頃の物語。細切れに読んだせいか、人物関係や団体の思惑がこんがらがってよく理解できず、上辺だけをなぞって読み終えてしまった感じ。ヒトが作った意識体「人工妖精」という設定は大好きだし、面白い。このまま「?」のまま本棚に並べるのは勿体ないので、時間を作って通して読みたいな。
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「きゃ、やだ、くすぐらないで!こら、揚羽ったら!」
「よいではないか、よいではないか、はっはっはっ、鶴のように鳴くのう」
「お姉様、お声がいやらしくてお素敵です!」
「もう!やったわね、揚羽!パジャマを引っぱがすわよ!」
「あっ・・・あ、それはだめ!や、ちょっ、ちょっと連理、見えてる、見えちゃう!」
「連理様、お手つきがおいやらしくてお素敵です!」
人工妖精達の学園生活を描きながら、最終章はハードSFらしく締める。設定にもすっかり慣れたところで、近未来東京人工妖精ワールド全開、秘密の花園も絶好調です。ハードSF、しかしながらラノベ風味満載、読んでて楽しいわ~、まだまだ続いて欲しい!今回は可愛い挿絵も入ってて電車でおっさんが読むには少し恥ずかしい、(別に誰も覗きこまないけれど)でも読まなきゃ判らない面白さです。
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アンドロイドの「人工妖精」が教育を受ける女学園で起こる様々な事件の顛末を描いた連作集。
SFとしての世界観に暗躍する様々な巨大組織、さらに終盤には観念的な話もでてきて理解は難しかったのですが、その分世界観の構築がすごかったです。
話自体はシリアスな展開なのですが、主人公の揚羽とその妹分である雪柳や学友たちとのやり取りはユーモアも取り入れられて、その辺のバランスが秀逸!初めのうちは世界観に戸惑っていたのですが、キャラのやり取りを楽しんでいるうちに、徐々にこの本の深い世界観や、シリアスな事件の数々にもなじめていった気がします。
シリーズ三作目みたいなのですが、タイトルに序章と入っているのでこれから読んでみました。話の理解にはそれほど苦労しなかったと思います。切ない結末からどのようにシリーズ一作目につながっていくのか、これから非常に楽しみです。
そしてふと考えてみると、主要登場人物の中に男性キャラが全く出てこない小説を読んだのはこれが初めてかも(男勝りなキャラはいるけど)
ある意味著者の妄想が爆発した世界観ですね。嫌いじゃないけど(笑)挿絵も可愛かったです。