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よしもとさんが「とかげ」という短編を加筆修正した「ひとかげ」。
巻末にはオリジナル版も載っていました。
最近よしもとさんのエッセイを読むようになって。
おー日ごろこういうことを感じているのだなーと、ちょっとだけ垣間見て。
それから読んだせいか、妙にしっくりきました。
最近のよしもとさんの作品をどうも飲み込めずにいたのですが。
なんか、大丈夫になったような。
少なくとも「やだな」とは思わなかった。
ただ、こう、「とかげ」が進化したというか。
二つに分裂してしまったみたいで。
もとものとのあの話を闇雲に好きだったときとは、私の中で感じが変わった。
好きが二分の一になって、どっちも普通になったみたいな。
いい意味でいうと初恋の人と20年連れ添ったみたいな。
うーん、違うか。
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以前文庫で出した「とかげ」のリメイク。後の方に以前の「とかげ」も収録されています。授業で校異問題とか取り扱ったんですけど、この「ひとかげ」もやっぱり物議を醸したのかなあ。ばななさんの研究がどういう感じなのか知らないけど。
いろいろ忘れてるところが多かったので、大体こんな話だったっけなっていう感じで楽しめました。軽く前の文章と比べてみたんですけど、私は今の方が断然好きですね。以前に比べて今の方がずっと暖かで人間に近く、優しい印象を持ちました。
最後の「地獄に堕ちるかも」ってとかげが言うのですが、「でもいいの。地獄の方が患者さん多そうだから」なんだよね。彼女は自分が地獄に落ちる、それほどまで、たとえ「私」と一緒に暮らしていくようになってもまだまだ自分を許さないでいるのに、彼女はとにかく「人を救おう」としている。自分の仕事を本当に転職だと思っているのは勿論、(たとえ地獄に落ちている人であっても)人を何とか救い出そうとすることが彼女の使命…天命なんだろうなと思いました。
ばななさんの小説を読むと毎回新たな発見と、そして一貫したテーマが感じられるので本当に好きです。昔の方が好きで、今の作品を否定する人もいるんだなあ。
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絵に描いたような明るいカップルじゃなくたっていいのだ。お互いがお互いを必要としてしまっているかぎり。
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うーんいまいち。なんかぴんとこなかった。
リメイク前の『とかげ』も読んだはずだけど、どうも記憶にない。
またいつか読み直してみよう。
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いまさらながら、よしもとばななの「ひとかげ」を読んだ。
10年以上前に出た「とかげ」の本人によるリメイク版。
「とかげ」を読んだのは、まだ10代の頃。
「ひとかげ」を読んだ今は、20代も後半になってて。
作者と同じように、当時の読者もそれだけ年を重ねていて。
リメイクについては、賛否両論あるんだろうけど。
歳をとることによって、人は変化していくということ。
経験による成長ということについて、すごく感じるものがあった。
10代の自分と今の自分の、物のとらえ方の変化について
この作品を通して、改めて気づかされたというか。
薄々わかってはいたけれども、わざわざ見ようとしていなかった、
そういうものを目の前に差し出され、考えさせられた感じ。
思えば、社会に出てから。
10代のころに、あれほど読み漁っていたばななや村上春樹に
魅力を感じられなくなり、避けがちになっていたけれど。
それは若い頃の、拙い自分を見るのが恥ずかしい。
意識はしていなかったけれど…
そういう気持ちがあったからなのかもしれないと、今になって改めて思った。
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「とかげ」の続編かと思ったら、違いました。
全体の読後感は「とかげ」も「ひとかげ」も変わりませんでした。ただ、「とかげ」のよさと「ひとかげ」のよさ、それぞれあって、一文一文に感じるものはこっちがいいな、あっちがいいなと、それぞれでした。
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『とかげ』の続編かと思ったが、焼き直し版らしい。
『とかげ』から数えると、もう何度読んだか分からないほどだ。
親を見切ること。
流れ。
傷を負うこと。
避けるか馴染むか。
命がけでシンクロを望むこと。
下心や暗黙の了解もなく、ただ泣きたくなる恋。
私が母に愛されていた思い出。
透明で丁寧に淡々と真実が語られていき
短編集であることも手伝ってとても読みやすい。
重いことが書かれていても、どこかに救いがある。
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「とかげ」は読んだ事がなかったのですが、先にコチラを。感想としては「ひとかげ」の方が好きでした。
読了後は「時間は偉大だ」の一言を拾い上げていたのですが
今も心に残ってるのは、冒頭の方の恋ということについての彼の想いです(文章は忘れてしまったのでした^^;)
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やっぱり、よしもとばななの本は、僕の心にぴったりくるな。
この世界観、人生観、恋愛感は。
けっして、おしゃれではなく、感動的でもなく、美しくもなく、うまい表現でもなく。
淡々とした語り口。
やっぱり僕は「とかげ」に恋をしていたようだ。
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2010/02/18
よしもとばななは、読んでてすーっと入ってくる時期と、
なんかおなかがいっぱいで、すんなり受け入れられない時期があって、今は後者の時期だ。
きっといっぱいいっぱいの時には、ちゃんと読めない。
また気持ちが落ち着いているときに、ゆっくり味わいながら読もう。
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まず、何よりも「はじめに」がとてもよいと思う。そして、「とかげ」を先に読んだので「ひとかげ」は若干くどく感じてしまったけど、どちらもそれぞれ良かったと思う。新旧どちらも一つの本にいれてくださった心づかいに感謝したい。
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Tちゃんから借りて読んだ本。
「とかげ」と呼ばれる女性にプロポーズした語り手にとかげは、「秘密があるの」と答える。秘密の告白を経て、語り手ととかげは――。という話。
で、過去に書いた「とかげ」と、そのリメイク版「ひとかげ」を同時収録という、ある意味作者の自虐的な構成。だって比較されちゃうんだから、書き手的にはすごく怖いだろうと思う。んだけど、割とそうでもなさそうな作者の前書き&後書きだったw
私がすきなのは「ひとかげ」のほうかな。
言葉を増やした分、感情の流れがスムーズに頭に入ってきた感じ。
ただ「とかげ」は、言葉が少ない分、ひとつひとつのフレーズが端的で鋭い感じはした。「ひとかげ」はそういう意味では柔らかい、丸くなった、という印象。
そのあまりか、途中まで語り手を女だと思って読んじゃったw どこがどうとうまく説明できないけど、一人称の文章が女性的で「おじさん」という語り手の自称にものすごい違和感が。まあ、読み進むうちに慣れて、普通に男性だと思いながら読めたけど。
生と死、罪と罰の負い方について悲壮感が足りないなあと思ったのは、これの前に読んだのが『虐殺器官』だったせいだろう。『虐殺器官』と比べたら、それはまあ、たいがい甘い描写だと感じるよなあ。順番が悪かった。
でも、表紙のあおり文、「心の闇をさらけ出す」「叫びをあげるふたりの魂が」は、何と比較しなくても言葉が大げさだとは思う。
吉本ばななは高校生のころによく読んだけど、大人になるとちょっと物足りないというか、私にはやわらかすぎるというか。
面白くなかったというわけではないけれど、好みの問題で星3つ。
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『とかげ』と『ひとかげ』の2作品が収録。
2作品といっても、同じ作品なんです。
過去に執筆した『とかげ』を
自らの手で、修正し、再出版したのが『ひとかげ』
新しく文が付け加えられたり、少しだけ表現が違っていたり、
人物の描写が少し変わっていたり。。
なんで、ここは新しく書き直したんだろう。
と思いながら文を追っていると
その部分には大きなメッセージが込められている気がしました。
とかげの方が不幸自慢と言ったら失礼だけど、
なんとなく、
「私は、悪い人間。不幸な人間。でも、それを受け入れていくわよ」
っていう、ひとりよがりさを感じました。
ひとかげは、不幸自慢がもっとナチュラルに薄められ
許されたいと思っているような人間くさい部分も感じられました。
そこが少し好き。
こういう読み比べができるなんて面白いです。
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とかげを前日に読み翌日にひとかげを読んだ
冒頭によしもとばななさん本人も述べてらっしゃるように14年前に書いた作品を読み直し時が経ちリメイクしたくなったと。
わたしはとかげよりひとかげのほうが断然すきです。
根本的な話は何も変わっていないけれどことばの言い回しや表現、そしてより深い闇をリアルに描くひとかげのほうがすきです。
ところどころにあるカバーの絵が色鮮やかに挿し絵として入っているのもとかげという女をイメージしやすいのもいい。
本書から抜粋
「私の聖堂には誰もいない、私もいない、人影がない。」
私も、私の聖堂を、取り戻さなくては。
わたし自身もそう感じた
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たまらない
暗さとあたたかさと。
こんな関係いいな。
2人とも自分の仕事に誇りを持っているんだなぁとも思った。
とかげの方がさらりとしてさりげない印象。
それぞれ良さはあるけど、個人的にはひとかげの方が好きです。温かみを持ってぶわっときて。
とかげを読んでしばらくたって、内容を結構忘れていたのも良かったのかも。