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一気読みできる娯楽小説。いかにもな不倫問題がテーマで、特にメッセージ性があるわけでもないが、さすがの人間描写と構成力、随所に吉田修一さんらしさが感じられた。
登場人物に感情移入しやすい作品なので、男女はもちろん既婚者、独身者、そして現実に不倫中の人、と読む人の立場よって受け取り方が異なると思う。私(独身女子)的には「このダメ男め!」と、男にイライラした。(不倫せざるをえない自分に酔ってるような…。でも現実、こういう男はなぜかモテる)
「騙す、騙される」という帯の宣伝コピーは少し誇張がある気がするが、文章の巧みな“仕掛け”で楽しませてくれた良作。
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一気読み。
愛に乱暴!
本当夫がクソすなぁ…。
でもこういう男ってきっとたくさんいそうだなとか思いました。
愛という狂気にのまれて、愚かで孤独な桃子さんに幸あれ。
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内容紹介
妻も、読者も、騙される! 『悪人』の作家が踏み込んだ、〈夫婦〉の闇の果て。これは私の、私たちの愛のはずだった――。夫の不実を疑い、姑の視線に耐えられなくなった時、桃子は誰にも言えぬ激しい衝動に身を委ねるのだが……。夫婦とは何か、愛人とは何か、〈家〉とは何か、妻が欲した言葉とは何か。『悪人』『横道世之介』の作家がかつてない強度で描破した、狂乱の純愛。本当に騙したのは、どちらなのだろう?
内容(「BOOK」データベースより)
これは私の、私たちの愛のはずだった―本当に騙したのは、妻か?夫か?やがて、読者も騙される狂乱の純愛。“家庭”にある闇奥。“独り”でいる孤絶。デビュー以来一貫して、「ひとが誰かと繋がること」を突き詰めてきた吉田修一が、かつてない強度で描く女の業火。
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『悪人』や『さよなら渓谷』など最近作は映画化されている吉田修一さんの作品だが、今回はどうだろう。読んでる途中から読後に至っても消えないなんだか嫌な感じが、その違和感を持ってしてそれぞれの読者にその人それぞれの登場人物に対する共感を持たせてくれる、そんなうまさがこの作品にもある。主人公の夫もある意味どこにでもいるだめな男だし、主人公の桃子さんもいまの時代では特段に強い女性な訳でもない。姑だってそうだし、桃子さんのご両親もごく良識的な社会人だ。
昔神父さんから誰かが幸せな気分でいるときにはかならずそのうらで傷ついている人がいるものですという結婚式の説法ではとんでもない物を聞いた事があったが、この作品を読むとうーん確かにと思うところはあるし、それを自分のことだけを大切に、傷ついた人たちの事を考えずに行き進むともしかしたらしっぺ返しがあるものなのかも。因果応報とはいったものだが。。吉田修一さんの作品はいつもそんな事を考えさせてくれる。気分いい物ではないのだが。
映画化は去れないでしょう、多分。
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確かCREAに載ってたから
逗子図書館にあり
これはおもしろかった。
いるよね〜。こういう男に、こういう男側の家族。
自分達さえ良ければいい人達。
自分達さえ、守られればいい人達…。
こういう人達とは、ご縁がありませんように…。
あと、この小説には、ちょいちょい紅茶やプーアル茶が出てくる。
それがまたいいかな。
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妻の日記が効果的に使われていて、途中ではっと気付き構成の妙に感心した。夫の半端ない自分勝手さが腹立たしい。桃子さんもチェーンソーで、床板切って穴掘るぐらいアグレッシブなのだから、別の人生始められないのかと、そこら辺が少し不思議です。
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作者は女性なの?と疑ってしまいたくなるくらい
桃子の細かい描写がすごい。
チェーンソーを買ってみたり、床下を掘ってみたり
分からないけど、分かるっみたいな
嫌な話なんだけど読む手が止まらない
不思議な一冊。
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内容は極めて通俗的。夫の不倫、義母との確執、義父の介護。…暫く読み続けていくと、途中で現れる違和感。あれっ?…物語に仕掛けられた巧妙な罠。そこでこの物語を通す一貫性に気がつかされます。なるほど、そういうことか。個人的感想としては、古い家自体が有する磁場+狂気ということですかね。
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吉田修一さんの新刊。
なんだかいつもの作品と様子が違います。
不穏な空気と晴れない気持ち。
少し戸惑いました。
”愛に乱暴”かぁ…。
自分の中でこの小説の位置が定まりません。
小説を通して色濃く存在している桃子について思いを巡らせてしまう。
どうしてあんな壊れ方になってしまったのか?
桃子の送った8年間の結婚生活とは?
桃子の、自分の解釈ばかり一人歩きしすぎているところが痛々しい。
夫との関係の破綻してきてからは興奮して相手の話を聞けず、自分の言葉ばかりを投げつけるのが哀れで辛かったです。
日記の部分、初めのうちは面白く読んでいたのだけれど、途中から苦しくなってきました。
自分を見つめるということはきっと、普通の人にとって相当に難しいことなのだろうと思う。
夫・真守や義母が、本当のところどのような考え方をし、桃子に対してどのように接し、どんな風に感じていたのか?
この作品の形から外れるところなのは承知の上ですが、そのあたりのもやもや感が残ります。
でも夫婦と不倫なんていうテーマで吉田修一さんが書くとこんな風になるんですね。
描写の繊細さや、絶妙な加減がやはりすごいと思いました。
これからもずっと吉田修一作品を読みたいです。
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内容紹介
“妻も、読者も、騙される! 『悪人』の作家が踏み込んだ、〈夫婦〉の闇の果て。これは私の、私たちの愛のはずだった――。夫の不実を疑い、姑の視線に耐えられなくなった時、桃子は誰にも言えぬ激しい衝動に身を委ねるのだが……。夫婦とは何か、愛人とは何か、〈家〉とは何か、妻が欲した言葉とは何か。『悪人』『横道世之介』の作家がかつてない強度で描破した、狂乱の純愛。本当に騙したのは、どちらなのだろう?”
内容はありふれた男と女のドロドロで、読んでいてヒリヒリしてきます。
読み間違いをしていることに気付くと、再読したくなる。その構成は俊逸で、楽しめます。
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同じ敷地内にある離れで暮らす主婦が主役。姑に気を使い、夫の浮気を疑い、少しずつ狂い始める。
この作者のすごいところは、狂気を正気に思わせて共感性を持たせるところ。狂っている主人公がせつない。
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なんかとっちらかったまま終わってしまった感。
投げ出された気分。
なかなか物語に入り込めず、最後はザラッとした不快感で読み終わった。
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例によって、図書館で借りてきました。
しかーし!まず装丁から「えっ?誰の本予約したんだっけ??」と思うほど吉田修一さんにしてはチョット意外。
そして冒頭「あ。不倫がテーマなの?吉田修一さんが?なんだか意外~」とまたしても違和感。
結果、やられましたよ~。
読み進めると途中からまんまとしてやられた感。
取りようによってはもはやホラーです。
夫の浮気によって壊れてゆく妻。
自分が気付かないうちにこんな風に心が壊れちゃったら恐ろしいなぁ。。
意外性に★4つ
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アタシにはわかる。
よ~くわかる。って、思いました。
タイトルの『愛に乱暴』がしっくりこなくって。
ラストに新聞小説で『愛の乱暴』を改題し、改稿したものです。
と、なっていて。
アタシには『愛の乱暴』の方がしっくりくるなぁ。
って、感じました。
やっぱり、新聞小説だったのね。
主人公の日記、葉月・・・。
やられましたぁ。
なるほどね。
吉田修一の新作ここんとこずっと読めているのだけど。
ジャンルがぁ、まったく違う。
テイスト、もの、すっごく変えている???
あっという間に読めるわ。
ある意味コワイけど。
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不倫のおはなし。略奪愛。
愛人と妻を交互に描写してるのかと思っていたらば、妻の過去(日記)と現在だった。
それが明かされたあとの怒涛の展開が面白い。
夫の不倫相手に子供が出来て離婚を迫られている主人公、
なぜか無性に気になる和室の床下をチェンソーで暴く主人公、
主人公が暮らしていた‘離れ’は、昔、お妾さんが暮らしていた‘離れ’だったと知る主人公、
義母や夫から狂人扱いされる主人公、
正気と狂気の間の主人公。
終盤。主人公の「相手の女には負けたくない」という心の根っこが掘り起こされる。
夫との略奪愛も、高価な食器の購入も、姑との好関係も舅の介護も、離婚への抗いも
相手の女(元妻や不倫相手)に負けたくないから。
主人公の「負けたくない」執念は、‘離れ’の下に埋められていた妾の「正妻に負けたくない」執念とリンクしているように見える。
離れに住んだから狂気に染まっていったのか、主人公の狂気が妾の狂気を掘り起こしたのか
***
でも読んでいる最中の私の気持ちは最初から最後まで ただひとつ。
「私なら、速攻別れる案件」
でした。