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短編8作。
わたしがここにいるように、彼らもそこにいるわけなのだけど、決定的に違うのは彼らには確固たる居場所があり、それを大切にとても大事にしている。
たとえ小さな世界だとしても、揺るぎないものがある彼らが羨ましく、ふと自分を省みて叫びだしてしまいそうになる。
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小川さんらしい、ちょっと不思議な世界を描いた短編集。
「小川さんぽい、小川さんぽい・・・」と思いながら読み切ってしまった。
もっと深く味わえばよかったなぁ。
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小川洋子の描き出す世界はいつも静謐で、少しだけ現実からずれている。
『ハモニカ兎』『断食蝸牛』『竜の子幼稚園』が良かった。
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“作品世界”とか“世界観”とか割と安易に使われてることばだけど、小川洋子ほど彼女独自の世界があるひとも、そういない気がする。と、小川さんの本を読むといつも、そう思う。そこにうまくハマれるか。心を持ってかれるか。今年読んだ新刊ではいまだに『ことり』が一番印象に残ってるし、どっぷりとハマれるとほんとうに心が潤う。豊かになれる。大好きな作家さん。…たぶん、体調とか心の具合とか、私のせいだと思うけど、そこまでハマれなかった。悔しい。日にち置いて、もう一回、読みたい。
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内容(「BOOK」データベースより)
たてがみはたっぷりとして瑞々しく、温かい―ディープインパクトの凱旋門賞への旅に帯同することになる一頭の馬、森の彼方此方に不思議な気配を残すビーバー、村のシンボルの兎、美しいティアーズラインを持つチーター、万華鏡のように発色する蝸牛…。人の孤独を包み込むかのような気高い動物たちの美しさ、優しさを、新鮮な物語に描く小説集。
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動物が重要なキーになる短編集。悲しみ、滑稽さ、恐ろしさが小川さん独特の静かで繊細で細かく描写されている。どれも印象的な物語。ハモニカ兎、チーター準備中、竜の子幼稚園が特に。よく小川さんの小説に出てくる似たような人物像もある。竜の子幼稚園は一気に泣いた。
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動物を優しい眼で見守る8つの短編。帯のコピーにある人の孤独を包み込むかのような気高い動物たちの美しさ優しさを新鮮な物語に描く…素敵な作品。彼ら動物の存在が愛しくなり、人も自分の役割の中でしっかり生きる事の大切さを感じさせてくれる一冊。
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動物にまつわるお話をまとめた短編集。
どれも小川洋子さんらしい、何かが欠けていて、「普通」の世界には馴染まない人達の、一風変わった、じんわりと沁みるお話だった。彼らのささやかで慎ましやかな生活は、何故か私を哀しいような切ないような気持ちに…そして彼らのその小さな世界が脅かされることなく守られるようにと、祈るような気持ちにさせる。
「ビーバーの小枝」「チーター準備中」、そして「竜の子幼稚園」が特に印象に残った。どれも今はもう会うことの叶わない親しい人を想う話。
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動物がキーとして出てくる短編集。
久しぶりに難解な物語が多かった印象。
あらすじに書き出せば数行で終わってしまう物語を繊細な描写で膨らませるような作品なので、
悪くいえばテンポがよくない。読み手を選ぶなあという感想。
ただやはり、登場人物たちの背景、人生が行間から溢れ出す感じがとても好きである。
『帯同馬』の主人公がモノレールにしか乗れなくなる下りと、『チーター準備中』のカバの死が特に印象的。
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『ハモニカ兎』『目隠しされた小鷺』『チーター準備中』『断食蝸牛』・・・題からして、そそられませんか?世界の片隅のどこか、そこにいつも存在している、彼らの物語。
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生きるのがちょっとだけ上手じゃないけれどそれでも自分の居場所をひっそりと保持できている人と、無力に見えるけど気高く生きている動物たちとの関わり合いを書かせたら、小川洋子さんは天下一品ですね。.
大好きな「ブラフマンの埋葬」「ことり」の流れを汲む掌編集で、あぁ、いいなぁ、小川さん、好きだなぁ、と思いながら最後まで読むことができました。(#^.^#)
スーパーでの試食品販売で一人暮らしの生計をたてる女性を描く「帯同馬」。
誰の邪魔にもならず、自分の小さな場所から決してはみ出さず、と細心の注意を払う彼女なのに、販売の際の工夫によって、行く先々のスーパーで確実に売上を上げるという設定の優しさが嬉しいです。
押しつけがましさのないあれこれに彼女の人柄が反映されとても好ましいし、私だってこれなら買っちゃう!って思ったりもしてね。
そんな彼女の前によくあらわれる、試食品ハンターとでもいうべき小母さん。
あぁ、やだなぁ、彼女がイヤな思いをしないといいけど、と思っていたのだけど、そこは小川さん、そんな小母さんにもしっかり小川色をつけてくれて、骨太なガラス細工(変なたとえだぁ~!)状の背景を。
小母さんの虚言癖さえ、哀しみと可笑しみが混合されていて、うん、色々あったんだね、なんて。
そして、彼女がスーパーに通う際に乗るモノレールの沿線にある競馬場からフランスのレースに出場するため出国した競馬馬と、その馬の“慣れない土地への移動のストレスを解消するため”に同行する馬がタイトルの帯同馬。
彼女は暗闇で不安がる二頭を思い、ため息をついたり、そんな中でのお互いに慰めあう彼らを想像し誇らしく感じたり。
特に、スターではない帯同馬に思いを馳せるのは、彼女の人となりを考えれば自然なことで、そんな、彼女の日常と馬たちへの想いの小さなお話、楽しんで読むことができました。
そのほか、
「ビーバーの小枝」「ハモニカ兎」「目隠しされた小鷺」「愛犬ベネディクト」「チーター準備中」「断食蝸牛」「竜の子保育園」
どれもよかったです。(#^.^#)
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ミーナの行進な感じで、動物が登場する短編集。
最後の「竜の子幼稚園」が好きだなぁ。これぞ小川ワールドな感じで。
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ちょっとだけ 普通の人間社会から外れて
不器用な生活を送ってる主人公たち。
でも一生懸命 自分の居場所で頑張ってる。
強いなぁ‥
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どこかしらに動物が関わる、小川洋子らしい短編集。いつもより完成度は低かった気がする。最初の「帯同馬」と最後の「竜の子幼稚園」が好き。
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登場人物の多くは、不器用で少し孤独な人たち。
動物をモチーフにした8篇の物語は、時に優しく温かく、時に孤独をさらに浮き上がらせ、時には滑稽さを覚えたりもする。
「帯同馬」
「ビーバーの小枝」
「ハモニカ兎」
「目隠しされた小鷺」
「愛犬ベネディクト」
「チーター準備中」
「断食蝸牛」
「竜の子幼稚園」
なかでも好きなのは「愛犬ベネディクト」。
不登校の妹が盲腸で入院する間、彼女の愛犬の世話を任された兄。愛犬ベネディクトはブロンズの犬だが、妹から散歩や餌について細かい指示を出される。
彼女が家で毎日こつこつ作っている縮尺のおかしなドールハウスやベネディクトの餌。一緒に住む祖父と兄の、それらの扱い方に妹への静かで濃やかな愛情を感じた。
「ビーバーの小枝」は描写が美しいと思った一篇。
森の緑、庭の畑、古いピアノ、バッハのゴルトベルク変奏曲、満月の下で泳ぐ池、ビーバーの気配。
そして、机に置かれたビーバーの骨とつややかな小枝。
色や音や匂いや、ひそやかな気配までもがページから漂ってくるよう。
「断食蝸牛」は怖かった。
落丁図書室は興味深いし、風車小屋からの景色も素敵そうだけれど。
虫がニガテ、特にうにょうにょしているものや寄生虫の話には卒倒しそうになるので、とても(生理的に)怖かった。
頭の中で映像化しながら読む自分のクセが恨めしい。
最初の「帯同馬」で、遠くへ行くのが怖くなり移動手段や距離に限りがある女性を描き、最後の「竜の子幼稚園」では、身代わりガラスを首から下げ依頼人に代わりどこへでも旅に出る女性を描く、という構成になっているのが、なんともいい。
登場人物は孤独な人たちと書いたが、みんな、どこかで誰かを思い、繋がっている。
くっきりとでなくても、ふんわりとした関係でも繋がっている。
だから、淋しいだけの物語集にはなっていない。
読み始め、不思議に感じた「いつも彼らはどこかに」というタイトルが、読み終わったとき、胸にすとんとおさまった。