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1日も経ずに読了。
とても面白かったです。
読後の感想を一言で言うなら、「人は本当に大切なものはいちばん近くにあることに気づかない」でしょうか。
主人公の二人は、結婚5年目になる砂漠の国の皇太子と皇太子妃です。
二人とも公務をこなしつつも有能なビジネスマン・ウーマンであり、それぞれの仕事に誇りと熱意を持っていました。仕事で世界中を飛び回る二人は夫婦でありながら、たまにしか一緒に過ごせませんが、そのときはとても満ち足りた時間を二人で過ごすのが常です。
そんな二人に突然、降って湧いたような夫の王位継承。そこから、これまで上手くいっていた夫婦の歯車がかみあわなくなります。王妃になることで、国や宮殿、その立場に縛り付けられ、自由を失うことを恐れ、夫から去ろうとするヒロインを国王になった夫は懸命に引き留めようとするのですが―。
最後にヒロインが「本当に大切なもの=夫」であることに気づくまでがとにかく長い、、、
これを回りくどいと感じる読者もいるかもしれません。しかし、私は妻を思う夫の、夫を思う妻のその愛の深さゆえの大きな苦悩が克明に描かれているように思えました。
一つ気になるのは、皇太子夫妻がまったく普通のビジネスマンのように世界各地を飛び回って、半分別居状態のような生活が本当に可能なのかしら、ということでした。砂漠の王国の有りようはよく知りませんが、普通は考えられないような気もしますが、どうなのでしょうか。