紙の本
夢覚める
2016/01/14 02:01
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「天地明察」を読み、さほどとは思わなかったが、脇人に人気の作家だというから、夢よもう一度と期待して2冊目・本書を買ったが、どうも感心しない。政争に巻き込まれていく清少納言の話。キャラが弱いのは、一人称で書かれているかとも考えたが、その清少納言にしたところで、全く入り込めない。瀬戸内寂聴氏の「月の輪草子」と比べてはむしろ、瀬戸内氏に失礼か。
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清少納言の一人語りで描かれている。
好みの問題だが、自分を卑下しつつも、実は中宮・定子から特別に想われているという自負を持っているような清少納言にどうも好感が持てない。
盛り上がりがあるような、ないような本作では雅な世界観に浸れなかった。
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作者としては初めてであろう一人称でしかも女性目線の話であり、過去の作者の作品から期待して読んだ向きには肩透かし的な感があるとはいえ、ここまで女性的な文章もかけるのかという作者の引き出しの多さには素直に感心する。ただし、あくまでも一人称であるがゆえに物語としてのダイナミック性には欠け、起伏が少なく、また、客観的な視点もないため、話としては物足らない感が残る。
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日本語の美しさ、言葉の含まれる意味というか、語らずとも多くを語る、表現力の豊かさに圧倒される。装丁の素晴らしさと共にとても印象的。
反面、彼女の語り口調が鬱陶しいというか、あまりに流れるようで面白味や人間味が感じられず物足りない。
この物足りなさを補うために枕草子を読みましょうか。
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読み終わって、ああ、やっぱり冲方丁さんの作品だなと思いました。
【光圀伝】で書いた感想と被りますが、やっぱり冲方丁さんの作品を貫くテーマは「アイデンティティの喪失と発見」であり、常に青春小説だなと思います。
主人公の清少納言は歌の才能を持ちながら、それを持て余して過ごしている。それがふとしたきっかけで、帝の妃である中宮定子に見出され、その才能を開花させると同時に、中宮に仕える中で、自分の“役割”を見出していく…。
こうして、あらすじを整理すると、実に【天地明察】や【光圀伝】と話の骨格が似ているかというのに気づきます。【天地明察】の安井算哲は天文学に自分の生きる場所を見出し、【光圀伝】の水戸光圀も「なぜ俺なんだ」ともがきながらも最終的には史書編纂に自分の人生の全てを費やしていく。【光圀伝】の感想にも書きましたが、冲方丁という人の出自、そして年齢というのが深く関係しているのだと思います。
【天地明察】や【光圀伝】と違うのは、主人公が女性であること、そして【はなとゆめ】が清少納言の一人称になっていることでしょうか。一人称に関しては、好き嫌いが出てきそうですが、中宮様への熱い思いを伝えるという意味では僕はこの手法で良かったと思います。相変わらず文章には膨大な知識の裏打ちがあり、まだ30代中盤なのにこの人の構成力、文章力は凄いなとただただ感心してしまいます。平安時代の貴族文化を覗くような面白さもあります。
ただ、それでも【光圀伝】より少し評価が劣るのは、肝心の「アイデンティティの喪失」部分に厚みを感じなかったからです。清少納言という人物はあれよあれよという間に中宮様に仕え、あまり葛藤もなく自分の居場所を見つけたような印象を持ちます。水戸光圀が「なぜ俺なんだ」と散々のたうち回っていたのとは真逆です。
【光圀伝】では晩年の記述に厚みが足りないと書きました。反対に【はなとゆめ】は青年期(とは言っても20代過ぎていますが)の記述が薄い気がします。どうもバランスが悪いのが、筆者が若く発展途上だからでしょうか。
しかし、それでも冲方丁さんの本をついつい読んでしまうのは、次こそはやってくれるに違いないという期待感をどの作品にも持てるからです。物語を貫くテーマは僕の大好物ですので。次回作がまた歴史物になるか分からないですが、何にせよ、新作を読み続けたい作家さんの一人です。
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清少納言が時の天皇である一条帝の妃、定子に仕えながら、枕草子を編纂していくさまが描かれている。
全編に渡り、清少納言の一人称で書かれており、それぞれの歌の背景がよくわかる。
「信頼関係、忠誠を尽す、奉仕の心」
何だか現代の我々に足りないものばかり。
2014.1.5読了
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わたし清少納言は28歳にして、帝の妃である中宮定子様に仕えることになった。華やかな宮中の雰囲気に馴染めずにいたが、17歳の定子様に漢詩の才能を認められ、知識を披露する楽しさに目覚めていく。貴族たちとの歌のやり取りなどが評判となり、清少納言の宮中での存在感は増していく。そんな中、定子様の父である関白・藤原道隆が死去し、叔父の道長が宮中で台頭していく。やがて一族の権力争いに清少納言も巻き込まれていき・・・。
清少納言は小学生の頃に読んだ本の影響で特に好きな歴史上の人物です。枕草子も古典の授業で一部読んでわくわくした。なので、彼女の人生がどうやって華とともにありそれが消えていくまでの大まかな流れは知っていたのですが、それ以上に彼女と中宮定子さまの華やかさ、気品、すぐれた知性に息をのむように読み進めました。言ってみれば一人の女房の人生を淡々と追っただけの小説なのにここまで奥行きというか深みがあるのは冲方さんの筆力なんだろうなあと思います。和歌や漢詩、そして自然を愛でる心、何かを面白がる姿勢にははっとしますね。枕草子、もう一度全文読破にチャレンジしたいです。
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当代随一の華を追い、華を愛し、華に仕えた。
そんな私の清少納言のイメージがそのままあらわれたみたいだった。
枕草子を読み返したくなった。
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枕草子はどうして「枕」なのか?
→http://toshoshimbun.jp/books_newspaper/dokusya_display.php?toukouno=295
前に読んだ『源氏物語 千年の謎』(高山由紀子著)の中の藤原道長とずいぶん違って面白い。
藤原行成は相変わらずだったけど。
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清少納言と中宮定子の物語をとても素敵に描いているとネットで目にしたのでブックマークしました。表紙が綺麗ですし、春休みにはぜひ読みたいです。
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あの、有名なことばで締め括られるラストが読後感よし。
源氏も好きですが、書き手としては元々納言派の私。色んな方の解釈の枕草子がある中で、これは女性に親しみ易い描かれ方だなあと思いました。物語に合った文体と平易な文章。憧れの定子への想いが切々と綴られて、自身の色恋についてはあっさりと書かれています。それはまた別の作者さんの本で楽しめますが。
同じ内容が繰り返されることも多く、最後まで読んでみて「ああ新聞連載だったのか」と納得しました。これが書き下ろしで、もっと冲方節というか、光圀伝くらいぎっちりと書き込まれれば、全く違う雰囲気の小説になりそうです。一気読みしたくなる勢いはないけれど、少しずつ読み進めて、そうそうあの人が、と原典を思い返すのが楽しい作品でした。
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清少納言は28歳にして帝の后・中宮定子に仕えることになる。内裏の雰囲気に馴染めずにいたが、定子に才能を認められていく。やがて藤原道長と定子一族との政争に巻き込まれ……。美しくも心震わす清少納言の生涯!
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冲方丁の歴史もの3作目は「天地明察」「光圀伝」とはうってかわって、平安時代。
清少納言のゆるやかな一人語りで描かれます。
教養があっても生かす場がなかった清少納言が、中宮定子のもとに出仕することに。
仕える女性たちは皆、身分が高くて美しい若い娘ばかりの中で、引け目を感じていたのが、中宮定子の上手な引き立てにあって、次第に明るくなり、才覚を発揮していきます。
美しい定子は、まだ年若い一条天皇と相思相愛で、微笑ましい仲。
まだ17歳なのに気配りのできる心広い定子に魅了され、間近に暮らせる晴れがましさ。
定子に読んでもらえる嬉しさに、ちょっとした面白いことを書き留めることに。
それも定子の父の死、兄弟の不祥事、かわって権力を握った叔父・道長に追い落とされようとする年月へと、事態は暗転していくのですが‥
そんな暮らしの中でも、定子のいる場所は明るく笑いに満ちていた。
そのときの出来事、その頃の素晴らしさを書き残そうと決意する清少納言。
とっさの機転が利く性格は、枕草子にあるエピソードを生み出すのでした。
清少納言の性格はさまざまに描かれてきましたが、この作品では現代にも通じるような、かなり普通の感性を持った女性という印象。
偏ったイメージを持っていた読者は、前よりも好きになるのではないかしら。
この時代は興味あるので色々読んでいますから、知らなかったことは余りありませんが。
兄弟が流罪になったときに、定子が髪を下ろした事件の解釈が新しい。
あまりの衝撃と悲しみに、短絡的にやってしまったようでもあるのですが、この作品では、宮廷中を敵に回しても兄弟を守る盾になろうとした決意の表れとしています。
りりしい定子さまですね。
こんなに賢くて器の大きい定子が男性だったら、道長の天下にならなかったかも?
いやこの時代、天皇に嫁いで上手くいくことは、すごく大事な役割なのですけどね。
わかりやすい柔らかな文章で雅な雰囲気も出しつつ、整理した形で事件の経過を描いているので、最初に読む本にいいと思います。
何よりも清少納言の定子への一途な思いがみずみずしく、心に残りました。
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男には難しいかもしれない。
中宮定子という華に心酔し、これほどまでに身も心も捧げ尽くすことに現実味は乏しく、清少納言のひとり語りという描き方も、薄紙一枚挟んで物語を眺めているようで、中宮定子の超然とした立ち居振る舞いの奥の真意にたどり着けないようなもどかしさを感じた。
比して、男たちの権謀術数や、女を巡る愚かしい争いなどは、笑えるほどに伝わってくる。そちらはことさらに的確だった。
後半の道長の焦りや一条帝の身を案じる行成の苦渋の決断も、冬の晴天の大気を見透すかのごとき鮮明さで心に届く。
清少納言が求め、愛した華なるもの。それに対する共感は男性には芽吹きにくいかもしれない。
清少納言が…その華を命を賭しても守ろうとしたとは、どうしても思えないまま読み終えた。
肥後のおもと…葛城の神よ。
あなたが守ろうとしたのはあなたの浄土か。あなたそのものなのか。
歴史は男の目線で語られることばかりだが…あなたの目が常に見つめていたものはなんなのか。
中宮定子の亡きあと、あなたはなぜ出家しなかったのか。いや、中宮剃髪の折、あなたはなぜ御髪を下ろさなかったのか。
心にはいくつものわだかまりが残っている…。
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白露の置くを待つ間の朝顔は
見ずぞなかなかあるべかりける
朝、白露が置くのを待つか待たないかの、ほんのいっときの間・・・・・・
それしか咲いてくれない朝顔の花は、むしろ見てしまうことで残念な思いに駆られる。
そんなことなら、いっそ花など見ないほうが良かったのではないかと。
朝顔の花を人の美しさ、栄光、誇りといった「華」に例え、それらもいつしか衰えてしまうものだと言う。しかし「華」を見られて幸せだったと清少納言は語る。
中宮定子VS藤原道長の上っ面をさらっと撫でた感じで清少納言に語らせた。
と言ったお話し。