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13章以降、金融の基礎知識がないため挫折気味。しかし、前半の大航海時代などの話は胸踊る楽しさだった。金融の世界史
世界史をお金の観点から考える本。自分自身来年から金融業界で働くことに決まったので、金融の起源に興味をもって読んだ。大航海時代が、いまでいうベンチャー投資のような時代であったという話が面白い。航海を志す人々が、資金力のある王家にプレゼンをして、資金援助をもらい、航海が成功した場合に香辛料などの売買で生まれた富を配当金として受け取るという仕組みであったという。コロンブスはインドへの計画を様々な王家にプレゼンテーションをして何とか資金援助を受けて航海に出ていった。そうした歴史的航海の数々がほんの5年ほどの間におこり、いわゆる大航海時代がスタートし、最終的に多くの植民地を持ちえたために産業革命に成功し、西洋がその後の世界の覇権を握るという流れがある。ここで面白いのが、当時の中国において鄭和の大船団がアフリカまで到達していたということ。そしてその船というのが当時の西洋とは比べ物にならないほどの技術力と規模を誇っていたという事実。しかし、結果としてモンゴル帝国の拡大による国防費の増大により、鄭和の航海計画は志半ばとなった。筆者は東西の権力の在り方について語り、東洋はおうおうにして意思決定機関がとても限定されていて、統率力がある反面、一人のトップの判断で歴史が変わってしまう。一方西洋は、意思決定機関が複数あり、コロンブスの様なベンチャー青年がほかに断られても結果的に航海に繰り出せるという点で、統率力こそないが一か八かで大発見や大成功が起こるという見解を述べている。歴史にIFは禁物というが、鄭和の大艦隊が喜望峰を回り、ヨーロッパ、さらには大西洋を渡りアメリカ大陸まで到達していたらと思うと、なんだか面白い。その他、歴史的事件をお金の側面から描く本作は、歴史好きにとってはとても面白い読み物だろう。ただ、自分は金融に関する用語や経済学について無知であったゆえに現代になるにつれて理解度が加速度的に低下してしまったのが悲しい。いずれ読み直した時には、現代の金融史を楽しめるようになりたい。
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金融の通史と言えるかどうかはともかく、貨幣、有価証券、デリバティブズ、簿記、為替など、およそ金融に関する古今東西の歴史的エピソードがてんこ盛り。時系列順に並んでいて、一話一話も短く、読みやすい。
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新潮選書の特徴なのか、おもしろくないというか、読む気が続かない。
・在庫管理のために文字を発明。
・利子は貨幣の前にあった。
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雑誌連載を本にまとめたもの。前著ほどのインパクトはないが気軽に読める
銀行による信用創造の起源として「ゴールドスミス説」。金匠は貴金属を預かって預り証を発行する。そのうち預り証が流通しだす。すると必ずしもゴールドを引き出さなくなるので、金匠は預かった以上のゴールドを貸し出すことができるようになる。貸したゴールドもまたすぐに金匠に預けられる
新大陸からの銀でスペインでは1世紀のあいだに物価が4倍にもなる。価格革命。インフレは地代収入により安定していた領主層や下層の民衆の生活を脅かす一方で、商工業の発展を促した。
イギリスが重商主義にはしって金銀の海外流出を規制したのでアメリカはポンド不足に。このためメキシコ・ドルが流通した。2001年まで米国株の呼び値は1/8ドル単位、これはピース・オブ・エイト(銀貨をペンチで等分していって1/8に)と同じ
岩井克人「ヴェニスの商人の資本論」
利潤は差異から生まれる=利潤を追求する者たちによって差異は埋められていく
堂島の延米取引。奉行所は差金決済だけの取引をなんども取り締まった。賭博行為、または米価上昇の原因と考えていたと思われる→300年以上たっても同じ議論ですな
会社法制度。州単位で立法するアメリカのほうが誘致競争がはたらいて対応が進んだ。1837年にコネチカットで株式会社設立が登記だけでできるようになったのを皮切りに多くの州で障壁を下げる方向へ。それまでは特許会社のようにいちいち法律がいったりした
日本の株式市場は第一次大戦の特需相場の反動で下げたあとずっと1930年代にいたるまで低迷していた。関東大震災もアメリカの大暴落も、すでに下げていた市場にはさほど大きなインパクトを与えなかった。陰鬱である
1950年代の配当革命。株式は不確実であるために歴史的に長期債券利回りよりも高い利回りが要求されていた。それが株式は長期保有により成長の果実を受けられるとの認識とともに利回りが逆転した。なお2012年時点で再逆転しそうだと(たぶんそのまま再逆転した気がする。長期停滞論とリンクする?)
日本のバブル相場。ワラント債で調達した資金が株式相場に還流して株高=ワラント高でまた発行の図式は、南海会社事件なんかと一緒
効率的ポートフォリオって要は市場全体と同じ比率ってことなのか。効率的フロンティアはなんか実測できなさそうだし。理論はあるのだろうが
インデックス・ファンドのマネージャーたちは運用コストを低減させる方法を数多く開発した。インデックス・ファンドによるまとまった貸株がなければ個別銘柄を空売りするヘッジ・ファンドも成立しなかっただろうと
CAPM→3ファクター(小型株効果、バリュー株効果)→4ファクター(モメンタム!)
結果からいえば株式市場はまったくのランダムでも完全に効率的でもなかった
ドットコムバブルで米国株式市場がピークした2000年以降はSP500の実質値は微減トレンドで調整中(ここ数年は多少上げたか?)名目値との違いに注意
「ブラジルは将来のある国だ。ただし問題は100年ものあいだ、いつも将来のある国だ��たということだ」20年ほど前のブラジルの船乗りの言葉
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2020/12/18金融の世界史 板谷敏彦 金融の歴史について博識
人類は進歩せず 同じ過ちを繰り返している
1.冒険貸借 航海ビジネス→プロジェクトファイナンス
利子ではなく保険料
財産権の侵害 国王への貸付は踏み倒される
→破産 預金封鎖も同じ
エリザベス女王ドレイクの海賊ビジネス=ベンチャービジネス
2.大航海時代で欧州の優位性
コロンブスの「多様性」vs中国「明の永楽帝」鄭和の大遠征
価格革命-新大陸の銀・インフレ-新興勢力の活躍、
印刷-宗教革命
グローバル化 閉鎖的な価値体系 異質が価値 利益をもたらす 資本が差異を失わせる
東インド会社 全ての航海を一事業 永久資本
3.鉄道事業 大規模な資金調達 株式会社の発明 エージェンシー問題
1899年時価総額の63%が鉄道株
1861年南北戦争国債発行に苦慮 投資銀行クックが個人向けに販売
4.ワイマール共和国 ハイパーインフレ
賠償金負担 物価上昇 マルク安 輸出堅調 ドイツ経済は好調
国債発行 短期債を中央銀行引き受け 長期債の発行へ振り替えが難航 通貨増発へ
仏国の賠償金過大 ドイツ経済の疲弊 ナチスの台頭 対仏戦争 戦勝 復讐の連鎖
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ちまたに溢れる『○○の世界史本』と同様、金融についての本質を探るための世界史の探訪ではなく、
金融について筆者の知っている歴史を語る本ではあるのだが、
雑学に逃げず、世界の金融の中心地の変遷と金融技術の発展に的が絞られており読みやすい。
・貨幣より先に誕生したメソポタミアの金利
・ギリシャの貨幣、両替商、オプション取引
・法社会ローマにおける財産権の確立
・キリスト教、イスラム教に忌避される金融業
・イタリア都市国家で発達する会計技術と銀行業務
・大航海時代と株式投資
・アムステルダムにて誕生したオランダ東インド会社と証券取引所
・ロンドンでの国債と保険の始まり
・初めてのバブルと恐慌
・アメリカにおける鉄道株式市場の勃興
・戦争と愛国的小口投資
・二次大戦前のドイツのインフレと大恐慌
そうした全体での流れに加え、要所要所で日本の状況が挟まれ、最終的には現代での投資理論のさわりに至る。
本書で語られるのは歴史的事実の概要とちょっとした感想のみであり、詳細や考察は皆無。
良くも悪くも学校の教科書的なので、当然抑えておきたい知識ではあるのだが、これを読んだからと言って何かが出来るようになるわけではない。
中学高校の授業で『お金』の授業をやるとしたら、信用と経済の話が中心になるだろうが、そんなときに本書で過去の経緯を学べると、より実感を持つことが出来るかもしれない。
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粘土板が貨幣の代わりであった時代から、リーマンショックまで、金融という人の欲望渦巻く歴史の話。時系列で整理してあり、一つ一つの話は理解できたように思うが、全体としての流れはイマイチピンとこなかった。何らかの価値判断のもとに、筋道立てて書かれている方が、個人的には理解しやすい。通史を書こうとすると、どうしても羅列的になってしまうのだろうか。となると、一つ一つのエピソードやそれに対する考察が見どころだが、笑ったり深く頷くような感動が、あまりなかった。
学生の頃から、感覚的に投資銀行のようなお金でお金を増やす仕事が嫌だった。先物取引で、ひたすらレバレッジをかけて、仮に利益が得られたとしても、それは誰かが損をしているだけだ。世の中に、富が増えたわけではない。だけど、金融が発展してきたことで、生活者も恩恵を受けられる。ローンを組んだり、普通の投資をしたり、保険をかけたり。一概に金融を否定はできないと、改めて思った。使い方一つで、毒にも薬にもなるのは、多くの物事と同様だ。
人の生活のベースに、経済や金融はある。その理解なしには、世の中の動きはわからない。通史という形で、歴史を学んだが、もっとそれぞれの背景にある思想的な部分を知りたいと思った。なぜ、金融の歴史は過ちを繰り返すのか、その理由が知りたい。
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前作日露戦争資金調達の戦いが面白かったので読んでみた。古代メソポタミアのハムラビ法典では貨幣より先に利子の概念が定められていた、ところから始まり、現代のリーマン・ショック後に至るまで金融の歴史を追っていく。範囲が広いだけにやや教科書的な簡素さもあって、のめりこんで読む、って感じにはならなかったが、それでもチャップリンの映画「街の灯」にまつわるエピソードや、筆者がニューハンプシャー州の土産物屋で買った「月へ行く鉄道」というビデオの舞台がブレトン・ウッズだったり多様な観点から結びつけてストーリーを紡ぐ博識さはさすが。そして思ったのは、〇〇GDPだとかの用語や株価のグラフの見方など、超基本的な知識は付けとくべきだなと。俺は経済学部で何してきたんやっちゅう。
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金融に関わる仕事をしているが、正直内容は難しかった。利子の話から始まり、国債や株の話に遷移して行くが、普段あまり考えない(正確には、ふと疑問に思うけど、考えるのをやめてしまう)ような内容が書かれていて、考えながら読む必要があった。それなりに金融の用語を知っている必要があるのと、一度は自分の頭で色んな金融商品の仕組みを考えたことがある人だとかなり楽しめるのではと思う。自分も歴史と交えて金融をこんな風に話せるようになりたいと思った一冊だった。
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金融が、古くは農業の発達から戦争、グローバル化など、人間活動の結果必要に迫られて発展し現在に至ることが良くわかった。金融の発展により歴史が動いていることもわかり、世界史の見方が変わった。
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金融とは金の融通であり、余剰や信用、借金が社会を大きく動かしてきた歴史がおもしろい。ランダムウォーク理論の時代背景や考察はとても参考になった。
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前半から中盤は、時代時代における金融がどういったものだったのかの説明。この辺りは通貨や利子の話なので、歴史が好きな人であれば素直に楽しく読めると思う。
中盤で株式や債券が出始めたあたりから、歴史と金融の実態の解説が半々になって来る。株式や債券が何なのかわからない人には辛くなってくる。
後半、デリバティブズやファイナンス理論のあたりまで来ると、一通りの簡単な金融と経済学の用語を知らないと、多分読めない。殆どの単語の説明が不足してるので。
前半と後半で大分趣きが違う。
誰であろうとも前半は読んで置いて損は無い。面白いし為になる。
後半は、金融の意味はわかるがピンと来てない人(自分)の、教養の醸成にピッタリな内容。銀行とか証券会社とか良く分からないし怖い(これも自分)という人にオススメ。
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金融の世界史と題してあるだけあって、世界の有史以来からの貨幣の成り立ちから市場の構築まで、幅広い分野の話が網羅されています。
抑えてる範囲が広いだけあって、各分野の詳細は省き気味なのは仕方ないです。
ただし著者の貨幣観が商品貨幣論なので、著書内での金融史の説明がどこまで正しいのかは怪しいところ。
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メソポタミア文明からリーマン・ショックまでの金融の歴史を網羅。当時の政治的背景も併せて述べられており、立体的に理解できる内容となっている。
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知人で大学の先生から頂き、拝読しました。
非常に興味深かったです。
見通しよく、本質的に重要な関連事項が巧みに整理されていて、尚且つ随所に著者の高い教養が滲み出ていて、大変勉強になりました。
金融の歴史は人間の欲の歴史。人間の営みの歴史。
風が吹けば桶屋が儲かるというような形で、順を追って歴史を紐解く事で、複雑化してみえる金融の本質が見えてくるように、分かりやすく興味深い雑学満載で解説、案内されています。
今ある金融の仕組みには、必ず存在意義があります。
今の金融の様相は、どんなに複雑に見えても、必ず人の欲や営みが生み出すことには変わりはない事、人は必ずしも完璧に合理的でなく、それが複雑性を生み出す事なども、歴史的具体例が挙げられていて、よく分かりました。
単に歴史を紹介するのでなく、金融の本質とは何かについて考えさせてくれる本です。
帳簿、利子、貨幣、市場、先物、株式、保険、他金融商品、その生い立ちが非常に分かりやすく整理されていて、金融初心者にとって、非常に読みやすく、大変良い本だと思います。