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紙の本
魔界編の結末はドラマティックに
2009/05/27 21:52
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
“ササラ姫のお婿様選考会”の完結。といっても前巻で勝敗はほぼ決していたようなものなので、本巻は「その後」の顛末である。キュート達にとってはシリアスな展開にあって何か面白いというか可笑しいのが前半から中盤のササラ姫。とにかく『あるいは』で続く独特のセリフ回しをこれでもかと読むことになる。特に長セリフだと『あるいは』が2つも3つも出てくる(このためにセリフが長くなっているような……)ため何だか可笑しくて仕方がないのである。いちいち同義語『あるいは』同義表現を探す必要があって作者も大変だなと思った。あとシィちゃん。『あのね、シルティシャープね』で始まる彼女の話し方も笑いを誘う。いい場面で無邪気に現れては展開を大きく変える牽引役を果たしており、ササラ姫付きのメイドに一発かまされたものの、いろいろな意味でのシィちゃんの無敵振りは今回も健在だった。
ほとんどがササラ姫の所有する飛行船の中、そしてクライマックスまで大きな動きも見せない今回のストーリーでじっくり描かれたのが理刀とキュートの心情である。ササラ姫のことを好ましく思ってはいるがラヴではない、でもササラ姫を傷つけたくないと考える理刀の優しさ(優柔不断?)と、想い人を奪われるかもしれない焦燥感の中でも無力な自分、逃げ癖のついている自分を省みるキュートの揺れ動く心情がたっぷり綴られている。気持ちこそブレないもののちっとも決断出来ない理刀、しがらみもあって心が右往左往するキュート、どっちもどっちで少しヘタレ気味な2人なのだが、最後に見せたキュートの一世一代の行動(蛮勇)が一気呵成な解決を迎えることになる。ベタだが心地よいクライマックスである。最後の【休止符的プロローグ】では、随分強くなったササラ姫の反撃を予感させる次への予兆が描かれている。
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