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紙の本
意表を突く設定に緻密なストーリーが絡んだ見事な内容
2009/05/26 18:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
前巻の執筆時に本巻のことも視野に入れていたのだろうか。前巻の『ヒカル騒動』の要所要所で二葉が姿を見せなかった理由が本巻で判明する。しかし、それも「現在・過去・未来」を巧みに活用する今回の本筋ではない。ニーナの能力がさらに進化(?)して巻き起こされる6月9日から11月3日まで物語である。『涼宮ハルヒの消失』を読んだ時に近い高揚を覚えた。そもそも『ハルヒ』に触発、あるいは影響下にあると思われる本シリーズだが、それでも良く出来た物語だと感心する。前半は『ヒカル騒動』の裏側で与四郎とニーナが二葉を巻き込んで困ったことになっている展開。実はこの最中、さらに困ったことになるのだが、ここで見事なのは、前巻の裏ストーリーで読み手の意識も前巻に飛ばしておきながら不意打ちに本巻内のもう1つのネタが出てくることである。そして未来で「おぉ」という人物の登場を挿んでまた過去へと目まぐるしく変わりながらその時、11月3日を迎える。ここに至ると『その日がやって来ました』という松平アナウンサーの声が聞こえてきそうなクライマックス感があるのだが、結末は「あれ、そんなもん?」という感じが正直しないでもない。それでも、まぁ、よくやったよ与四郎クン、というものではある。所々の設定に少々の無理というか、あれだけ『禁則事項』的に未来のことを語るべからずだった割に「未来のために現在を行動する」ようなところがあって「?」を感じなくもないが、物語が大変面白かったので良しとする。そして今回はニーナが実に良い!最高のキャラである。何と言うかお友達になりたくなる良い娘として全編で笑わせてくれる。同居してるだけあって与四郎とのやり取りも気心を許した自然さが出ていて良かった。そして何気に二葉のツンとデレが強力だったりする。
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