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映画化ということで、初めて瀬戸内寂聴さん読んでみた。
長く続いた不倫・・・というか4角関係?の自伝的小説。
これが書かれたのは、私が生まれる前ということで、その時代にはかなり衝撃的な内容ではないかと思うけれど、むしろ今、こんな風な不倫が成り立つかといえば成り立たないよなーと思う。
だけど、時代が変わっても、人が持つ嫉妬やドロドロとした愛憎の気持ちは、変わらないもの。
その描写は、妙に共感できた。
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瀬戸内寂聴の私小説が映画化された作品。
夫と娘を捨てて、若い男、涼太と駆け落ちした知子。
しかし男との生活は半年ももたず、酒場で働くようになった知子は涼太と別れ、その酒場で売れない小説家、慎吾に出会う。
慎吾は既婚者だったが、知子の家と自宅を行き来し、半同棲状態に。
そのうち知子の家は仕事場となり、妻からも用事の電話などがかかってくるようになる。
そんな生活を8年続けた頃、知子は再び涼太と出会って・・・。
というのが大まかなストーリー。
ダメ男の綾野剛を見たい!という理由でしたが、満島ひかりさんは情念が似合う、とても素敵な女優さんでした。
映画そのものは、時系列が分かりにくくて、淡々としてる感じ。
私の中のハイライト↓
・涼太と再び出会い、涼太とも関係を持ってしまった知子に、涼太が「慎吾の妻に嫉妬しないのか」と聞くが、知子は「慎吾には恋をしていないから嫉妬していない」と答える。
涼太「じゃあ何で別れないんだ?」
知子「あの人を愛してるのね」
涼太「じゃあ俺はいったいなんなんだよ!」
知子「・・・言わせないでよ。憐憫よ!」
・最初の結婚相手と娘と一緒に歩いていて、「好きな人がいるんです、ごめんなさい」と謝る知子。そんな知子をビンタして、冷たい顔で「・・・女のくせに」と吐き捨てる夫。そんな夫の背中に、「だって好きなんだもの・・・好きなのよ!」と言って地団駄を踏む知子。
・涼太に、慎吾が妻と別れない理由を話す知子。
「習慣は愛情よりも強いのよ。8年間の習慣があるから、あの人は奥さんとは離婚できない」
思っていたよりも、三角関係への苦悩は少なかった気がする。
でも、こういう「あらがえない何か」というのは人間の業で、こういうことがあるから人生は素敵なのだ、と思えました。
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数年前、中島みゆきさんの「命のリレー」を主題歌にしたドラマで、寂聴さんの半生を知ってびっくりしました。今の寂聴さんから出る言葉が心を打つのは、苦しんで苦しみぬいたからこそなんだな、と初めて分かった気がしました。
この本はその瀬戸内寂聴さんの原点だと知って読み始めました。とても心に響きました。
私も寂聴さんみたいなおばあちゃんになりたいな。
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瀬戸内寂聴さんの小説は若い時にも読んだことあるけど、やっぱり難しいです。
結局は知子と慎吾は離れられないって言うより一緒にいるのが日常なんやね。
独特の世界観でした。
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別れたくても別れられない女の未練や躊躇が色濃く描かれており、何とも言えない気持ちになる。映画も良かった。
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読書の師匠に勧められた一品。
曰く「美しい言の葉、この空気感と登場人物の心の移り変わり・・・これこそが、作者の愛した源氏物語に通じる『あはれ』の世界なのよ」と・・・。うろ覚えですが。
私にはまだ早かったようです。主人公がちょっとナルシスト過ぎというか、いちいち「どや!かっこいいやろ!」と押し付けがましくてお腹いっぱいです。あなた、それ全然モテてませんよ。ただのダメンズウォーカーですよ。ドヤ顔をなさるなら、もっと素敵な人を傍らに置いてからにして下さいな。と言いたい。
それを師匠に話したら「これはね、そういう話では無いのよ」と言われました。ごもっとも。あと10年くらいしたら再読しよう。
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先週観た映画の原作本。
寂聴さんの本、初めて読みました。きっと好きになるだろうなあ、と思っていながら避けてきました。なんだかフィクションとして、楽しめないのではないかと。
この作品、映画は不思議なテンポで進み、時間の流れが複雑で、ぜひ原作を読んでみたいと思ったのでした。映画のテンポを埋める行間を読みたかったし、作品の登場人物の間に流れる時間をじっくり読みたいと想いました。
書き下ろされたのは、50年前。映画ではその昭和の時代を実に忠実に描いていて、その映像美も見事。
作者は御年90歳になられたとか。寂聴さんの作品を読んでみようかな。
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20年前に夏の民宿の仕事先で夏らしい小説と勘違いして購入。以来何度か読みかけては挫折。このたび、4回目ぐらいでやっと読了。しんどかった。これは瀬戸内さんの感性に自分がついていけないだけなのでしょう。でも「夏の終わり」と「花冷え」の章はまたいつか読んでみたい。
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いつも正直な瀬戸内寂聴さんの作品を最近読んでいます。
この作品 完璧に私小説ですね。
びっくりするほどの純粋さで、好きになった人を追いかける。
自分が不倫しているのに、奥さんのことを心配したり、年下の情夫に不倫相手の愚痴を言ったり・・・。
小説なのに、(え~こんな思考回路なの???ぶっ飛んでる~)と思ってしまう。
しかし・・・昔では相当叩かれたんだろうなぁ。と思う内容に同情したり。
好奇心で瀬戸内寂聴を知るには入門編ですよ。
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不倫はよくないという常識を持ち出すような余裕がない。
感情の機微の描かれかたがとても素直で、うつくしくて、共感できるはずはないのになんだか入りこんでしまう。てんでおかしい関係なのに、空気はとても自然で爽やかなのが、谷崎潤一郎とかと(比べるものでもないけれど)ちがうんだなあ。
映画「夏の終り」のキャストのイメージで読んでいたら本当にぴったりなようで、ああすてきだ。そして愚かだ。心地よい。
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妻子ある売れない作家の愛人である知子
妻も公認の愛人であり
妻子と愛人の間を規則的に行き来する生活!!
知子もまた、かつての年下の恋人と関係を重ねる。
その恋人は、知子が離婚する原因になった男性!
どう考えても、
現実にはありえない関係!!に
少し戸惑いながら、読み進めましたが
はるか昔の古典の世界を連想させられるような
気がしました。
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終わりがあるようで、終わりのない旅のよう。
寂聴さんの文書は、とても美しい。
道理にかなわないことすら、美化され崇高され酔わせてくれる。
最後の生々しさも、生命の尊さを感じる。
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寂聴さんの本を読了できたのは、今回が初めてでした。どろどろの三角関係を楽しむ気いっぱいで、読み始めたのですが、嫌悪感はこれっぽっちもわかずに終始知子の魅力に骨抜きでした。頭の中の知子は、いつも満島ひかりさんで、歩いたり走ったり寄りかかったりする彼女のコケテッシュな姿が知子のイメージにはまりました。機会があれば映画もいつか見てみたいな。
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8年間妻子ある男との不倫に疲れてきた主人公。
最初は作者の力に圧倒されたが、少しずつ読み進めると主人公のもとに夫と別れる原因の男と再開し、その男とも関係を持つようになるが、語り口はどこかあっさりとしている。
最後はどちらの男とも別れることになる。
きっと中途半端ではダメなのだということに気がついたのだろう。
大きく分けると2つの話だが、2つとも背景は一緒だった。
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ここまで正確に書き連ねられる冷静さが、
美しくはかなく、彼女を頑強にする。
習慣による常識の逸脱や、
それによって発される異様な存在感。
これを読むことで、私も整理された。