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戦争の話になってしまうと気持が離れてしまうのを感じながら読み進めた。こういうのいけないとは思うのだけど。
全体的にとてもすっきりスマートな印象。読みやすかった。
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戦争中の狂気が古いフィルムによって現代に蘇る。特高という名の狂気、親子の悲しい関係。読み終わってためいきがでた。
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1208 昔のフィルムが引き起こすミステリー。テンポは悪くないがいまいち入り込めずに終わった感じ。第48回江戸川乱歩賞受賞作品って事で期待し過ぎたのかも。
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考えてみれば特別なことではない。
それまで普通に友情や交友関係を築いていた人たちが、戦争のという状況下で敵国人になってしまう。
歪んだ攻撃性は無抵抗な人たちへと向かい、それまで平和に暮らしていた同じ空間で無惨に命は奪われていく。
偶然に手に入れた1本のフィルムには、遠いけれどけっして忘れてはならない過去が封印されていた。
あらたに起きた殺人事件のきっかけになったものは何だったのか。
現代の事件を手がかりに過去の事件に迫っていく。
とても読みやすかったけれど、途中で展開が読めてしまった。
江戸川乱歩賞を受賞した物語・・・ハードルをあげて読んでしまったせいだろうか。
奥行きのないミステリといった思いを抱いてしまった。
ガツンとくるようなメッセージ性もなく、引き込まれるような展開があるわけでもない。
よほど他に受賞作にふさわしい作品がない回だったのか、などと余計なことを考えてしまう。
もちろん、普通に読むには十分に面白いし楽しめる物語だった。
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物語は長崎の原爆投下から始まりすぐに
現代の骨董市で主人公の日下が
古い釣り用リールと柳行李に出会う場面へと
移っていきます。月森花からおまけに
つけてもらった柳行李の中には古い16ミリフィルム
古いフィルムは捲っただけで割れてしまう
どうしもこのフィルムに収められている映像を
見たいと考えた日下は現在依頼されている
政党CMに古いフイルムを入れ込んだアイディアを提案する
見事コンペを勝ちとった日下は
フィルムの復元をその筋のプロ、ガタイはいいが
オネェ言葉の大西に依頼することとなる
オカルト大西のCMに対するうんちくは
ちょっとおもしろかった。
日下はこの映像をCMに起用するため
権利確認の為に花に連絡を取ろうとします。
一方、月森花は実家の旅館に戻り祖父に
骨董市でリールと柳行李が売れた話をすると
祖父の顔色が変わり倒れてしまいます。花は
祖父に柳行李を取り戻して欲しいと頼まれ祖父の
周りをうろついていた週刊誌の記者苫米地と
一緒に日下を探すことになります。
16ミリフィルムを手にした者、16ミリフィルムに
関係する情報を手にした者が次々に狙われる。
記者の苫米地は太平洋戦争時の在日外国人の事を
調べていて花の祖父に行きつきます
また祖父が特高警察にいた過去などが明らかになり
過去の場面と現在の場面が重なっていきます。
2002年度の江戸川乱歩賞受賞作ですが
ミステリーとしてはとても物足りない
2時間サスペンスといった感じ
太平洋戦争時、特高が在日外国人に行ったこと
戦争批判、政治批判ともに浅く胸に迫ってくる
物がなく残念、戦争犯罪という重いテーマを
扱いながら主人公達にどうさせたかったのか、
作者が何を訴えたかったのかよく分からなかった。
ただ目に見えない大きな力に飲み込まれる怖さは伝わった。
オネエキャラの大西はいい味を出していた。
おかげで主人公の日下がとても薄い存在になってしまいましたが・・・。
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滅びのモノクローム/三浦明博:第48回大賞受賞。2002年。
始まりは、長崎原爆。そして現代の仙台と日光。骨董市で高値をつけて売る出戻り女。出戻り女は由緒ある家の娘。当然売れないのだが売れた。それは売ってはならないものだった。祖父に回収を命じられる。助手にいけすかない男。そいつが自殺っぽく殺される。
出戻り女の元夫が会いに来る。来る衆院選?のため協力してほしい。はぁ?
買った男は釣り好きだから。そこに古いフィルムを発見。修復してくれる男に依頼。修復してくれた、けど行方不明に。ひとりでごはん作れない父を残してどこかに行くはずがない。
犯人は、出戻り女の元夫の祖父の隠し子。祖父はもちろん地元の権力者。戦時中の犯罪を隠すため。元特高だから。混血児の子をハダカにして走らせ撃った。死体を埋めたのは出戻り女の祖父。
釣り竿にフィルムを隠すんだよ。今は暴けないけれど、後世の誰かが見つけてくれることを願って。釣りに詳しくないから、どのように隠したかは斜め読み。
そして長崎原爆。混血の彼は自殺した。やっとつながったけど。
人が殺されるあたりから、ジェットコースター小説でじゃんじゃん読んだ。
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日本の過去の罪に切り込んだ作品。過去の話とは言え、まだ生々しさが残る戦時中の問題。先の大戦を語るとき、どうしても語り手のイデオロギーが強く出てしまったり、感情的な描写が増えたりすると思うのだが、本作は極めて淡々と日本の過去を見つめていたと思う。
何をもって日本人と定義するのか、誰もわからぬままに、結論だけが先走る恐ろしさ。弱い者の矛先はさらに弱い者に向くという言葉に、現代日本にも通ずる闇を感じた。
良作ではあると思うが、もう少し事件に意味を持たせてほしい…と感じた。核となる事件が、あまりにもあっけなく、それを取り巻く物語の重厚さに霞んでいる印象を受けた。このあっけなさが、ある意味リアルか。
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ー 「1999年の改正住民基本台帳法、そして翌年国会に出された個人情報保護法案、自衛隊法改正案。すべてが法案として通過しているわけではないが、こういうのが続々と出されてくる。何やらきな臭い感じもする。見過ごしておるうちに、わしらは、国家の奴隷になってしまうかもしれん」
奴隷という言葉に、少なからずショックを受けた。
「歴史は、単なる過去ではない。未来のひな形だ。不平を言うだけで手をこまぬいておれば、ひな形はそのままの形で現実となる。そうなるに決まっておる。何故なら人間は愚かだからじゃ。わしだって、正真正銘の愚か者だ」 ー
戦時中の“罪”に向き合わない政治家との戦いを描いたサスペンス。
戦争を“生きた”世代がいなくなる世の中は本当に恐ろしい。特に日本は。そんなことを考えさせられる作品。
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お話のコアのところがきちんと説明されなかったり、なんとも中途半端な終わり方をするところ、更に無責任で可愛げのないヒロインと、いろいろあらが目立つ。力作なのは分かるんだけど。
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江戸川乱歩賞に惹かれて読んだ。結論から言うと、イマイチ。いくつか理由があるが、個人的に考えるミステリーとは序盤で謎が1つから複数提起され、中盤で謎が絡み合い深まって、終盤で全てが氷解、風呂敷を畳んで解決となる、というかなって欲しい。
またところどころ読者が推理できる「隙間」みたいなものが用意されていたりもることが多い。
本作は登場人物の魅力、謎の提起、全体的な流れ、全てが中途半端に感じた。一番辛かったのは、一向に事件というものが起きず、中盤以降になってやっとそれらしいものが起きるが、以降も盛り上がりに欠ける気がした。ページ数の割には釣りと画像編集とカメラと戦争についての蘊蓄が半分以上を占めていて、これはミステリーと言えるのかと正直選考された方々へ問い合わせたい案件です。酷評になってしまいすみません。