電波の基礎と応用 みんなのレビュー

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投稿者：相良　岩男　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は学生のみならず，一般の企業人をも対象とした聴講可能な大学の公開講座用として編集された教科書である。現在，電波はデジタル・テレビや携帯電話などで使用されており，電波に関する基礎知識と，電波を利用した応用を知りたいという人達は多い。しかし「数学は苦手だ」と敬遠しがちである。そこで，微分や積分は使用せず，可能な限り図解と平易な文章により，これらの人達に電波の基礎知識と応用の講義に参画して，勉強してもらおうというのが編集の主旨である。
　このため，各項目ごとに左は解説文章で右は見やすい図面となった見開きで基本的に解説されており，大変に読みやすい構成となっている。
　本書で取り上げられている内容は次のような項目である。
　『1章　電波とは』では電波と電磁波の違いや電波の応用を，『2章　電波の性質』では電波の基本的な性質を，『3章　アンテナの基礎』ではアンテナの発生源や指向性などの解説を，『4章　アンテナの色々』ではアンテナの線条や代表的なアンテナの紹介を，『5章　電波伝播の基礎』では自由空間伝播などを，『6章　電波伝播の色々』では大地や建物の影響及び周波数による伝播の違いなどを，『7章　アナログ変調』ではFMとAM変調などアナログ変調を，『8章　ディジタル変調』ではPCMの性質に続きASKやPSKやスペクトル拡散などのデジタル変調を，『9章　衛星通信』では衛星通信の概要や多元接続などを，『10章　移動通信』では移動通信の移動システムの課題などを，『11章　その他の無線通信』ではFWAや無線LANやインタネットアクセスなどを，『12章　放送』ではアナログ放送の概要や地上波デジタル放送の概要などを，『13章　レーダ』ではレーダ方程式やパルスとCWレーダなどを，『14章　計測・制御』ではレーダホーミングや航空機用電波航法機器などを，『15章　その他の応用』ではリモートセンシングや免許不要の電波などを取り上げている。さらに付録として主要定数や量記号および単位記号などが掲載されている。
　学生には電波の基礎と応用を勉強するための教科書となり，一般の企業人には基本を知る上での良き参考書となるであろう。
(C) ブッククレビュー社 2000