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ある家にまつわるお話。
何ともいえない後味の悪さが余計に恐怖をあおります。
が、最後にはこの恐怖もすくいあげて、ちょっぴりほっとさせてくれるところは、さすが恩田さんです。
怖い話は苦手だけど、これに救われたくて、ついつい手が伸びてしまう本です。
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恩田陸さんの本は「夜のピクニック」以来、疎遠だった。
というよりも、夜のピクニックは当時の私には、山もなく谷もなく退屈で読了するにも根気が要ったのだ。
けども、今回は違う。
アンティークな装丁の単行本が気になり、けれど手は出さなかった。
そしてついに、贔屓にしているダ・ヴィンチ文庫から、カバーやフォントのきれいな文庫バージョンが出たというわけで。
物語は「現在、屋敷に住んでいる女性作家」の話から始まる。
(現在というのは私個人の解釈)
この屋敷は、女性作家以前の家主にまつわる惨劇・悲劇の舞台となっていた。そしてこの屋敷には「いる」のだ。
十本の短編からなる話はすべて、この「幽霊屋敷」が舞台となっている。
夢か現が分からない、曖昧な境界でうろつく物語。
怖い。けれど不思議と恐ろしくはない。
何故かと言えば、きっとそれは、紡がれる言葉の優しさと、登場人物から滲み出る美しさ、哀愁が、この本全体に漂っているからだ。
一読し、ゆっくりとカバーを撫でてみる。
きっとこの本に対しての愛情が、ふつふつと沸いてくるはずだ。
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ホラー物は初挑戦です。
ゾクゾク来る不気味さにハマりました。
再読しても充分に楽しめると思います。
『幽霊屋敷じゃない家なんてない』
そう考えると、なんだか自分の家も不気味に思えると同時に、幽霊屋敷(幽霊)に対して、そこまで恐ろしく考える必要ないんじゃないかとも思えてきます。
、、、実際は恐ろしいですけど。
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丘の上の「幽霊屋敷」を舞台にした連作短編集。
大工の話でちょっと救われたかな?と思いきや、最後にぞわっと。
会話文に「」がついて無かったのもちょっと不気味だなーとか色々考えちゃう…。
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近所でも有名な丘の上の幽霊屋敷をめぐるお話。死んだ者は何もしない、ほんとうに怖いのは生きている人間のほう。
期待したほど怖くはなかったけれど、好きな雰囲気のお話ばかりでした。
2013.03.10
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ホラーではなく、怪談であるということらしい。
最初、一話目は、二話目以降の話を書いた作家のエピソードかと思っていたが、途中、作家が住んでる状況での話があって困惑、さらにその時代を中学生の頃というおっさんが現れてさらに困惑、ついでに、何度か女性作家がオーナーだったとまでいわれて、ああ、そういう見方をしちゃいけないのだと認識を改めたら、最後に一話目と同じ人とおぼしき視点からの話があって、つまり、翻弄されました。
うまいこと、恩田陸の手のひらで転がされてたらしい。
ちなみに、全般に怖くはありません。むしろ、幽玄さが先に立つが故に、死者と生者の違いも曖昧のままであることが、怖さを感じさせない原因かも知れません。
まさにタイトル通り、「何もおこらない」お話です。
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この恩田陸のストーリーの感じがはまる時とはまらない時があるけど、今回ははまったほう。恩田陸的幽霊屋敷論。
最後に出てくるこの一文に全てがこめられている気がする。
「この世に幽霊屋敷じゃない幽霊屋敷なんてあるのかしら」
いわゆる幽霊屋敷なんて人間が創り出したものである。やはり恐いのは人間と言うことか。
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もうタイトルからして私好み。
ずっと文庫化待ってました。
言わば地縛霊的な話は少し前に小野不由美さんの「残穢」を読みましたが、あちらは完全に寒気のするホラー、こちらはもう少し曖昧な、単純なホラーとは異なる印象を受けました。
「残穢」でも、「出る」と噂の家を調べた人たちに災いが起こっていたように、「私の家」でも「彼ら」の怒りを買えば災いが降りかかります。
でもきっかけを作っているのはいつも「人間」の方。
狂気は「人間」だった時に存在し、死んでからはただ、そこにいるだけ。タイトル通りなにもおこらない。はずなのに。
死は哀しくて怖いと誰が決めたのか。
幽霊は危険で恐ろしいと誰が言い始めたのか。
ほんのちょっぴり物悲しいけど、私には温かくて優しい幽霊屋敷のお話に感じました。
2013.03.26
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ある幽霊屋敷の話。
見える人感じる人は場所によっては辛いだろな。
上手く付き合っていければそりゃいいだろうけど
見えないに越したことはないかな。
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恩田陸らしい屋敷不思議もの。こういうの好きだなぁ。久しぶりに恩田作品で好きだなぁ、と思った作品。ただし一般受けはしない。
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文庫版再読。うーむ、この雰囲気は何度読んでもいいなあ。
お気に入りはやはり「奴らは夜に這ってくる」だなあ。「あたしたちは互いの影を踏む」も好き。どちらかといえば、幽霊でないものの方が怖いよねえ。
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連作の中の各登場人物たちが、小品の枠を越えて連関していく様はいかにも恩田陸氏らしいテクニックだが、一つの大きな物語として隙のないまとまりを感じさせるかというと、どうもそのような一冊ではない。
隅から隅まで説明がつく解決を求めたりするならば、すっかり期待は外れることになる。
そもそもがそういった合理性を備える類の作品ではなく、これが目指す形なのだと言われればその通りで、あとは読んだその時の自分の状態および相性の問題ということになる。
根本的な前提として、年齢を重ねるにつれて自分の"恐怖を覚える感性"がどんどん鈍ってきているような気もする。
夜中にトイレにも行き難いほど怖がっていた幼い時の日々は、それはそれで困りはしたものだが、何を読んでも観てももし恐怖を感じないとしたら、そっちの方が由々しき問題だろう。
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少し、むずかしい。
丘の上に建つ、ひとつの家のみを舞台に、短編形式で物語が続いていく。
しかし、ザッピングとでも言えばよいのだろうか。
話の時間軸は全体で見ると、少なくとも50年間は幅がある年表の上で展開していく。
そして、その中で起こった色々な事件(人的・霊的含め)を、その時々で主人公となる、
ある人物たちの一人称で語られていく。
これが順を追って進んでいくのではないから難しい。
年代は明記されていないから推測して読むしかない。
しかも作家という職で出てくる人物が、2~3人(ここは私が判別できなかったので
人数の断定が正確でない)いるため、今は一体いつで、「私」は誰なの?
そんな思いになってしまう瞬間がある。
ページを行きつ戻りつ、じっくり読むべき話だと思う。
怖いホラーとは言い切れない、かつては生きていて、今は死んでいる人たちの
人生をぼんやりと覗いている感覚の本。
面白いと思う。時々、芯からゾワッとする描写もある。
ただ、やはりホラーとはいいきれない。
後ろの説明文にある、『驚愕のラスト!』の意味も、私はまだ分からないままである。
そして最後の最後になんですが、かなり終盤まで読んでから
「これ、日本が舞台じゃなかったんかい!!」と気づきました。
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「この世に人が住む家はすべて幽霊屋敷」という持論の恩田陸さんのお屋敷ものホラー。
古今東西、幽霊屋敷もののストーリーは数多く生まれている。身の毛がよだつ血まみれものもあれば、そのアイデアに唸るものもある。
本作は、なんとなくほのぼのとした雰囲気があり読みやすい。「悪さをするのは生きてる人間だ」。そのとおり!
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いや、いろいろ起こってます。幽霊屋敷ってさ、怖いよ、確かに怖いけど、一種の憧れ的なのあるんだよね。
幽霊屋敷、なんかそそられる響き。子供の頃そーゆーので変に盛り上がったり。
本編とは関係ないけど、自分の子供心を少し懐かしめた一冊。