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定本 夜ふけと梅の花 (単行本)のほうを読みました。
表紙は井伏氏が描いた、地図。
どの話も最初から最後まで貫き通される主人公のだめだめさが、
なんだか気持ちいいというか、文体との不思議な調和があって、
「よし、この主人公を反面教師にして頑張ろう」なんて気には塵ほどもならない不思議な心地よさがありました。
「一匹の蜜蜂」で、
肥え太って働かなくなったぐうたら蜜蜂を見て自分に重ね、
蜜蜂と自分を重ねることを周りにちょっと怒られてる場面があって、
でも「山椒魚」しかり、暗喩するということにすごく敏感な人なんやなぁと。
あとがきを読むと、同じ話でも何度か書き直して少しずつ違うみたいなので、他のバージョンも読んでみたいな。
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この本に収録されている作品のほとんどの主人公が今ならばニートと揶揄されてもしょうがないような駄目人間で愛おしい。それだからこそそんな中にぽつんとある文学的な青春風景を描いた「休憩時間」や脱力系のオチが待っている「うちあわせ」が引き立つ。語彙や言い回しは流石に古くささを感じるけど文体としてはいまでも十分読めるし通じる。
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井伏鱒二の読みやすい部類の初期短編集。
概ね駄目な若者の視点で描かれるモノばかりですが、
学生の時分読んだ時より共感部分が多いと云う事は、やはり…(笑)
山椒魚のラスト16行端折られてる話は知りませんでした。
この文庫本で初めて其処まで読めた訳ですが、
最初に読んだ時の「?」部分が「!」になりました。
これ、合った方が大分腑に落ちるのですが、
敢えて端折る処がナンセンス文学の美徳なんでしょうか。難しいです。
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図書館で。
短編集はさっと読めるのはいいのだけれども前の作品の余韻を引きずっている所にまるで新しいお話が始まるのですっと次の作品に入りこんでいけなくてなんだか物凄い勿体ないなあなんて思いながら読みました。
時間があればぜひ一作づつ丁寧に読みたいもんだなぁ。
そして山椒魚は2パターンあるとは知りませんでした。確かに削った方がすっきりする。感傷的ではない。でもその感傷的な所に惹かれるような気もする。
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若い井伏。言わずと知れた山椒魚、初めて読んだ井伏作品でもある。その原型となる幽閉も収録。僕は年老いた井伏の方に親しみが湧く。これは僕が年老いたせいなのか。あと朽助が登場する作品が好き。あの方言の雰囲気がたまらなくよい。