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昭和の犬 みんなのレビュー

    一般書 150(2013下半期)直木賞 受賞作品

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    みんなのレビュー165件

    みんなの評価3.6

    評価内訳

    161 件中 1 件~ 15 件を表示

    運命を受け入れると言うこと

    2013/12/10 01:26

    24人中、23人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

    投稿者:楊耽 - この投稿者のレビュー一覧を見る

    2010年上半期第143回直木賞候補となった「リアル・シンデレラ」以来、三年ぶりの長編小説です。

    昭和三十年代。滋賀県の南部に生まれ育った柏木イクが主人公です。
    彼女の半生を、日本で放映されたアメリカの連続テレビドラマのタイトルで八つに章立てした連作形式の小説です。
    各章のタイトルのドラマが日本で放映された時代を描写しています。
    最初の「ララミー牧場」は、一九六〇年からの放映。小説はイク五歳からのスタートです。
    最後の「ブラザーズ&シスターズ」は、二〇〇六年からの放映。小説はイクが五十歳になる年で終わります。

    長いシベリア抑留で精神を煩った父親は、しばしば癇癪を起こしてイクや母親に当たります。
    母親は、家庭運営や子育てをあきらめ、イクに嫌みを言いながら、ただ働きに出て、生きているだけの人です。

    人間相手が出来ないイクの父親は、しかしながら不思議と犬の扱いが上手です。
    成長するイクのかたわらには、父親の影響で、いつも犬がいました。
    その時々に近くにいた犬を伴奏にして物語が進みます。


    なぜ、こんな地味な小説に僕は熱中したのか。
    これを考えるのが、この小説の味わいだと思います。

    一つ思い当たるのは、
    自分の置かれた環境を認識し、運命を受け入れる事の大切さです。

    若い頃には、自分の育った環境を否定し、挑戦することも構わないと思うのですが、
    一生をそのように過ごす人は、ごく少数の天才を除いて、破滅へ進む事になると思うのです。

    もう一つは、たとえ歴史に名を残さずとも、
    凡庸な自分を受け入れることが出来れば、
    新たな幸せが見えてくる
    と言うことです。

    幸せとは縁遠い生活をしているイクですが、
    犬の散歩で知り合った、軽くちゃらちゃら生きているように見えた近所の青年が、
    それなりに家庭の事情があり、思うように生きられない中、軽薄だが楽しく生きているように振る舞っていることに気付き、
    また、必死に見栄を張って家庭内の問題を取り繕っているように見える大家が、
    実は、イクの不幸を理解し、温かく見守ってくれている事に気がつきます。

    もしかしたら、一生気付かずにいたかも知れない周囲の人の心遣いに気付く人になっています。

    阿刀田高がその著「旧約聖書を知っていますか」(1994/12新潮文庫)で、
    「人の上に立つものは、正直者が馬鹿を見ないように気を使わなければならない。しかし、正直者本人は、自分が正直であることに満足するものなので、正直であることが報われなくても取り立てて文句を言わないものだ。」
    と言うアレゴリーを用いて、キリスト教の信者は自分の信仰心に満足するため(信仰を持たない人と異なり)聖書のリアリティーの是非や、矛盾を気にしない傾向があることを説明していた事です。

    本書「昭和の犬」は、このアレゴリーそのままの小説ではないか。
    阿刀田高はアレゴリーを自分の意志を内に秘めた例に用いていますが、
    本書の柏木イクは、与えられた環境に対して、不満を述べない形で内に秘めて、人生に於ける平穏に到達しています。

    そのように考えると、この小説は
    「声に出さない人の気持ちを文章にする」という意味で、文学の王道をゆく小説であると思い至りました。
    さらには、平凡な人生を生きる多くの人に、自信を与え、生きる救いになるのではないかと思いました。

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    2013/10/30 19:11

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    2013/11/05 05:13

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    2013/11/10 21:58

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    2013/11/11 18:01

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    2013/11/18 08:32

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    2013/12/02 05:29

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    2013/12/02 21:55

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    2013/12/26 11:30

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    2014/02/11 17:34

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    2014/01/15 11:17

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    2014/03/06 21:03

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