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みんなのレビュー28件

みんなの評価3.5

評価内訳

26 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

世に教育を論じた著作は多い。そんなに教育が大事なら、これだけ財政が逼迫し、ほとんど国家が破産しかけているのだから「増税してでも文教予算を増やせ」というのが筋であろう。ところが本書を含め世に出ている大学論、大学生論、教育論のほぼすべては増税のゾの字もいわず、ひたすら「大学をタダにしろ。欧州の大学はほぼすべて国立大学でタダだ」「義務教育の教員を大増員して少人数学級を実現せよ」と叫ぶばかりである。

2010/02/01 11:30

17人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

もうこの手の大学生論はうんざりである。特に本書のように著者の知的レベルにかなりの疑問符がつく(論理の矛盾や牽強付会が多すぎる)ものは、いい加減にやめてもらいたい。俗に「無い袖はふれない」という。そんなに教育が大事なら、全国民に教育のための大増税をお願いし、しかる後に教育予算充実を求めるのが筋だと思うがどうか。

本書には数少ないが面白い指摘も散見される。例えば日本の「大学生」の総体としてのレベルはどんどん低下しているが、それは少子化の影響で大学受験者数がどんどん減っているにもかかわらず大学定員は減らないので、「かつての暴走族レベルが大学に入れるようになった」だとか、その中で大学のレベル底上げに貢献したのが「女子学生の大移動」で、要するにかつては短大に通うこと(や女子大に通うこと)で良しとしていた女性たちが、短大(や女子大)を見捨てて大挙して四年生の大学に進学するようになったからという指摘だ。著者が西村和雄らが示した「分数の出来ない大学生」の中での議論の欠点を「大学教員による中学高校への責任転嫁」と一刀両断したのは清々しい。「生物学を知らない医学部生」「数学を知らない経済学部生」を嘆くなら、入学試験で生物や数学を必修とし、一定の水準に達していない生徒は落とせばよい、ただそれだけのことなのに、それでは生徒を定員通り集めることが出来ないので、大学が勝手に生徒を水増し合格させておいて、それを中学高校の教育レベルの低下であるかのごとく論じるのは筋違いだという著者の指摘には100%首肯する。特に面白かったのが、東京にある名門女子進学校の桜蔭中学校(2006年)と国立の和歌山大学(1995年)の入試問題を比較した箇所だ。両校とも同じ高階秀爾の「日本美術を見る眼」を出典とした国語の問題を出題しているのだが、ほぼ同じ制限時間ながら桜蔭の問題が字数にして400字超の回答を要求しているのに対し、和歌山大のそれは110字程度で難易度は桜蔭の方が遥かに上だと著者は指摘する。それもそのはずで桜蔭は卒業生240人中70人前後が東大に進学し、国公立の医学部や一橋・東工大も含めると約半分の120人程度が国公立の難関校に進学する。そしてそこにいけなかった生徒がやむやむ早稲田や慶應に行くのだが、それらの偏差値はいずれも70前後である。一方の和歌山大は偏差値で言えば、54前後。桜蔭に進学する12歳の小学生が解く問題の方が和歌山大を目指す18歳前後の高校生よりも遥かに高い学力を既に保持しているという指摘は重い。

でも面白いのはここまで。その他は、著者の論理の破綻というか、牽強付会が目に付く。例えば著者は大学生の学力低下問題を嘆く。そして「学ばぬ大学生は中途退学に追い込め」といわんばかりに日本の大学中退率が世界標準に比し異様に低い様を、あたかも問題であるかのごとくP.31にグラフまで添えて紹介する。しかし、日本と諸外国では大学と言う機関の社会的位置付けが違う。この違いを無視して、例えばかつて明治大学法学部の新見教授が試験の採点を厳格化し大量の落第生を出したところ、そのうちの少なからぬ学生が就職内定済みだったとかで社会的問題に発展したことを記憶している人も多いだろう。著者は大学生のレベルを上げるには競争が必須だという。それに私は完全に同意する。だが同じ著者が、小学校、中学校、高等学校での受験競争を「負けた人に心の傷を残し、百害あって一利なし」であるかのごとく論じるのは如何なものか。大学受験に失敗したくらいでトラウマになるなら大学で中退せざるを得なくなって就職先が見つかれなくなったら、もっと心の傷は深くなるのではないか。

著者が大学定員の削減に強硬に反対しているのも説得力に欠ける。「少子化で子どもが減っているにもかかわらず大学定員が減ってないから、かつての暴走族レベルまで大学に紛れ込んで来た」というなら、定員を絞るのが筋だが、それは「諸外国ではありえない愚作」などと断定する。諸外国は、この穴を海外からの留学生で埋めたケースが多いわけだが、日本語と言う特殊な言語環境で、かつ愚者の楽園化している大学の現状、更にはその蔭でろくな研究も業績もないまま定年まで居座る教授陣の現実をみると、そうそう海外から日本の大学に勇んでやってくる学生が増えるとも思えないが。それに留学生が増えるということは、日本人にはそれだけ入りにくくなることでもある。

著者の管理教育批判も噴飯ものだ。著者は自身の出身地である愛知県が実践した管理教育を口を極めて非難する。校内暴力の激増も援助交際も果てはモンスターペアレンツの出現もその淵源は管理教育にあると言い張る。しかし人口比に対し愛知県の校内暴力が明らかに多いといいつつ、著者がP.76に示したのは事件の件数であって人口比率ではない。それに著者は「管理教育に暴力と暴言は必須アイテム」などとほざくが、これは管理教育を履き違えた暴論だ。そもそも80年代に公立高校が教育熱心な父母から見捨てられ私立の中高一貫校に殺到するようになったのは公立中学高校の管理が破綻して不良が暴れまわる自然状態の中で、公立の教育レベルが暴落した「噂」が勢いを得たことが大きい。そもそも中学高校の教育なんか公立高校トップの都立日比谷や戸山だって、実はたいしたことはやっていなかった。ただ出来る生徒が勝手に集まって勝手に勉強していたのが実体で、だから出来る生徒が都立高校に来なくなった途端、こうした都立進学高校の実績は暴落したわけだ。だから公立がその地位挽回のためにまずやらなければならないのは「法と秩序」の回復なのだが、それをなぜか著者は批判する。筋が通らない。

東北大学が実践しているAO入試を無闇に称揚するのも問題だ。東北大がそれで成果をあげているなら、あげさせて置けばよい。日本の教育制度の最大の欠陥は全国一律という同一基準の全国適用で、個々の大学が個性的な方法で競い合う自由を公平の観点から縛り続けてきたことにある。ただ一般論として、暴走族が大学に闖入してくる手段になっているAO入試が、なぜ東北大では成功しているのか、納得できる説明はない(単に東北という地理的要因が背景か?)。

「ゆとり教育批判」を著者が批判しているのも変だ。この人のクセは「私は必ずしもゆとり教育を肯定しているわけではない(p.160)といいつつ基本的にゆとり教育を肯定する論法だ。しかし栗田哲也氏が『なぜ教育が主戦場となったのか』で指摘している通り、基本的に「総合学習」は知的レベルが相当高い特殊な集団相手にしか成り立たず、その他に無理やり押し付けても「何を調べていいのか分かりません」という幼稚園状態になるのが落ちであると私は思う。

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2010/01/11 02:18

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