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どんなに愛されても尽くされても、どうしても嫌悪する。美しい心をもっていても、目をそむけられてしまう。猪首という言葉を初めて知った。
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京子と南条と野呂。
もしわたしが、。と考えてみても
どう振舞えるのかは答えられない。
「生理的に受け付けない」
中学や高校のときたしかに流行っていたことば。
わたしたちもくりかえすのかな
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理性ではいい人だと分かっているが、生理的に受け付けられないことがある。
いかんともしがたい、不毛な人間関係を作ることがある。
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【さらば、夏の光よ】 遠藤周作さん
お茶の水にある短期大学のB学院
遠藤先生はこの学校でフランス文学を教えていた。
その遠藤先生の講義を受けていた生徒の中に
背が低く小太りで女性にまったくもてない野呂という
生徒がいた。
善良で愚鈍な彼は人から頼まれたことには
嫌な顔せずどんなことでも引き受けてくれるので
いつも女性に利用されて、しかも感謝されないでいた。
彼には南条という親友がいた。
南条は野呂とは異なり、明るく快活な青年だった。
ある日野呂は南条に同級生の戸田京子が好きだと
打ち明けられた。
実は野呂も京子に恋心を寄せていたのだ。
しかし自分が女性に関心をもたれないコトを
自覚している野呂は気持ちを押し隠し南条の恋の成就に
協力し、やがて南条は京子の心をつかむコトに成功する。
南条に嫉妬しながらも、野呂は南条という人物を介して
京子に接点が持てることにささやかな幸福感を感じる。
南条は京子との親しみが増すにつれ、野呂との距離が
すこしずつ離れていく、野呂が自分から南条と京子に
気を使い身をひきはじめたのだ。
やがて京子は南条の子を身ごもり、彼と婚約するが
南条は結婚を前にして交通事故で亡くなってしまう。
傷心する京子に野呂は慰めの言葉をかけるが
野呂の想いに京子は応えられない。
野呂の気持ちはわかってはいても、彼を生理的に
受け付けることが出来ないのだった。
それでも野呂は献身的に京子に尽くし、彼女に結婚を
申し込む。
京子の父は世間体を何より重んずる人であったから
自分の娘が結婚前に子どもを孕んだ事実を恥じていた。
彼は野呂の申し込みを渡りに舟と感じ、娘にこの申し出を
受けるように説得する。
失意の京子は野呂の申し出を受けるが、いつも心の中には
南条が居た。
やがて京子は出産の時を迎えるが、子どもは生きて生まれては
こなかった。死産だったのだ。
野呂は善意と愛情で京子を失意から立ち直らせようと
一身に尽くすが野呂が京子に尽くすほど、京子の孤独は
深まっていくのだった。
☆
一人の男が一人の女に懸命に尽くす。その誠意はいつか必ず通じる。
一人の男が一人の女を真心をこめて愛する。
その愛情はやがて彼女にもわかってもらえる。野呂はそう信じていた。
彼は彼女を幸福にするつもりだった。
しかし結果的にはかえって彼女を不幸にした。
男女の・・人と人との交わりは善意や愛情だけでは
どうにもならないコトがある。
わかっていることなんですけどね。
同じことをされても天に昇るような幸福感を味わえる場合と
嫌悪感しかもよおさない場合があります。
自分が好きになった人が、自分を生理的に受け付けない
そういう救いようのない場面も決して珍しくはない
ような気がします。。
哀しい��すけど・・。
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背が低くて愚鈍な野呂。野呂が愛情を持っていた京子は親友の戸田が奪っていった。しかし戸田は妊娠中の婚約者京子を置いて事故死してしまう。京子の「杖」になりたい、時がいつかは解決してくれるのではないかと野呂は京子と結婚する。しかし、結婚生活でも野呂に対して愛情を抱けず、彼の不器用な優しさに苦痛だけを感じる京子は、戸田と死産だった子供の後を追う。
なんとも重い話。お互いが「いつかは・・」と思い続けても、結局どうにもならなかった運命。運命って言うのかな、その言葉だと重過ぎるかな、どうしようもないことってある。生理的嫌悪を感じながらも「便利」だから野呂を使う。理解できるだけに、哀しい女性の残酷さ。
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恋人の突然の死後、善良な恋人の友人と結婚することになった京子。今よりもずっと、シングルマザーやできちゃった婚に対する世間の風当たりが強かった時代。
恋愛小説の形の裏で、全ての人間の心に潜む罪と哀しみを描いたつらい作品です。
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なんていうか…現実。
苦すぎる。
最悪のバッドエンド。
先生だけが全てを知ってるってのがよかった。
『好き』だけじゃだめなこともあるってこと。残酷。
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「若きウェルテルの悩み」の激しさと「車輪の下」の暗さを併せ持ったような色合いの作品。さらば、夏の光よ。
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『父親』を読んで、良い作品だなぁと思ったので遠藤周作2冊目読んでみた。
真っ先に連想したのは、大好きな作品
『こころ』夏目漱石
『友情』武者小路実篤
この2作に似るものがあると思う。
男女間の三角関係(男2女1)のもつれの話。
こころも悲しいけど、これも相当に悲しい物語。
京子の人生が悲しすぎる。
この時代じゃなければ、野呂と結婚せずにシングルマザーになってたんやろな…赤ちゃんが無事に生まれたら。
時代だけやね。それが悲しすぎる。
一途にトンちゃんを思って、やのに野呂と結婚しても、野呂は優しいから余計つらかったやろうな。
読み進めていくうち、まさか野呂も自殺?と思ったけど、それはなかったからまだよかった。
誰一人、幸せになれない物語。
でも読んでよかった。
やりきれない気持ちになります。
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夏目漱石の『こころ』を思わせる。すごく悲しい、お話。解説で神について触れてあり、印象に残りました。神による殺人かあ…確かに。
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カテゴリでエッセイとしているけどエッセイでもない。遠藤周作が小説家と教師という二足のワラジを履いていた頃に知り合った男子学生にスポットをあてて書いたエッセイ風の小説か、小説風のエッセイか……どちらかわからないけれど、とても好きな文章で何度も読んだ。
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夏の光って、青春をイメージしますが
さらばって言うには悲しすぎる物語
人の想いって繋がらないものなんですね
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有馬図書館から借りた竹内くんが貸してくれた本。
心は優しいが醜くて鈍い男と快活な男の友情。
そして美人で憧れの女との
三角関係。秘めた恋。哀しい運命。
よくある話。よくある話なんだけど。
どうしよう、とてつもなくせつない。
主人公の野呂。
せむし男の野呂。シラノの野呂。
あたし、泣きたいくらいあなたの気持ちがわかるよ。
愛する人のためにはなんだってしてあげたい。
困っているなら、身を投げ出して助けてあげたい。
でも。
醜い人間は、どんなに努力しても、一人のひとから愛してなんてもらえないのかな。
小禽を雪山に放すラスト。
どうかどうか、あの山に春がきますように。
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悲劇のセオリーどおりに話が進むので、勿体を付けた語り口にサプライズを期待すると物足りないかもしれない。そのかわり、恋愛における多少理不尽な感情の動きに思わず共感すると、必然的に「善意で人は救われない」という認めたくない事実を認めさせられたような、してやられた感を味わえた。
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青春。
いつの時代も人が感じることは一緒で、生理的に無理なものゎ無理だし、忘れたくても忘れられず愛おしいものゎ愛おしい。
今の時代でも親とか組織とかに逆らえない人ゎそうだし、私みたいに自由に感情のまま生きる人ゎそうだろう。
だいたい大まかに言うと、二者に分かれるんだ、何事にも。
そんなことを思わせるお話。
切ないね。
とても読みやすかったので、遠藤周作の他の作品も読んでみようと思った。