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紙の本
ほんのりしたあたたかさ
2004/12/05 22:21
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:斜麓駆 - この投稿者のレビュー一覧を見る
原題は「スクルージと独身女性」だが,スクルージはディケンズのクリスマスキャロルに登場する金持ちで孤独な老人のこと。ブラボー家の三兄弟の最終話でブラボー家の次男ウィルとジリアン・ダイアモンドのロマンス。クリスマス譚仕立てで,雪に閉じこめられた山小屋で二人だけ(猫が1匹ついてくるが)で過ごすことになってしまう設定になっている。
夏に柳の下に幽霊が出る日本とは違い,西洋の幽霊はクリスマスにでるらしい。怪我をして眠っている間にジリアンは山小屋の持ち主だったウィルの祖母メイベルの幽霊に出会い,ウィルとキスをしてしまう夢を見る。父親に見捨てられ,母親も自分の店だけに夢中になっていた幼少時,十二月二十六日が誕生日のウィルはその後もクリスマスの頃にいろいろな不幸に襲われクリスマスを恐れるようになっている。普通の人のようにクリスマスを祝おうという気持ちにさせようと,ジリアンはウィルに次々とかつての経験を語る。それ以降ジリアンがウィルに心惹かれていく様子と,メイベルの幽霊がジリアンを導いていく様子が登場し,読者も自然とメイベルの霊に感情移入してしまう。
「クリスマスにはどんなことでも起こりうる」。西洋にはそんな信仰が一般的なのだろう。日本では人々にそこまでの気持ちはないように思う。そして,プレゼント交換の変わりにキスを交わし合う二人。やがて嵐が去り,山を下りてしまうジリアン。二人の間にクリスマスの奇跡は起こるのか。
二人がクリスマスツリーにする木は「米松」と訳されているが,これは“ピーラー”,あるいは“ダグラスファー”,“オレゴンパイン”といろいろな種類があるらしい。また,オーナメントという飾り物などクリスマスに関する用語がたくさん出てくるのも楽しい。
なかなか結婚しようとしない息子たちの幸福を祈り,なにくれと画策するブラボー家の大黒柱ケイトリンと,最終話にふさわしく幽霊になってからも思い切りの悪い孫を導いていく祖母メイベルの気持ちがほんのりとした暖かさを感じさせる佳作。
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