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この本は,精神障害を持つ当事者のさまざまな人へのインタヴューを通して,それぞれの生きる姿を紹介している。従来一般的には,精神障害者のことが語られるときには,家族の視点であったり,援助者である精神保健福祉士や医師,看護師からのものが多かったですね。しかし,最近は当事者が自らの体験を語ったりされる機会が多く出てきています。この本からは,精神障害を持つ当事者のさまざまな体験,特に病気になった経緯やそこから現在に至るまでの歩みが語られています。
精神障害者という匿名のとても変な感じのする言葉と違い,精神障害を持つ一人の人間として,何を経験し,何を考え,今何をしようとしているのかが非常にイメージしやすい形で読むことができます。理念としていわれる一人の精神障害を持った人ということが,自然にわかる本だと思います。
できれば,精神障害を持つ当事者と一人の隣人・友達としてこのような話を聞き,自分のことも話すことができるような関係が作れるといいなあと思います。