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読みやすく、面白かった。
『道徳感情論』と『国富論』を中心にアダムスミスの思想を解説してゆく、という意味では分かりやすい概説書だし、
『道徳感情論』に軸足を置き、市場に対する政府介入以上に個々人の道徳的行動を重視していた、という意味ではこれまでのアダムスミスんじ対する大方のイメージに異議を唱えたともいえるように思う。
特に前半の倫理学的な視点は、社会学の分野でもある。
こういう本が経済思想の教科書だと、入門には最適だと思う。
この本は、時期も良かったし、内容と時運がうまくかみ合っていた。
構成もよい。
だから売れた。
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「政治学研究Ⅰ」という授業で読みました。
簡単にまとめると。アダム・スミスの見方が変わった!
*読む前のスミス*
「見えざる手」とか言っちゃってるし、
政経の教科書にも載っちゃうくらいだし
難しいことばっかり考えてる人なんだなー
経済について語ったら止まらなくなりそう。。。
↓
*読んだあとのスミス*
ちょ、書いたの「国富論」だけじゃないの?
「道徳感情論」とか題名も中身も人間研究じゃん!
てか経済について書いたのって、
人間研究してたら経済にたどり着いたってだけじゃん!
しかもスミス、
「市場社会は人と人をつなぐという機能を持っている」
「市場は富を媒介にして見知らぬ者どうしが世話を交換する場」
「手近にあるものを大切にし、それらに満足することによって
私たちは十分幸せな生活を送ることができる」
…って、めっちゃいいこと書いとるやーん!
なーんて思ってしまいました。
スミスすごいよスミス。
ただ、時々矛盾するものが出てきたり
今の時代と合わない部分が出てきたり。
18世紀のことだし、仕方ない…か。
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スミスのもうひとつの著『道徳感情論』があり、
私はそれをベースに考えないと、
スミスのことを間違って解釈してしまうのではと思いました。
ちょっと(長いですが)内容を書いてみます。
個人が正義の諸法をまもって行動する限り、
このような個人の行動は、「見えざる手」に導かれて社会に
最大の利益をもたらす。
ここで重要なのが、
個人が合理的な行動をしたときでなく、
「正義の諸法」を守って行動するとき。
ということです!!!
アダム・スミスが言った正義とは、
胸中の公平な観察者が非難に値すると判断するであろう、
すべての行動は回避されなければならない。
ということから、
簡単に言うと、
『他を傷つなけい」ことです。
慈恵ということばで、「他人の利益を増進する」ことも言っています。
この、慈恵、正義を一般的諸規則として、
社会生活の根本の考えとしています。
人を傷つけてまで、
経済を高めるというのは、おかしいと思いませんか?
それと、スミスも言葉は違いますが、
他のためになる(慈恵)ことは基盤であると言っています。
そして、スミスはもうひとつ大事なことを言っています。
「野心」について、
我々が富と地位への「野心」をもつのは、富や地位の便利さや快適さのためだけでなく、
それらを手にすることによって得られる他人からの同感や賞賛あるいは尊敬や感嘆のためである。
→他人の目を気にするという人間の本性が起源なんだね!
これらの野心への動機を「虚栄」とよんだ。
野心の領域に入ってしまうと、
「いつでも自分の力が及ぶ範囲にある真実の平静」を犠牲にしてしまう。
スミスは、幸福は「平静」と「享楽」にあるといった。
「平静」とは、心が乱れていないときを言うんだと思う。
「一寸先は闇」なのに、野心に取り付かれて、全速力で走ってしまう。
そうしたら、どんなに危ないことか。。。
他人にぶつかって、怪我をさせてしまう危険もある。
多くの人が陥る本当の不幸は、真の幸福を現実するための手段が手近にあることを忘れ、
遠くにある富や地位や名誉に心奪われ、静座し満足しているべきときに動くことである。
傲慢にならず謙虚に。
富や地位を求めてもいい。そして個人が富や地位を求めることによって、社会は繁栄する。
しかし、
富や地位は手近にある幸福の犠牲にしてまで、追求される価値はない。
一歩一歩。
自分の出来る最大の力。
そしたら、自分は、思った以上に成長する。
そしたら、
また一歩一歩進めばいいんだよ。
他のために、他の役に立つために。
傲慢にならず謙虚に。
人は、人を傷つけず(正義)、他のためになることをする(慈恵)をすれば、
野心のなかので生きなければ、
絶対幸せになれる。
「見えざる手」をつくるのも人の行動である。
人がちゃんとした心を持って行動するならば、
皆が幸福を感じられる世界に近づくのだと思う。
経済システムが変わっても、
人間が変わらなければ、
世界は変わらない。
論理的に行動できることはすばらしい
しかし、他のためになっていなければ、
本末転倒である。
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アダムスミスの国富論と道徳感情論を解説した本。
後半の国富論の方がなんとなくなじみ深く理解しやすいかな。
要再読。
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今年の大学入試センター試験の現代国語は、
『資本主義と「人間」』(岩井克人著)からでし
た。この短い文章の中には、経済学の初歩
的な知識が散りばめられていますが、設問
そのものは素直なものといって差し支えない
でしょう。
高校生にとっては馴染みの薄い経済の話で
したが、経済の云々をしらなくても容易に解
答できる、読解力を解く問題でした。
でも現実問題として、アダム・スミスの『国富
論』は全編読まないまでも、かの有名な「見
えざる手」の周辺の知識くらいは、一般常識
として知っておくべきものではないでしょうか?
新聞紙上での「高校生にとっては難しい文章
だった」の難しいが、「経済の話」のことなのか、
それともこれを一般常識とするのが「難しい」
といったのかは定かではありませんが、それ
は設問との相関からすれば正しい評価では
なかったと思っています。
逆に、「読んでおいて当然」「知っておいて当
然」といった基礎的なもの、それが一般的な
そしておおよそ誰彼も知っているといった「共
通する次元の話」として今まで存在していたの
が、最近どうも崩れていっているような気がす
るのです。
そこで今回は、『アダム・スミス』。
アダム・スミスの『道徳感情論』と『国富論』を解
説した程度の高いダイジェスト版(失礼ですねえ)
です。
本当に読んでいてページが進みませんが、皆が
読んでるから否応なく読むといったことも大切です。
それが一般常識になるのではないのでしょうか?
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4年生のうちにと思いつつなかなか読めなかったのが、
勇上先生のものすごい魅力的な授業で紹介されたのがきっかけで読めました。
「神の見えざる手」の言葉ばかりが先歩きして、
経済学とは弱肉強食の市場原理主義であーるとする論調は本当に多い。
政府による市場の規制をなくし、競争を促進することで豊かな国をつくりあげることができる。
これが僕の「国富論」の理解でした。しかし、アダムスミスは無条件にそう考えたのか?
経済学の始祖は、そもそも哲学者でもあった。この本も「国富論」と並ぶ大書「道徳感情論」の解釈に多くのページがさかれている印象を受けます。
また、数学のツールを使わずに、四苦八苦しながら考えをまとめていった過程が鮮明でした。
「利己心や時愛心は義務の感覚のもとに制御されねばならないし、通常は制御されるはずであるとスミスは考える。このことを理解しておくことは、『国富論』において、スミスが利己心にもとづいた自由な経済活動を容認したことの意味を正しくとらえる上で非常に重要である。」(第一章 秩序を導く人間本性より)
「心の平静を得るためには、最低水準の収入を得て、健康で、負債がなく、良心にやましいところがない生活を送らねばならない。しかし、それ以上の財産の追加は幸福を大きく増進するものではない。以上がスミスの幸福論である。」(第二章 繁栄を導く人間本性より)
数式なしで論理を展開していける人は突き抜けた天才だけだ、と
計量の授業で、ミクロ・金融の佐野先生(超イケメン)がおっしゃってました。
アダムスミス(とこの本の著者)の天才ぶりには2章ぐらいからついていけなくなりました。
道徳的にスッカスカの僕には一文一文が沁みわたってくるようで、今後人生の選択に迷ったときにはここに立ち返れそうです。
本当に良かった。後期にこの講義を開講される堂目先生は、アダムスミスに似ているらしいです。見てきます。
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『国富論』はちょっと重いと思いこの本を読む。道徳感情論と国富論について書かれていて、2つの関連性も説明してあるので、アダムスミスについて知るにはなかなかいい本だと思う。
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「ヤバい経済学」の序章を読んでいて、アダム・スミスが哲学者だったって話から興味を持って選択。
人間活動の基本原理を求め、その応用として国富論を書いたことがよくわかった。経済学の教科書として今でも通用するのはそういう理由があるからか。進歩していないだけかもしれないけど。
また、人間は弱き心を持ちそれを仕方のないこととしつつも、人間の幸せは身近にあり、くだらない欲望にとりつかれることがないようにと説くところはショーペンハウアーに似ている。
この本が読みやすいおかげで、経済学に更なる興味が持てた。
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目次
はじめに
序章 光と闇の時代 18世紀イギリスの世相
1 光の側面
2 闇の側面
3 スミスの生涯と課題
Ⅰ『道徳感情論』の世界
第1章 秩序を導く人間本性
1『道徳感情論』の目的
2 同感の仕組み
3 称賛と非難
4 いかにして正義のルールが作られるか
5 社会秩序に関するスミスの見解
第2章 繁栄を導く人間本性
1 野心と競争の起源
2 幸福とは何か
3 野心と経済発展
4 徳への道と財産への道
5 許される野心と競争
6 秩序と繁栄を導く人間本性
第3章 国際秩序の可能性
1 公平な観察者の判断基準に慣習が与える影響
2 国際秩序は可能か
3 祖国への愛と国民的偏見
4『道徳感情論』から『国富論』へ
Ⅱ『国富論』の世界
第4章 『国富論』の概略
第5章 繁栄の一般原理(1)―分業
1 分業と市場
2 価格の動き
3 貨幣の役割と影響
第6章 繁栄の一般原理(2)―資本蓄積
1 分業と資本蓄積
2 階級社会と資本蓄積
3 資本蓄積の仕組み
4 投資の自然な順序
第7章 現実の歴史と重商主義の経済政策
1 ヨーロッパの歴史
2 植民地建設の動機と結果
3 重商主義の経済政策
第8章 今なすべきこと
1 自然的自由の体系への復帰
2 アメリカ植民地問題
終章 スミスの遺産
あとがき
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『道徳感情論』や『国富論』は非常にとっつきにくくて読むの嫌でしたが、この本は平易に『道徳感情論』の内容をまとめてくれてますので助かりました。でもまだ『国富論』は読んでません。読む気も出ない…。
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アダムスミスは、彼の著書である国富論で有名であり、そのなかでも神の見えざる手で知られている。一般に、神の見えざる手は、市場の価格調整メカニズムとして理解され、国富のためには市場の規制を撤廃し、競争を促進することで、経済が成長し、強い国となると考えられている。本著は、このような自由放任主義をアダムスミスが本当に主張したかったのかを、彼の生涯で二つの著書である、国富論と道徳感情論を考察することで検証している。
道徳感情論のなかで、社会の秩序や繁栄は、同感(共感)という人間本性によって導きだせることを説明している。国富論では、国民を豊かにするためには、労働生産性を上昇させ、生産的労働の割合を高めることが重要だと書いている。
1番有名な見えざる手の箇所を要約すると、個人の利己心は市場の価格調整メカニズムを通じて公共の利益を促進する。しかし、これらの機能を保障するのはフェアプレーのルールに従うときであり、特定の市場参加者に特権が与えられる場合は機能しないとある。
だから、特別な規制に守られた、金融や医療ではおかしなことがおこるのかなとふと思った。
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アダムスミス
経済学では最も有名なこの人も実は僕自身あまり知りませんでした
みんなも「見えざる手」以外知らないでしょ??
道徳感情論のについて書いた前半はスミスがこういうこと考えてたことは全く知らなかったので非常に興味深く読めました
見えざる手が働くような市場経済は個々人が「フェアプレー」おこなわないとダメだということ
そらみんなが自分勝手にやって相手を貶めようとしていたらうまく市場が働かないですよね
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この本では、アダム・スミスの思想、彼の著作である『道徳感情論』『国富論』の解説が主となっている。
学校や予備校では彼=みえざる手!という感じで教わり、究極の規制緩和主義者・資本主義の欠陥があるとすればその権化のような存在として紹介されていたと思ったが、その姿・思想は彼のものとはいささか違うものであるということがわかった。
彼は自由競争や分業によって得られる富と同時に、「道徳」というものを大切にしていた。それは「公平な観察者」という言葉で表わされる「フェア・プレイ」の精神であるとも言える。これがあってこその自由化らしい。
そして、最低所得すら得られない人を減らしていくことこそが大事と述べた。
ここにはとても共感した。
賢者の定義については、ローマ時代の人(セネカ読んだ時に思った)は「神のごとくな人」を描いていた感はあったが、スミスの場合は「最低所得を下回ると賢者ですら文句言うよ!」と、かなり現実的に修正された考え方をしていた。
ただ、歌手や召使などの人を楽しませたり助けたりする人については「何の生産もしない人」としてしまい、これらを「生産する人」に変えることで社会は発展するとしていたところについては、少し頭の固さを感じた。これが実現されてしまったら、大分つまらない世の中になるよきっと。人間は食べて働くだけのロボットじゃないんだからさ。
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[ 内容 ]
政府による市場の規制を撤廃し、競争を促進することによって経済成長率を高め、豊かで強い国を作るべきだ―「経済学の祖」アダム・スミスの『国富論』は、このようなメッセージをもつと理解されてきた。
しかし、スミスは無条件にそう考えたのだろうか。
本書はスミスのもうひとつの著作『道徳感情論』に示された人間観と社会観を通して『国富論』を読み直し、社会の秩序と繁栄に関するひとつの思想体系として再構築する。
[ 目次 ]
序章 光と闇の時代
第1章 秩序を導く人間本性
第2章 繁栄を導く人間本性
第3章 国際秩序の可能性
第4章 『国富論』の概略
第5章 繁栄の一般原理(1)―分業
第6章 繁栄の一般原理(2)―資本蓄積
第7章 現実の歴史と重商主義の経済政策
第8章 今なすべきこと
終章 スミスの遺産
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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道徳感情論が新鮮だった。
国富論の見えざる手に疑問を持っていた僕にとって、
アダムスミスの見方が、変わりました。