紙の本
評判の一遍よりも
2024/02/26 18:36
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投稿者:栄本勇人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「砂漠を走る船の道」のミステリファンの絶賛ぶりはよく分からない。ラストのネタもややアンフェア。最も良かったのは「叫び」。緊迫感にあふれ、特異な状況でのWHYもきまっていた。「叫び」はもっと評価されるべきではないか。
紙の本
なかなか描けない
2019/07/30 17:25
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近流行りの日常の謎ミステリーとは一線を画す作品。
サハラ砂漠、スペイン、アマゾン等を舞台とした連作ミステリー。
トリック、ミステリーとしては荒削りな部分があるものの、
とてつもない技術の高さが感じられます。
紙の本
通用しない価値観
2017/05/17 22:48
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界各地をめぐるジャーナリスト斉木の前に数々の事件が巻き起こる。どの事件もその土地の環境や風習などが反映された濃い内容になっています。全体を通してみると胸がすくような話が少ないので、好き嫌いがわかれるかもしれませんね。
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初作家さん。
ミステリーと思うとちょっと物足りないけど、ぐいぐいと
読ませるものがあり面白かった。
ただどの短編もラストわかりにくかった、というか中途半端な感じがした。
今度は長編を読んでみたい
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世界各国を舞台に、ライターの斉木が活躍する連作ミステリー。
この本を読んでいて思い出したのは『文化相対主義』と『自民族中心主義』という言葉です。文化相対主義は全ての民族は文化で優劣を決めるものではなく、相手の文化や価値観を理解しようとする考え方。自民族中心主義は自分の文化を中心とし、他の文化を否定的にとらえるというものです。
なぜこの二つの言葉が思い浮かんだかというと、それぞれの短編の事件を解決には文化相対主義の考えでないと解決できないものばかりだったからです。
『砂漠を走る舟の道』はなぜ砂漠のど真ん中にいる最中で殺人が起こったのか、『叫び』では病気により近いうちに滅びうる部落でなぜ殺人事件が起こったのか、という謎が主題となります。ともに日本人の文化や価値観では図ることのできない理由や論理がその事件の裏にあります。
そうした異なる論理の世界での謎解きというものは、とても新鮮でした。殺人事件の話で抱く感想ではないかもしれませんが、改めて世界の広さ、さまざまな考えの人がいるということを思いました。トリックを解くミステリでもなく、かといって人の闇を解くミステリとも言い切れない。異なる価値観をもつ普通の人間の犯罪にどう挑むのか、ということを描いたミステリだったように思います。
斉木のキャラが薄かったようにも思うのですが、それもさまざまな文化を柔軟に受け取るための設定だったと思うと納得できるように思います。
作品のところどころに見られる文章表現も素敵だったと思うのですが、連作の最後を締める『祈り』の文章が何よりもよかったです。さまざまな価値観にぶつかってきた斉木が最後に何を感じ祈ったのか、ミステリの特異さを楽しむとともにこの部分にも思いを馳せてほしい小説です。
第5回ミステリーズ新人賞受賞作『砂漠を走る舟の道』収録
2011年版このミステリーがすごい!3位
2011年本屋大賞6位
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海外を舞台にしたミステリー短編集。
文庫化を楽しみにしていた一冊です。
特殊な状況下での事件と、驚きの犯行動機。
舞台を外国としたことが、非常に効果的に働きます。
『砂漠を走る船の道』と『叫び』が好き。
最終話『祈り』のラストも素晴らしいです!
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文章がすごくうまい!と思うのですが、個人的に、あまり心には響かない感じ・・・かな。
でも、今後の作品が楽しみです。
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5つの短編から成る物語である。最初の1編はよかったが、残りはオチが微妙だったり、トリックがやや難解だったりして、微妙でした。ただ、解説で瀧井さんがおっしゃっているように、「文章の美しさ、豊かさ」が感じられます。読者を酔わすような表現が随所にあるのです。5つの短編はそれぞれ毛色が違うので、ミステリーをベースにした、ファンタジーや青春ものの話を書くことも今後おそらく試みてくるのではないかと個人的に推測しています。
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週刊文春の第2位とかこのミスの第3位とか、帯にこういうこと書いてあるのに弱いよねぇ、全くノーマークだったけど、買っちゃった。
外語大を卒業し7か国語を操る斉木が、携わる雑誌の取材で訪れる外国の街で遭遇する数々の異様な謎や事件…。
赤茶けた砂漠とオアシスの緑、灼熱のスペインの空と風車の丘、灰色に凍えるロシアの修道院の森、どこまで行っても濃い緑のアマゾンの奥地。
どちらかと言えば、謎解きよりも、丹念に描かれる異国の情緒と佇まいが印象に残る。
終章、それまでの冒険譚が謎めいた場所での謎めいたやり取りに収斂し、その前の話で描かれた滅び行く部族の痛切な叫びが、斉木個人の物語へつながる作りはなかなか意味深。
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ミステリ新時代の到来、と言ってしまうと多少オーバーな表現になるでしょうか。なるか←
ですが、私は日本の推理作家が、推理小説飽和状態(飽くまで私見ですが)の昨今にあって、この作品を書いてくれた点だけを取っても評価したいのです←謎の上から目線( ^ω^ )←←
日本のミステリ界の未来は明るいぜ\(^o^)/ひゃっほー
ワイダニット〜?イマイチ!ハウでなんぼよ〜!な、ミステリスキーを自認する方にこそ読んでほしい作品です。
とにかく、この動機は、新しい!
一言で言うと、それに尽きます。
個人的怨恨ではなく、その土地土地の文化や慣習に根差した、非常にシンプルな価値観によって引き起こされた事件が、端正な筆致で描かれています。
「何故、殺さなくてもよい人間を殺したのか?」ーー平和な日本に安穏と暮らす私達からすれば想像だにできない驚愕の犯行動機が、日本人青年の目を通して明らかになります。
それと同時に、作者が巧妙に張り巡らせた第二・第三のミスリードに気付いた時の快感といったら、もう…至福〜!(笑)
読んだ人と意見交換したくなるミステリですね( ^ω^ )
そんな風にミステリスキーを喜ばせながらも、「叫びと祈り」というタイトルに込められた意味が明らかになる最終章では切ない余韻も残す読み応えです。前の話までエキサイトしていた私は激しすぎる温度差にほんの少し戸惑ってしまいましたが、それも込みで普通のミステリではなかなか得られない読後感を味わえました。
続編も書けそうなのに、ここで潔く完結させたのも素敵。しかしシリーズ化は希望←←
◉砂漠を走る船の道…砂漠を行く行程の中でキャラバンのメンバーの1人が殺害される。キャラバン以外に犯人の存在し得ない中、犯人は何故、自らの命を危険に晒してまで殺人を冒したのか?
◉白い巨人…風車の内部に入って行った恋人の姿が消えたーー中世時代 に同じ状況下で消失した兵士の謎に迫る中、思わぬ真相が明らかになる。
◉凍れるルーシー…修道院を訪れた斎木が目にしたのは、死してなお朽ちることない聖人の遺骸。ところが、聖人に祈りを捧げたいという司祭の一言から、状況は一変する。
◉叫び…アマゾンの奥地で、致死率の高い役病が発生する。ところが死を待つしかない人々が殺害されるという奇妙な事件が発生する。
◉祈り…「密林の奥地にある洞窟に掘られた寺院は、なぜ作られたと思う?」ーー患者を訪ねてきた友人が出す謎掛けの意図、そして驚愕のラスト。
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砂漠を行くキャラバンで起きた連続殺人、スペインでの風車から消失事件、ロシア正教会のとある修道女の聖列、南米のある集落で起こった感染病・・・ある青年が世界各地で出会った謎の短編集。
その国、民族、思想が事件の動機となってるので読んでて新しい感覚でした。日本住んでる私では想像つかなかったりするので、面白かったです。
砂漠のキャラバンの話が一番好きかな・・・そういう動機か!?とビックリしました。
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短編から連なるミステリー。
作品ごとのクオリティは高いけど、ちょっと短いし、最後のまとめの章は、いらなかったかも知れない。
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外国の特殊条件下での推理劇の短編。
なかなか考えるのが楽しい。
と思いきや、最後のどんでん返しもきれいでした。
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本屋大賞ノミネートほか、各種ミステリーランキング上位入選という帯に惹かれ、書店で手に取る。
新人賞を受賞したデビュー作を巻頭に、さらに同じ主人公の話をを4つ加えた連作短編集。そのどれもが異国の特殊な風土、文化があってこその事件で、既存のミステリーとは毛色が異なる。
トリック偏重であらすじ書きのようなミステリーには辟易しているが、この作者はまだつたない部分はあるものの文章も丁寧で、小説としての味わいがある。今後もトリックのみに走らず、独自の世界を追求して欲しい。
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ミステリがそれほど好きではないらしい私でも、この本がとても面白かったのは、ここに収録されているストーリー達の主題が、犯人探し(フーダニット)よりも殺害方法(ハウダニット)よりも、動機(ワイダニット)だからだと思います。
もちろん、犯人探しもするし、殺害方法の推理も行われるし、今っぽい叙述トリックでも驚かせてくれるんだけど、それらは文字通り、手段であって目的ではない。
文化も価値観も違う異国のなかでは、その動機こそ目から鱗。