投稿元:
レビューを見る
ウォルターズがデビュー作『氷の家』以来一貫して掲げる3つのテーマ。マイノリティに対する軽視と偏見、弱者に対する支配、そして家族のあり方。(あとがきより抜粋)想像を超える残忍な事件と登場人物の辛さや悲しみに読むのを途中でやめそうになるけれど結末が気になって結局一気読みしてしまう、それがウォルターズのミステリー。次は『破壊者』を読みます。
投稿元:
レビューを見る
「氷の家」と同じ作者だったので。
パニック小説とか、非常事態とかあまり興味がないので、
最初は小児愛者をめぐっての貧困地区の騒ぎは、
少女の行方不明の背景だと思っていた。
だが、ジミーが登場してから、がぜん暴動の動きの方が気になっていく。
刑務所から出たばかりで、
自分が指紋を残して犯人と思われるからと、怪我した女性のために救急に電話し、
彼女を助ける手伝いをすることに。
女が殴られることには、たとえそれが警官だとしても我慢できないジミー。
老女に助けられ、子供たちが逃げる手伝いをし、囚われた女医の救助へ向かう。
巨体に暖かい心を持つジミーの行動が胸を打つ。
男はみてくれじゃないのよ、何をしたかなのよと最後に老女に言われていたが、
本当にその通りだと思う。
人は何を語るかではなく、何を知っているかではなく、その行動で判断されるべきだ。
この作品はミステリーではなく、英雄譚なのだ。
投稿元:
レビューを見る
積読をやっと消化。期待しすぎたかな、。 。
パトリシアコーンウェルを読んだときのどきどき感はなかった。
投稿元:
レビューを見る
ミネット・ウォルターズは作品ごとにぜんぜん趣が違う。
ミステリーが、犯罪が起きてそれを解くこと、だとするなら、本作はミステリーではない。
イギリスの低所得者層が住む団地で起こった暴動の顛末。
ぶっ壊れたヤツ、意外にそうじゃないヤツ、変態あり美談あり、イギリスらしいモロモロが登場する。
ミステリーじゃないから謎は存在せず、人を描いていても浅く、
だったらミステリーと普通文学を読むなぁ。
ミネット・ウォルターズにはここのところずっと肩透かしをくらってる気がする。
ただし2001年の作品。
投稿元:
レビューを見る
ムッサオモロかった!
低所得者層(社会的底辺の人々)向け住宅街に、前科のある小児性愛者の二人ずれが引っ越してきた。という情報が流れ、そこからその地区で大暴動が起こるさまを描いた小説。
ミステリー要素は薄く、パニック小説の様相である。ちゃんとしたミネットファンは「どうしたんだ?」と言ってるくらいに雰囲気が違う小説らしい。俺はそこまで作者の小説を読んでないので、違和感なく楽しめたが…。
それにしても、日本だけでなくイギリスにもこういう団地があるんだなぁ。大阪のあそことか神戸のあそことか…そういうとこを想像して、この本を読んだらリアル感マシマシ。
本気でワルいヤツを2名だけにして、あとは場の雰囲気で走る一般人っていう設定もリアルだった。お祭り気分で暴動を盛り立てる若者たちの姿は他人事じゃない、日本でだって、自分たちだって十分になりえることだ。注意しないとなぁ。
あと、モロトフカクテルはしっかり蓋をしないといけないこと、余談の話だし、使うこともないんだろうけど、妙に心に残る教訓だった。
投稿元:
レビューを見る
ミネットウォルターズの代表作との呼び声も高い「遮断地区」。ドラッグが蔓延し争い事が日常茶飯時、LSD街と揶揄される低所得者向け団地。近くの団地で少女が行方不明になると、小児性愛者と疑われた親子を排斥するデモは暴動に変わり、往診に来ていた女医のソフィーは暴徒に襲撃された親子に監禁される。親子は小児性愛者ではなく異常サディストとその被害者でおかしくなった息子だった。警察は少女の捜査のために暴動まで手が回らない。そして団地に火を放ち、呆けた老人を小児性愛者と思い込んでリンチする半グレたち。
マイノリティへの偏見をテーマにしたリアルでサスペンスフルなカタルシス小説!パニック、暴力、犯罪。血だらけの暴動の中で冷静と信頼と希望をもたらすのは刑務所帰りの黒人ジミー。勧善懲悪のヒーローではない。混乱の中で彼は警察や病院にその役割を頼まれる。思いやりは山ほどあるのにクソのような罪人に対しては容赦しない男。自己弁護する理屈も言い訳もいらない。そんなものは誰も信じない。肝に銘じよう。言葉よりも「人はその行動で判断される」。
投稿元:
レビューを見る
イギリスの作家「ミネット・ウォルターズ」の長篇ミステリ作品『遮断地区(原題:Acid Row)』を読みました。
「ディック・フランシス」(「フェリックス・フランシス」との父子共著含む)に続きイギリスのミステリ作品です。
-----story-------------
バシンデール団地に越してきた老人と息子は、小児性愛者だと疑われていた。
ふたりを排除しようとする抗議デモは、彼らが以前住んでいた街で十歳の少女が失踪したのをきっかけに、暴動へ発展する。
団地は封鎖され、石と火焔瓶で武装した二千人の群衆が襲いかかる。
医師の「ソフィー」は、暴徒に襲撃された親子に監禁されて……。
現代英国ミステリの女王が放つ、新境地にして最高傑作。
解説=「川出正樹」
*第1位『ミステリが読みたい!2014年版』海外編
*第2位『このミステリーがすごい! 2014年版』海外編
*第3位『週刊文春 2013年ミステリーベスト10』海外編
*第2位『IN★POCKET』2013文庫翻訳ミステリーベスト10/翻訳家&評論家部門
*第4位『IN★POCKET』2013文庫翻訳ミステリーベスト10/総合部門
*第4位『IN★POCKET』2013文庫翻訳ミステリーベスト10/読者部門
-----------------------
2001年(平成13年)に出版された社会派ミステリーの問題作… 翻訳されたのは12年後の2013年(平成25年)のようですね、、、
「ミネット・ウォルターズ」の作品は初めて読みましたが、サスペンスフルでスピーディーな展開が愉しめました… 実際に、こんな暴動が発生すれば、イギリスの警察組織が、もっと早く解決してくれると思いますけどね。
教育程度が低く、ドラッグが蔓延し、争いごとが日常茶飯事である通称アシッド・ロウ(LSD街)と呼ばれるバシンデール団地に小児性愛者が入居して来た事実がナイチンゲール医療センターの巡回保健師「フェイ・ボールドウィン」の口から住民の一人でシングルマザーの「メラニー・パタースン」に漏れる… 身の危険を感じた「メラニー」は母「ゲイナ」とともに変質者を団地から追い出すデモを計画、やがて、その噂が広まり、引っ越して来たばかりの老人「フラネク・ゼロウスキー」と息子「ミーローシュ・ゼロウスキー」をターゲットにしが群衆デモへ発展する、、、
そして、彼らが住んでいた街で十歳の少女「エイミー・ビダルフ」が失踪した事件が発生し、「フラネク」と「ミーローシュ」に誘拐の疑惑を抱いた、「ケヴィン・チャータズ」、「ウェズリー・バーバー」等を中心とした凶暴な若者達が暴走して、地域の出入り口をバリケードで封鎖し外界をシャットダウンしたうえに石と火炎瓶で襲撃しようと企む… この排斥デモに端を発する大暴動と、その引き金となった近隣の中産階級向け住宅で発生した「エイミー」の失踪事件の顛末が、分刻みで刻々と変わる局面を頻繁に視点を切り替えて多角的に、そして、臨場感豊かに描きあげられていましたね。
愛する子どもたちの安全を願って始めらたはずの平和的なデモが、いつの間にかコントロール不能な暴力行為へと変貌し、悲惨な結末に突き進みます、、、
「フラネク」と「ミーローシュ」の家を往診のために���ねていた女医「ソフィー・モリスン」が暴動の発生とともにそのまま部屋に閉じ込められ、思わぬ暴行の犠牲となって血まみれの身体でも何とか抵抗して行くヴァイオレンスの色濃いサスペンスと、刑務所帰りで真面目に更正して生きて行こうと考える黒人青年「ジミー・ジェイムズ」が恋人「メラニー」を助ける為に危険地帯へ乗り込んで行く身体を張った活躍の大迫力に満ちたシーンが印象的でしたね… 悪の道から立ち直り、懸命に奮闘する「ジミー」の活躍には、感情移入しちゃいましたね。
冒頭で読者に提示される「5時間にわたる暴動で死者3名、負傷者189名」という新聞の見出し… それによって、死んでしまう3人って誰なんだろう? というのを気にしながら読み進む展開も面白かったな。
惨い暴力や無意味で虚しい死もありますが… 全体としては救いのあるまとめ方をしてあり好感が持てましたね、、、
でも、同時に進行する「エイミー」の行方を追う捜査の模様は、アシッド・ロウの暴動に比べると、やや盛り上がりに欠けましたね… 徐々に明らかになる機能不全に陥った親子関係が理解できなかったからかも。
そして、終盤でのワンシーン、、、
凛とした元看護婦の老女「アイリーン・ヒンクリー」が、「ジミー」に対して発する「人はその行動で判断されるの」という言葉が印象に残りました… 良い言葉ですね。
以下、主な登場人物です。
「ソフィー・モリスン」
ナイチンゲール医療センターの医師
「フェイ・ボールドウィン」
ナイチンゲール医療センターの巡回保健師
「ジェニー・モンロウ」
ナイチンゲール医療センターの受付係
「ハリー・ボンフィールド」
ナイチンゲール医療センターのシニア・ドクター
「ボブ・スカダモー」
ソフィーの婚約者。精神科医
「メラニー・パタースン」
シングルマザー
「ゲイナ・パタースン」
メラニーの母
「コリン・パタースン」
メラニーの弟
「ジミー・ジェイムズ」
メラニーの恋人
「ケヴィン・チャータズ」
コリンの友人
「ウェズリー・バーバー」
不良少年
「エイミー・ビダルフ」
十歳の少女
「ローラ・ビダルフ」
エイミーの母
「グレゴリー・ローガン」
ローラの同棲相手
「キムバリー・ローガン」
グレゴリーの娘
「バリー・ローガン」
グレゴリーの息子
「マーティン・ロジャスン」
ローラの夫。弁護士
「エドワード・ダウンゼンド」
宅地開発業者
「ドリー・カーシュー」
バシンデール団地の住人
「アイリーン・ヒンクリー」
バシンデール団地の住人
「アーサー・ミラー」
バシンデール団地の住人
「タイラー」
ハンプシャー州警察の刑事
「ゲアリー・バトラー」
ハンプシャー州警察の部長刑事
「ケン・ヒューイット」
ハンプシャー州警察��巡査
「ウェンディ・ハンソン」
ハンプシャー州警察の婦警
「ミーローシュ・ゼロウスキー」
小児性愛者
「フラネク・ゼロウスキー」
ミーローシュの父
投稿元:
レビューを見る
「この社会には煽動家が多すぎるのよ。そして調停する人はあまりにも少ない」
愚か者たちの饗宴といったところかな
それにしてもミネット・ウォルターズ相変わらず字が多いw
原書で読んでもそう感じるのかな?英語もっとちゃんと勉強しておけば良かったな
そして相変わらず設計図が緻密すぎる
緻密すぎる設計図の果てにどこに連れて行かれるんだろうって心配しながら読み進めていました
世の中には自分の考えなしな行動で悲惨な結果を招いたとしても、非は自分にはないって自分を簡単に納得させることができる愚か者が多すぎて、小さな善意は愚かな煽動家たちの行軍に踏み潰されていく…
そんなどうしようもない結末を思い描いていました
んでもそこはミネット・ウォルターズ!ちゃんと救いのある明るい結末が用意されていました
彼女の物語では世の不条理と持てる力を振り絞って闘ったヒーロー、ヒロインは必ず報われるのです
ごめん、途中ちょっと疑ってたよ
どんなに陰鬱な事件の結末にも「あなたも闘え!」ってちょっとだけ背中を押してくれるのがミネット・ウォルターズという作家なのだ!