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エピソードを重ね合わせ緊張感を盛り上げるところは流石ウォルターズ。シーンが次々と切り替わるがぶつ切れ感は無く、逆に続きが気になってしょうがなくなるw
忙しくて一気に読めなかったのが残念。時間があったら徹夜本になると思うww
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これでもか、というげんなり感満載。ウォルターズらしいというかなんというか。
翻訳の順番が、発表の順じゃないことに気がついた。賞をもらって早めに訳されたものもあるのか。ノンシリーズだから、気にならないけど。
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2001年の作品。こんな面白い本を10年以上も放置していたのは東京創元社の怠慢。
遮断地区というタイトルだけで興味を持たせられる。限られた空間でのスリラーは外れがないように思う。
小児性愛者排斥の暴動と1人の少女の失踪事件の二つの顛末が並行して描かれる。底流にあるのは親子の物語りか。
細かい章割りでテンポはよく、また緊張感が最後まで続く。
暴動沈静に一役買う、あるネットワークが傑作。
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寡聞にして知らなかったのですが、書評家・川出正樹氏によれば著者は英国推理小説界の女王との事。
本書はそんな著者がイギリスの貧困地区で起きた暴動の発端から顛末までを描いた小説です。
コントロールできない混乱に翻弄される人の無力さや力を有効活用できない警察、しかしその様な中でも状況に立ち向かう個人の姿を描いていました。
では前置きはこの位にしてあらすじをご紹介。
社会福祉政策の失敗の結果誕生したバシンデール団地、通称アシッド・ロウ。
教育水準が低く、ドラッグが蔓延しているこの団地に幼児性愛者が入居させられたとの噂がたつ。
そんな折、別の団地でシングルマザーの娘が行方不明となる。
幼児性愛者への母親達の懸念にこの事件が重なり、やがて団地は暴動の舞台へと変貌を遂げていく・・・
依存体質の母親。
破綻した親子関係。
子供を道具とする大人の冷酷さ。
お世辞にも良い経歴の持ち主とは言えない人物の良心。
後書きによれば、著者はモラル・マジョリティ(多数派のモラル)が嫌いとの事。
本書はその様な著者の想いを反映したのか、「多数派のモラル」が暴動を呼び起こした様とその最中に自らの意志で行動する個人とを対比させたストーリーとなっており、
見方によっては、いわゆる¨良識¨とやらへの痛烈な皮肉の様にも受け止める事ができます。
良識を武器にして他人の心を押しつぶす事に血道を上げている人には痛い内容かも知れませんね。
ストーリーの方は、さすがに英国推理小説の女王と呼ばれるだけあってか、暴動の様子が目に浮かぶかの様。
たくみな描写が全編に渡って冴えています。
休日の前夜か、あるいは休日当日でないと危険な一冊になるかも知れません。
ご注意下さい(笑)
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著者の今までの作品より緊迫感とスピ-ド感があって、私の好み。遮断区域でどう生き延びるか、ここがサスペンス。悪い奴にはそれなりの最期があり、カタルシスも味わえる。
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<新ミステリーの女王>としては、何ともミステリーらしからぬ作品を書いたものだ。それもいい意味で。
タイトルのとおり、本書は暴徒に遮断された地区とそこで起きた真実について描かれた作品である。舞台は、最下層の人々の住むバシンデール団地、通称アシッド・ロウ。道路は扇形の外周を回るが、隣地とは壁によって隔てられ、一旦中に入り込むと、外界との交点は非常に少なく、そこが暴徒に制圧されると警察さえも踏み込むことができなくなる厄介な地形である。
暴動が主題となるのだが、暴動の原因は、小児性愛者の父子が他の団地で犯罪を犯し転入してきたという風評。そう、あくまで風評である。風評の原因となった機密事項の暴露者は福祉系の巡回保健師。件の父子の転出元の団地では、あろうことに少女失踪事件が判明しニュース報道でも大きく報じられていた。風評はさらに事実を超えて肥大していった。
暴徒の構成は、残念ながら最下層に住む不良がかった少年たち。幼年たちを含む。そして扇動者は、ヤクでいかれたおよそ一名のサディスト青年。それでも暴徒と化した群衆の圧力は凄まじい。死者11名を出した明石の花火大会歩道橋事故を思い出すといいだろう。その圧力を逃すために家の中を通り抜けて外側に出てゆける人々の流れを作らねばならない。
この種の物語は言わば群衆小説となるのだが、主人公らしき存在がいる。小児性愛者父子の家に知らず踏み入れ監禁されてしまった女性医師ソフィー。小児性愛者の情報をもたらされ、デモを行うことを呼びかけ、暴動のきっかけを作ってしまったことを悔やむゲイナとメラニーの母娘。メラニーの恋人でムショ帰り、更生を誓って八面六臂の活躍を見せるジミー。彼らが思い通りに動けず、暴徒に囲まれ、警察は役に立たず、コントロールを失った現場で動き戦う様子を活写しているのが、本書、なのである。
それと同時に、別の場所、別の団地で、風評の原因となった少女失踪事件についてが、主たるテーマとほぼ同量の扱いで描かれる。複雑に絡み合った事件の真相を執念で追い続ける刑事タイラーの容赦ない捜査が心地よいが、隠蔽しようとする離婚した弁護士の父、そのクライアントで小児性愛者の疑いのある企業家、自立し切れずに混乱する母親と、失踪少女を取り巻く環境は、まるで情念と欲望の坩堝である。こうした環境のもたらす悪徳、といったところを両方の事件を通して、作者は描きたかったのかもしれない。
例によって翻訳の遅い出版社なので、不幸にもこの作者の作品が日本にお目見えするのが相前後するばかりか、非常に年数がかかっている。当時の英国が抱えた真実なのか、今も解決されぬ普遍的な環境悪であるのか、そのあたりの判断がし難いあたり、海外ミステリに手を伸ばそうとせず、こうした重厚な物語の紹介時期を逸してきた出版各社の、まさにこのことこそが環境悪と言いたくなる部分であるのだが……。
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英本格ミステリの女王様にしては意外なパニックもの。もちろん、ウォルターズのこと、単純なサスペンスものではなくて、少女の失踪と貧困地区での暴動を絡めて、ひねりのきいた展開で読ませる。私の好みとしてはいつものがいいけれど。
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英国ミステリの女王の新作。といっても翻訳の上でですが。
推理小説というよりパニックものだからか、翻訳する順番が後になったようです。
スリルと爽快感があり、面白かったですよ。
低所得層が暮らすバシンデール団地。
1950年代に建てられた団地は、しだいに孤独な老人や未婚の母と父親のいない子供でいっぱいになっていた。
通称アシッド・ロウ(LSD団地)というのは、麻薬がすぐに手に入るという意味なのだ。
医師のソフィーは、金持ちが住む街での診察よりもむしろ生きがいを感じていた。
同じような悩みを抱えつつも必死でそれを隠そうとする上流の人間よりも、あっけらかんとたくましい人々に必要とされるほうが付き合いやすかったのだ。
ソフィの患者の一人で未婚の母のメラニーは白人だが、恋人ジミーは黒人で以前の罪で服役して出所したばかり。
大男のジミーは育ちから当たり前のようにぐれて、今も見た目は黒服にゴールドのアクセサリーでいかにも犯罪者だが、メラニーとの間に子供が出来てから1年は改心して真面目に働いていた。
バシンデール地区に小児性愛者が引っ越してきたと情報をもらした人間がいて噂が広まり、近くの団地で10歳の少女エイミーが行方不明になったことから、抗議のデモが始まる。
小さな子供の多い地域から危険人物を追い出そうとするのだが、実際には大人しく、未成年との交際があっただけで、そういう危険のある人物ではまったくなかった。
暴動は酒に酔った2千人の若者が押しかけてバリケードの中に立てこもる状態に発展してしまい、最初にデモを思いついたメラニーらが止めようとしても止まらない。
ソフィーは事情を知らないまま診察に行って、暴徒に囲まれた父子の人質にとられてしまう。
一方、少女エイミーを待ち続ける母のローラ。
弁護士でずっと年上の支配的な夫とは離婚したが、恋人とも別れ、別な男の元に身を寄せている。
ローラとエイミーの家庭の破綻ぶりも、なんともリアルで複雑。
エイミーの周囲の怪しい人物も、危険人物と目された息子と息子よりずっと危険なその父親も、一筋縄ではいかない屈折を抱えた人間たち。
予想される胸の悪くなるような話にはならないのがさすがウォルターズだが、これはこれで軽くはないというのがまた。
天使のような顔をした不良少年ウェズリーは、薬で興奮した状態で暴動をあおる。
恋人メラニーを助けようとして暴動に巻き込まれたジミーは、携帯で警察と連絡を取り、事態を救う重要な役目を期待されることに。
血だらけの大男ジミーを救うか細い老婦人(元看護師)の活躍も。
第7作「蛇の形」と第9作「病める狐」の間に発表されています。
ほぼ毎年、こんな力作を発表しているとは。
2001年の発表当時、犯罪を起こした小児性愛者の名前を公表するという問題が起きていたんですね。
混同された無関係な人が攻撃される事件が、現実にも起きたばかりだったよう。
骨太な作品ですが、緊迫した様子がテンポよく描かれ、ユーモアもあり、気丈なソフィーと気のいいジミーの活躍で、読後感はいいですよ。
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団地で起きた暴動と少女の誘拐の話が平行して語られる。
いかに人はいい加減かということや、集団の怖さが、それぞれの立場で緻密に描かれていてとにかく濃いです。
小説版「24時間」って感じ。
きっかけは、無責任な人の一言だったんだけど、それが転がっていくというか延焼していくさまがとにかく怖い。
救いが全く見えない状況で、団地の、そして家の中の、閉塞感が半端なかった。
だからこそ、最後がいきてくるんだけどね。
いやあ、ウォルターズ、やっぱりすごいです。
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ミネット・ウォルターズの本は初めて読んだが、最後に救いがあって良かったと思う。
悪意のある一言が引き金になってもたらされた事件。
悪いことに悪いことが重なって、落とさなくてもいい命を落としてしまったことは、とても残念。
他の著書も読んでみたい。
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登場人物が多すぎて、最後の方まで何をしているのか分かりにくかったですよ。翻訳の問題かもしれませんが〜 最後の方でようやく何とか筋が分かった次第ですよ ミ(`w´彡)
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久しぶりのウォルターズ、堪能!静的な印象のあった作家ですが、どうしてどうしてこのスピーディでサスペンスフルな展開。一気読みでした。まあ、相変わらず読後感はどんよりなんだけどね( ̄◇ ̄;)…。でも今作は、ソフィーとジミーのその後がよかったので、ちょっと救われました。
人間、その行いによってのみ評価されるってのは、しみじみと同感。思っててもやらないのは、思わないのと一緒。今年最初の含蓄でした。
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遮断された住宅街でおこる暴動や殺人を描いた作品。
このような住宅地区を設定したストーリーが他にはないなと意外性はあるが、このミス一位というのはいまいち納得できない感じである。
警察がもっと早く対処できないものかともどかく思ったが、状況を把握できないと突入などはできないのだろうなと感じながら読んだ。
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『氷の家』『女彫刻家』などで有名なイギリスの女流ミステリー作家の英訳。以前とちょっと雰囲気の違った作品。低所得者層が住む閉じた団地で起こる、大暴動の1日。少女失踪という別事件も平行し、一気にラストへ。人種、家族、偏見などのテーマを背景に、「あり得る」話だと思うリアルさがある。
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視点が目まぐるしく変わるのでついていくのが大変だった。ショッキングな部分やスリリングな部分が興味を掻き立てたが、肝心の「何故」デモが狂った暴動にまで発展したのかが、分からなくて唐突感があり、入り込めなかった。