投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
山口二矢の名前は聞いたことがあったけど、事件も含めた詳細は殆ど知らなかったので非常に興味深く読めた。政治家に対する命を賭したテロルに時代を感じるが、被害者浅沼稲次郎もきっちり描かれているので読んでいて切なかった。
資料的な感じで最後まで読んだので、あまり高揚する感じでは無かった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
山口二矢烈士と、老政治家浅沼稲次郎双方の人生が交錯した「一瞬」を細かく描いたノンフィクション作品。
烈」という漢字には烈火、烈々というように激しさ、勢いの良さがこめられている。烈士とは、「激しい気性をもって、自分の信念を貫きとおす男子」を指すらしい。山口二矢烈士は十七という若さで、野党政治家である浅沼稲次郎を討った。そこには、純粋な国を愛する気持ち、憂える気持ちが交錯した結果だと思う。罪を起こした彼に賛同することはできないが、そこまでの行動力や純粋に国を思う気持ちには頭が下がる思いがした。山口二矢烈士の左翼への怒り、それとは同時に右翼への絶望はどのようなものだったのか。自分を奮い立たせ、起こした行動の結果残ったものは一部右翼、保守派からの賛美だけなのか。守りたかった国の未来はこんなものでいいのか。そこまでして残したものは何か私にはわからなかった。
読んでいて苦しかった作品でした。それは、私もまたこの国を憂えているからだと思う。今となっては、山口烈士のような人間は現れることはない。時代も変わった。なんだかなぁ、こんなもんかあ、と思う世の中だ。今は亡き若き志士に心から同情する。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
日本社会党委員長浅沼稲次郎と、テロによって浅沼を刺殺してしまった山口二矢の物語。17歳の二矢の純粋過ぎる生きかた、社会主義者として生きた浅沼稲次郎の苦悩の人生…、はっとさせられる描写の連続です。そして悲しい結末…。
沢木耕太郎20代最後の作品。ノンフィクションとしての内容と完成度(まとめられかた)もさることながら、20代でこの描写の巧みさ!というところがまた衝撃的です。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
GWで読み終わろうとしたらピンポイントでちょうど
のニュースが。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090503k0000m040074000c.html
平和とか進化とかいろいろ考える今日この頃です。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
山口二矢について皆さんはどう思っただろうか。私は今まで右翼の手先としか思っていなかった。しかし読んでみてどうだろうか。私は二矢少年は普通の学生だったのでは思った。ただ趣味が思想が右翼に片寄っただけなのではないか。
浅沼稲次郎は現代をどう思うだろうか。今の世の中は浅沼氏にとって物足りない世の中にと感じるのではないか。庶民のための政治家がいないだけでなく、変わろうとする庶民すらいなくなったからだ。
この二人が日比谷公会堂の舞台上で人生が重なり合うまでの刻一刻と迫りくる時間には手に汗を握ってしまう。当時の関係者や親族にかなりの時間割いたのだろう。とても生々しい会話、情熱が伝わってくる。
作者はあとがきで本は歳とらないと書いていた。現代の状況も考えるととてもよく分かる。
ノルウェーでもテロルにより多くの方が亡くなった。そして日本でもそんなに遠くない昔、テロが起こったことを忘れてはいけないはずである。しかし、この事件に関してはあくまでも過去の一件としか思われてない。ノルウェーにしろ、浅沼刺殺事件の当時は似ている部分がある。それは大衆の混乱なのである。ノルウェーは移民が多い国である。犯人はこう言った。「これからはグローバルと保守の戦いである」と。まさに日本も含めどこまでグローバル化していいのか思考している時代である。そして浅沼刺殺事件の当時は安保闘争であり、これからアメリカと一緒に生きていくことを決める日本の分岐点であった。
このように大きく時代が変わっている現在なのでこれから必要、心構えとしてこの本を読むべきなのでは思う。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
ノンフィクションってこんなにドラマチックに描けるんだ!と感動した本。
私は沢木耕太郎さんの本は深夜特急から入ったけど、この本を読んでその力強さに驚いたことを覚えています。
その力強さと丁寧さ、そしてわかりやすさで描ききっており、この本を読んだ後、私はしばらくフィクションが読めなくなりました笑
私とノンフィクションを本格的に出会わせてくれた大切な一冊です。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
日本もかつては多くのテロがあった。幕末、明治、戦前、戦後と、一人の要人を暗殺することで、何かが変わると思っているのか。
このノンフィクションは、テロによって殺した側と殺された側をそれぞれ描いたものだ。あとがきのところで、作者は、若い二矢が、もし若くして命を絶つことがなければ生きたであろうその後の姿を想像を出来ないという。彼は自らその生涯を終わらせてしまったわけで、自らも将来のことは考えていなかったのだろう。若者は夢を持ち、自らの将来を描くのだが、それは全くなかったのだろう。今の世の中もそういう夢がない若者が多い。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
これまた、読んでいそうで、実は読んでいない名作を読んでみようシリーズの一環で読んでみた。
沢木耕太郎の本は、好きな本と嫌いな本に分かれるのだが、この本は好き。ちなみに嫌いな本は、一言で言うとカッコ付けているやつ。
好きなのは、深夜特急とか。
恐らく50年程度前の話なのだが、真剣に政治活動をしている人々の姿を見て、今の自身の姿を反省した。
蟹工船のレビューにも書いたのだが、
今の人たち(一般人も政治家も)は、少しでも自分が得する事しか考えていない。精神的には乞食のようだ。
ほんの数十年前の話なのに、今と精神構造が大きく変わってしまったようだ。とても幼稚な方向に。
生活保護の不正受給なんて最たる事例だ。卑しさを感じるからニュースを見ていても気持ちが悪いのだろう。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
山口二矢に焦点をあてた作品であるかのように思えたが、
著者があとがきで記している通り、浅沼稲次郎の作品でもあった。
60年代という時代世相がどういうものであったか、
それを少しでも垣間見るための作品でもある。
山口と浅沼の両者を比較した場合、どうしても山口には共感できない。
浅沼のほうがより人間臭さが感じられてしまう・・・
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「深夜特急」のイメージで読み始めてはいけない。これはまったく異なる種類のもの。細かく調べてはいるのだけど、まったくもって単調な「記録」。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
1960年10月12日。東京の日比谷公会堂では自民党・社会党・民社党の
3党首による立会演説会が行われていた。
民社党委員長の西尾末広の演説が終わり、社会党委員長の浅沼稲次郎
が壇上に立つ。
会場の右翼からは凄まじい怒号とヤジが飛ぶ。警戒する警備陣の
隙をつくように、ひとりの少年が壇上に駆け上がった。その手には
鈍く光る刃物が握られていた。
演説中の浅沼委員長に体当たりするように、手にした刃物で刺殺した
犯人は山口二矢。当時17歳。
60年代安保の国会突入の際に亡くなった樺美智子が学生運動の象徴に
祭り上げられたように、二矢はこの暗殺事件を起こしたことで右翼の
なかで英雄として祀られることになる。
本書はテロの対象とされた浅沼稲次郎と、テロリストとなった山口二矢
のふたりの生い立ちから事件に至るまでを綿密に描いている。
「万年書記長」と呼ばれた政治家と右翼少年。立場も思想もまったく
異なるふたりだが、根底には愚直なまでの信念があったのではないか。
何故、殺されなければならなかったのか。何故、殺さなければならな
かったのか。61歳と17歳の人生は、「死」によって交錯した。
テロは憎むべきものである。しかし、本書で描かれている二矢には
少年期特有の青臭さはあるもの、憎しみが湧かない。それは彼が彼
なりに、この国を思った真っすぐさが感じられるからだろう。
そして、一方の浅沼稲次郎には救われなさを感じる。私を滅し、庶民の
為、党の為に尽くした政治家。与党からも、右翼からも個人としては
「善人」と評価された人は、その死によって惜しまれるどころか党内
からは死んでくれてよかったとまで思われる。
弾圧の時代の浅沼の軌跡は壮絶である。加えて2度にわたる発狂を経て、
やっと手にした委員長の座にありながら凶刃に倒れなくてはならなかった
とは。これが「運命」と言うならば、浅沼の運命は哀し過ぎる。
どちらがいいとか悪いとか、著者は一切の判断を下していない。
ふたりの人生を積み重ね、事件の背景を描き出したノンフィクションの
名作である。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
刺す方、刺される方、両者に等しい眼差しをあて、イデオロギー的に立場を取らず、クールに、しかし情熱的に文章を編んでいく。実に素晴らしいドキュメンタリーだ。ちょっとした一文が優しく、かつ重い。
浅沼は幼少の一時期を除いて、血のつながった人間との「狎れ合った」関係の中で生活したことがなかった。義母という他人、友人という他人。結婚しても子供が生まれなかったから、彼の身の回りには妻という他人、幼女という他人、秘書という他人しかいなかった。234ページ。
みたいな、ちょろっとでてくる、どきりとする文章が。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
若きテロリストと、その対象となった者の双方を、等しく取り上げ、理解しようとする。それによって、この一瞬の出来事を立体的に描くことに成功している。
素晴らしいドキュメンタリー。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
1960年、左翼の運動が盛んだったころの話。17歳の少年・山口二矢(やまぐち・おとや)は、共産主義(左翼)が日本を滅ぼすものだと断定し右翼活動に没頭する。そして、社会党委員長であった浅沼稲次郎を演説中に刺殺するという前代未聞のテロ事件を引き起こす。
この作品では、山口二矢が事件を起こすに至った心理描写や浅沼稲次郎の政治人生が克明に読み取ることができる。山口二矢という少年は、おそらくとても純粋な少年で、当時流行だった左翼の偽善や暴力性がどうしても許せなかったのだろう。また、右翼団体の腰の重さにも次第に絶望し単独での凶行に踏み切る事になる。その凄まじいまでの行動力。
その後次第に左翼が勢力を失っていった事を考えれば、この17歳の少年が少しは歴史を動かしたと言えるかもしれない。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
政治家の浅沼稲次郎さんと、その浅沼さんを殺害した山口二矢の物語ですが、それぞれの心理的情景と行動、そういう行動を生み出す時代背景がとてもよくかけていると思いました。
まだ自分が生まれる前の時代になりますが、戦争が終わり、戦後の高度成長に移る時代で、国民が政治というものをいまよりもずっと真剣に考えていた時代であると感じます。
ソ連と米国の冷戦、それに中国という強大な国が日本をとりまくなか、国が左にいっても右にいってもおかしくない時代の雰囲気がよく伝わります。
今の若者が読むとどう感じるのだろうか?と、思わせる本でした。