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文藝春秋で連載されている,塩野さんの「日本人へ」というエッセイをまとめた3冊目の作品です。東日本大震災前後の時期の作品がおさめられているので,地震の前後で変わった日本を取り巻く状況に思いを巡らせながら読んでいました。
イタリアや日本を取り巻く状況は変わっているのですが,その変化の中でも,塩野さんが主張されている内容は過去から大きくは変わっていないなと思って読んでいました。「ローマ人の物語」でのローマや,「海の都の物語」でのヴェネツィアのように,総合力をいかにして発揮するかということと,大きな問題に対しては,安定した基盤が必要という塩野さんの基本的な考え方は,いつの時代でも変わらないと思いますし,変化の大きい時代では,より重要なことだと思います。
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Kindle版を待つか悩む。イタリアと日本の政界のことと、大震災が中心。塩野七生の意見が常に正しいわけではもちろんないが、現代・日本のせせこましい考えも古代・ローマとか中世・ヴェネチアとか出されると、まあそんなもんかもなあ、となる。比較対象はより広くもちたいものですのう。
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塩野さんの3冊目。 今も文芸春秋で連載中。 この人の言うことは海外から見た日本なので、非常に客観的で日本の中の日本人ではわからない事をばんばん言っていることが非常に良い。自分にも当てはまることも多々有り、非常に考えさせられる。 母国語とはではやはり考えは日本人は日本語でしか考えがまとまらない、英語で会社の中はあり得ないなど結構痛快で有る。
震災後の日本についての対応が非常に歯がゆいだろうな。
権力の考え方も確かにおっしゃるとおり。 それを言うと今の安倍さんは権力者だけどリーダーなんか??今回の法案もなぜ今?と言うことでちょっと悪っぽいが。読んでみると非常に良いです。お勧め。
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20131110 歴史を理解すると今が見えるのだろう。説得力のある提言に聞こえるのも歴史上の事実の裏付けがあるからなのだろう。賢者は歴史から学ぶ。
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震災のこと、日本の政治、イタリアの政治など、すっきりしない世の中が何故すっきりしないのか、すっきりさせる為の方法などが、ギリシャ・ローマ等の歴史から語られています。
たまに同意しかねる意見も有りましたが、塩野先生の本質を見る鋭い洞察力には頭が下がります。
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”日本人”が外から見た”日本”ほど示唆に富んだものはない。
以下引用~
・勝ち続けながらも、一方では譲りつづけたのである。
ローマが主導して成り立った国際秩序でもある。
「パクス・ロマーナ」とは、この哲学の成果であった。
・要するに、「実力」には、客観性などないのである。「ヤレル!」と思った瞬間に、「実力」の方も上がってくる。
・楽天とユニコロという日本では誰でも知っている会社が、日本の中でも社内では英語オンリーと決めたと知ったときには、御冗談でしょうと一笑に付したものだった。
・・・想像力を自由に羽ばたかせたいと思えば、母国語にまさるものはない。
・指導者に求められる資質は次の5つである。
知力、説得力、肉体上の耐久力、自己制御の能力、持続する意志。
ユリウス・カエサルだけが、このすべてを持っていた。
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作者の男前の考えは痛快だ。
勿論、人それぞれ異論はあろうが、私のように浅学、不見識な者にとっては全てのページで、「なるほど、ごもっとも」、と感じてしまう。
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サクサクズバズバ、この人は本当に気持ちがいい。
「物事の細かい事ではなく本質的な部分を」「広い視野と長い目で」「確実に実行する」。簡単なことが一番大切だと。実際にそれができる人・できない人の違いは、結局「覚悟」ではないかという精神論に落ち着いている今日この頃。
一方で、考える事で自発的な過去から学ぶ事ができるのは人間だけ。それを促すのが、歴史の役割。過去にとらわれるのではなく、しっかり見つめることを恐れずに行うべき。
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イタリアと日本の情勢を比較して、最近の政治や経済について鋭い指摘をしている。が、各タイトルが時々に書かれたエッセイ調なので、手すきの際に書いた文章を寄せ集めた新刊書というチープさは否めない。
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著者による「文藝春秋」の連載エッセイの第3弾。2010年5月号~2013年10月号への掲載ということで、日本では東日本大震災から安倍政権のこと、イタリアではモンティ内閣とその後の混乱の様子と、著者の歴史見識を踏まえた見解が小気味いい。
日本の外からの視点での日本人への貴重なエールだと感じる。
13-170
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イタリア在住の立場から3・11後の日本を見て、エールを送る連載エッセイ。
著者が記録したローマ帝国は1000年以上続いたが、その期間、内乱も外部侵入もあったし、政治システムも君主制や民主制、独裁制、共和制とコロコロと変わった。そんな困難のたびにローマ人はリーダーを信じて、解決の努力を続けた。日本人が見習うべきはそんなローマ人の粘り強さとリーダーへの信頼だと、著者は説き、震災復興と復活した自民党政権に期待する。
ただし、著者はこうも言っている。民主制とは完璧ではない。優れた民衆が多く出れば、まとまった決断ができないリスクがある。それは衆愚政治であり、古代ギリシャが没落した原因でもある。日本人には、ある程度の独裁制を認める広い心を持つことも大事だと。
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しっかり自分の足で立ってるきりっとした人だなあと思う。
内容に関係ないけれど、送り仮名に違和感がある。
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この塩野さんの「日本人へ」のシリーズは、1作目の「リーダー篇」、2作目の「国家と歴史篇」ともに以前読んだことがあります。
本書は、その3弾目。現代社会の「危機」に対する構えについて、例のごとく塩野さん一流の歯切れのいい主張が紹介されています。具体的な内容は「文藝春秋」のコラムをベースにしたものなので、その時の世相を反映した小文の集合体という体裁です。採り上げられているテーマは、やはり、イタリアや日本を舞台にした政治的なものが多いですね。
さらに、本書では「東日本大震災という大災害に直面した日本の政治・社会」という切り口も加えられており、鋭い塩野節は、より興味深い内容になっています。
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日本に足りない視点は,自国を第三者の視点で客観視することであろう.日本国内のニュースで海外トピックが粗無いことがその証左である.そのような観点から,イタリアからの日本の論評と,日本から見たイタリアの論評は面白い.
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ちょっと題名と違う。イタリア人のはなしも多いし、日本の政治家に対する個人的な思いや希望という感じ。自身の職業上、政治家に人一倍強いリーダーシップを求めているようだけれど、ちょっと愚痴っぽかった。面白かったのは、民主政と衆愚政のくだり。頷けました。それにしても執筆中に政権が3度も交代したり、東北大震災があったりと短い間にいろいろとあったんだなと実感しました。