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ノックアウト!
2003/06/11 02:54
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投稿者:壱子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本には短編である表題作と「忘れじのレイドバック」、そして「クラブ・ハリケーン」という連作が収められている。
まず表紙が素晴らしく可愛く、でもちょっとサイケデリックな雰囲気はそのまま作品世界にも通じる。
全編をとおして描かれるのは、思春期(それが終わるものかどうかは別として)の女の子の不安定さ、そして男の子の不器用さ。その描写は「なんてこった」と言いたくなるくらいの絶妙さです。少女、と言う点では少し大島弓子のそれに通じるところもあるかもしれません。ここに描かれているのは、もう少しヘビィな現実の中を、しかし飄々と生きている少女達。
特に「クラブ・ハリケーン」での “ちょっとへん”な少年少女達の日々は、混沌の中にありながら誰もが体験するであろう「歯痒さ」や「切なさ」や「痛み」そして「愛しさ」が詰まっている。
そしてそれらに触れることで、一人きりでいられること、そして一人きりではないことの大切さや素晴らしさを思い出し、ちょっと解放されたような気もちになることが、私はできた。そうやって成長するんだよね、と。
「宇宙のおおきさを計算していて」ひきこもりだったというマス(数学のマス)というキャラクターが個人的には気に入りです。
そして見逃すことができないのが「あとがきにかえて」で、かわかみさんはコラム(?)がすこぶる面白いのです。
確実に、恐るべきスピードで進化を続ける少女漫画界の、次世代を担う一人だと思います。読んだ瞬間にノックアウト、意識を失う瞬間の気持ち良さに通じる?かわかみじゅんこ世界を是非。
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