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クラウドの浸透であったり、モバイルデバイスの普及、センサーからの情報収集技術等を踏まえて、重要技術として「ビッグデータ」「オムニチャネル時代の顧客分析技術」「DevOps」「NFC」「垂直統合システム」の5点が掲載されています。新サービスの可能性として「日本型データサイエンティスト」「BYOD」。
ビッグデータは興味ある内容でしたが、Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2013年 02月号 [雑誌] ビッグデータ元年と重複する内容も多かったです。解析、分析するだけでなく、何を分析するか企画し、業務を深く理解し、ストーリーを組み立てたり組織を動かす推進力。そういったものが重要になるという内容と理解しました。
DevOps は従来の開発と運用が分かれたやりかたの問題点から始まり、開発スピード向上などの目的を達成するために、組織編成から各種開発スタイル(アジャイル、スクラム、テスト駆動型開発、継続的デリバリ)やそれらを支援するソフト(Jenkins、Chef) が紹介されており、概要をおさえるには結構参考になると思います。
第4章に今後重要度が高いITと低いITについてアンケートを取ったランキングが載っており、雑誌等に載っている情報と実情との温度差が分かるデータでした。
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毎年、年の瀬に刊行される野村総合研究所のIT技術に関する定点観測。経時的な「ITロードマップ」と共時的な「情報技術マップ」でIT技術を捉えて、現状分析とともに、5年間のスパン、つまり2018年度まで、の将来予測をまとめている。自分も1年に一回知識の棚卸をするために毎年読んでいる。
内容は、5年後に向けてのITロードマップと重要技術の外観。過去の分析の振り返りも含まれているのはうれしい。総合研究所らしく、豊富で継続性があり過去と比較可能なアンケートの結果が活かされた分析になっており、信頼がおける。
そうした中、今年の重要技術としては、「ビッグデータ」、「オムニチャネル」、「DevOps」、「NFC」、「垂直統合モデル(ハイブリッド・クラウド等)」、「BYOD」が挙げられている。
「ビッグデータ」は、当然出てくるところ。「データサイエンティストが最も魅力的(Sexiest)な職業だ」ともてはやされて、過熱気味ではあるが、具体的かつ現実的にどのようにメリットをユーザと企業にもたらすのかというのが課題になっていると言っていい。ビジネス機会がある分野であることは確かだと思うが、それぞれの企業において、何をスコープ/目標とするかなどは多くの課題がある。5年後にどこまで利用されて効果を上げているのか効果的に予測しづらい分野でもある。コストに見合う比較的派手な成果を上げられる事例がいくつ出てくるのかがポイントではないだろうか。
データサイエンティストという職業・能力が注目を集めているが、本書では「日本型データサイエンティスト」というものを定義し、高いIT技術や統計処理知識を駆使して分析するスキルよりも、アクションを実行可能とするスキルが重要であると指摘する。いずれにせよ、指摘される通り企業のタイプにより必要とされソリューションは異なるということを学習する必要が今後出てくるものと思われる。特に意思決定がトップダウンでなく現場で行われる傾向が強い日本企業においては重要なスキルとなる、という指摘には同意である。
開発者と運用者が互いに協力してプロダクトを導入していくという「DevOps」という言葉は、この本で初めて聞いたが、概念や必要性自体は新しいものではない。開発管理においては開発と運用の利益相反とコミュニケーションの必要性はずっと感じていたことであり、少なからぬ努力も費やしてきたところだ。ここに来て注目されているのであれば、以前にも増してITシステムに開発速度と品質を求められるということがあるのだろう。このように、名づけられるということは課題が明確化されることであり、今後それに対する解決手段が提案されていくことに役に立つだろう。今も痛切に感じている問題であるが、開発の速度だけを上げても意味がなく、ビジネスプロセスと運用導入もプロセスも併せて速度向上と品質向上が必要となることも理解が進むべきである。ITロードマップでビッグデータなどと並べられてキーワードとして取り上げられるのは意外だが、特に部門横断での協力が必要になる概念でもあり、名づけられることでトップマネジメント層に課題意識が生じるのはよいことだ。
DevOpsはアジャイル開発と合わせて導���されることが多いとして、アジャイル開発の現状にも触れられている。アジャイル開発といってもいくつかの異なる手法があり、ウォーターフォール開発と上手く組合せていく必要がある。Wモデルやテストドリブン、リスクベースなどの多数の方式の中で、現状ではスクラム方式が50%を超えるほど圧倒的に最もよく使われている方式であることがアンケートの結果から出ているのは事実として知っておくべきことだと思う。
「NFC」についての記載も、簡単ではあるがあらためて勉強になった。スマートフォンにNFCが搭載されてくる(iPhone5sでは見送られたが)こともあり、注目されるべき技術であることは間違いない。日本特有の問題として、FelicaとTypeA/Bの互換性問題や、最も期待される決済においてNFC以外の手段が広がりつつあるという事情も考慮が必要だ。また、日本では2016年からマイナンバーの運用がはじまるという重要な契機もあることは意識しておくべきだろう。本書では2018年以降をNFC普及期として、さまざまなものにNFCが付けられると言っているが、現状では楽観的な予想のようにも思われる。
「垂直統合システム」とは、本書ではプライベート・クラウド構築(ハイブリッド・クラウドを含む)やビッグデータ分析基盤の実現である。OpenStackなどクラウドスタックの進化にも注意が必要だということだろう。SDNの分野は技術的にも進化が大きい分野でもあり、欧米の大手機器ベンダーはベンチャー企業を取りこむ形でラインナップを強化しているように見える。
本書でも大きく取り上げられている「BYOD」は、導入するかどうかは別にして、どこの企業でも今後検討と対策(セキュリティ面)が必要になるだろう。現状を考えると、相応のビジネスにもなるのではないかと思われる。
最後の章のIT技術に関する大規模企業アンケートの結果分析も重要である。実際のIT担当者においては、「アジャイル開発」、「スマートフォン」、「ビッグデータ」、「SDN」などが興味が高い要素になる。一方、「Windows8」や「BYOD」は関心は高いが、導入意向は低いことが伺える。そして喫緊の課題はWindows7への移行(Windows XPのサポート停止)、DR/BCPの対応、クラウド・コンピューティングの活用が挙げられる。大きく取り上げらた「ビッグデータ」や「BYOD」への導入意向は現状ではまだ高くないこともわかる。ただ、ビッグデータはスキルと成果の不測、BYODはセキュリティ懸念が大きいため、数年後には大きく導入が進んでいる可能性もあるだろう。
ということで、今年も棚卸し完了。
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多数の図表があるので、kindle white paperでは図表が大変よ生みにくいので、これはkindleではなく紙の本を購入。
こういう本だからこそ電子書籍のメリットを生かしたものを出せないのだろうか。
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ビジネスの将来に向けてICTの未来を展望、重要技術として、ビッグデータ、オムニチャネル時代の顧客分析技術、DevOps、NFC、垂直統合システムを掲げ解説、他にもデータサイエンティスト、BYODにも言及。
最後に、サーバー・ストレージ関連技術、OS/サーバーソフト、データベース、コンテンツ/ナレッジ管理/コラボレーション、フロント技術、ネットワーク・ネットワークアプリケーション、クライアント端末、セキュリティ、運用管理、開発ツール/開発方式に分類した、2013年度における技術情報マップが掲載、様々なテクノロジーの位置付けが分かって興味深い。
個々の解説は良いが、一冊の本としてのストーリーあるいは整合性が感じられず、通して読むのは厳しい。
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ビッグデータ、オムニチャネル・顧客分析、DevOps、NFC、垂直統合システム・次世代システムインフラ。データサイエンティスト、BYOD。