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ひとりで居酒屋(もちろんチェーンではなくて、個人経営の)に行きたいけどいけない私としては、書名を見て迷わず購入。残念ながら私の好みではありませんでした。
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書物や座学からは学べない大切なことを、居酒屋は教えてくれる――それを薀蓄的でも心得的でもなく、酒を呑む人のたしなみとして易しく諭してくれる本だ。それはつまるところ、人としてのりをこえず、他人との適度な距離感をつつましやかに保つ術をいうのであろう。p169の後ろから4行目からの1段落が光り輝いている。
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バンコクにも居酒屋はあるのだけれども、僕が住んでいるエリアは、日本人が多く住んでいる場所ではないので、あたりに居酒屋はみかけない。他のエリアにある居酒屋には、日本人同士で行くことはあるけれども、それもあまり頻繁というわけではないし、まして、「ひとり居酒屋」ということをすることはない。
でも、この本を読むと、それも悪くないな、と思えてくる。
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著者がお固い独文学者だけあって、タイトルほど気楽には読めなかった。
まあ、たかが居酒屋・されど居酒屋といったところか。
私たち以下の世代は居酒屋といってもほとんどチェーン店しか知らないのが普通だろうと思う。
その点では馴染みにチェーンでない店を持っているのは私の世代がギリギリだろうか。
とにかく、居酒屋に限らず、伝統的なお店についてその伝統的なアプローチをないがしろにしているのが私たち以下の世代なのだろう。
良くも悪しくも。
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居酒屋ひとり飲みのススメ。
ここでいう居酒屋とは、いわゆるチェーン店ではない。
ドイツ文学者のイメージしかなかった池内紀氏が実はこんな庶民派な居酒屋フリークとは。
なかなか面白いし、ついひとり飲みに行きたくなるような良書。
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フランツ・カフカやエリアス・カネッティやギュンター・グラスやヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの真髄を教えてもらった、敬愛する独逸文学者の池内紀が、まさか温泉以外にもこういう傾向の随筆を書かれるとは夢にも思ってみませんでした。
そう、それは・・・・・
♪ 地球の上に朝がくる その裏側は夜だろう・・・と歌う、川田晴久(戦前は義雄)とミルク・ブラザースのことを書いた『地球の上に朝がくる 川田晴久読本』以来の驚きかもしれません。
父などはよく、今は「つぼ八」だとか「笑笑」だとか、一杯飲むのも団体でしか行けやしない、と嘆いて、そのすぐ後に、ああ「時間ですよ」の中の篠ひろ子が女将さんでいるような落ち着いた小料理屋があったら毎晩でも通うのになァ、ですって。
随筆の名手でもある池内紀の居酒屋についての名文は、実体験のエピソードによって名作へと導かれたようです。
「はじめに」にこうあります。
◆居酒屋に人一倍親しむようになったのは、「二合半のおじさん」のせいである。三十代初めに出くわして、三十年近くつき合った。そしていろんなことを教わった。
◆「へー、どうぞ」
おやじが口をきいて扇子を差し出した。開くと品書きになっていて、湯豆腐三百五〇文、おでん三〇〇文、シラスおろし一七〇文などと並んでいる。店の作りと同じように値段も江戸にもどしてあった。
酒は山形の初孫。「二合半」は「こなから」と読む。辞書にあるとおり一升の半分のそのまた半分の二合五勺、酒量にからめてほどよく飲むべしの教訓がこめてある。だからといって二合半で打ち切りというのではない。主人が手ずから役者のように形よくついでくれる。初孫からサントリーに移ってもいい。おやじによると、ウィスキーは角がよろしい。グラスにそそぐ手つきが、年季の入ったバーテンさんのようにあざやかだった。
こちらが黙っていると、相手も黙っている。おかみさんはとりわけ無口なようで、おやじが話している間も、小さくうなずくだけ。そのうち木戸がきしんで顔がのぞいた。
「あいすみません、本日は早じまいといたしますので・・・」
やっと二人目の客だというのに、すげなくおことわり。すでによそで酒が入っている人は立ち入らせない。
へんくつだが、心をひらいた者には、こよなくやさしい。三十年もつき合うと、どんな人生を送ってきた人だか、しだいにわかってくるだろうに、いつまでも謎だった。
若いころ北海道にいたらしいこと、おかみさんが姉さん女房であること、歴史小説が好きだということ、それはわかった。
・・・これを読んでいると、自分も同じ店の近くの席に座っていて、一杯飲んでいる気になるのが不思議です。
この感想へのコメント
1.yuu (2011/09/19)
カフカや知らない独文学の名がレビューに見えたので、これはソッチ方面の難しい本かと思ってました。
昔、出張や一人旅でその街の小さな居酒屋を探して入りました。不思議と鼻が効き、亭主一人や夫婦で切盛りするお店で、美味しいお魚とお酒にありついたのです。
今は、普段の行動範囲で美味しいお酒の飲める、こじんまりとしたお店を持ちたいなと思うのですが、中々難しいものです。
2.薔薇★魑魅魍魎 (2011/09/19)
うちの家族は、宴会以外は家で飲みますが、父は、こんな美人がいる店は他にないからと惚気ていますが、原作の『マイ・バック・ページ』が映画化されて評判の映画/文芸評論家の川本三郎は、ブラッと旅に出たときは必ず昼間から蕎麦屋で一杯やるのが楽しみだといいいますから、まあ人それぞれですが、ひとりで飲みに行く醍醐味は、なんといっても未知との遭遇で思わぬ文学談義が展開されたりすることもあったりしますね。
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池内先生、うまいなぁ。
居酒屋本たくさん出ているけれど、あまり感心しない。
「元祖」と言われている(言われてない?)グラフィックデザイナーの方とか、物書きとしては素人の某重工メーカーにお勤めの方とか、恐ろしく文章が下手くそで、読んでいて胸がイタミまくりの方とか、いろいろと「居酒屋本」が出ているが、やはり違うなぁ、と。
「中央公論」連載の頃から、読んでいました。
なるほど、新書になりましたか。
読んでいて、楽しい。
具体の店は出てこないけれども、文章を読んでいて、行った気になってしまうのは、あるいは、猛烈に行きたくなるのは、作者の筆の技のなせる技なのでしょう。
あまりガツガツと居酒屋のことばかりにこだわらない、その語り口が本作の美質ではないかと。
どこの居酒屋なのか、どうでもいいことで。
大層おもしろうございました。
ちなみに私の一押しの居酒屋は・・・。
やめときましょう。
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今日も居酒屋が方々の町の片隅で慎ましやかに提灯を掲げている。よく知る店もよし、見知らぬ町の見知らぬ店もよし。酒に食べ物店主と客が織りなす独特の時間がそこにある。 そんなことを思い出しました。一人酒最高。
著者の経歴を見てみると、『ドイツ文学者、エッセイスト』とかかれており、僕自身はタイトルに惹かれて読んでいたので、こういうエッセイを読んでイイナと思うのは筆者と、偏屈だけど、心を開いた人間には優しい主人との交流。酒と肴。個人的には離れて久しいものがこの本にはあって、こういうものに出会いたいからこそ酒場を巡っていたんだよな、と。そんなことを思い出させてくれる一冊でした。
『飲み物は?』と聞かれ、『まずはビール』と答える。その注ぎ方にも一家言書かれてあって、多分、そういう機会がなければこの先覚えることはなかったろうな、などということを思い出してしまいました。
個人的に行きたい店は、チェーン店でもいいんですけれど、主人がおかみさんと一緒に切り盛りして30年。店の壁は脂ですすけているようなやきとん屋など、まず女性を連れてはいけないような店をいくつか連想したので、因果な自分のことを考えつつ、こういう品のいい居酒屋についての本も読んでみるとこれまた面白かったので、ここに紹介するしだいでございました。
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前書きみたいなとこが一番面白い
後はつまらないと思ったが後半盛り上がってきた
主人のこだわりが完璧主義すぎると客はつかれる
主人と仲良くなりすぎるのもつかれる
閉店少し前に追加注文するのは邪道
店の気配を感じ取れないのは失格
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ドイツ文学者の池内紀(1940-)による居酒屋哲学。エッセイ。
のれん、赤提灯、カウンターと小上がり、突き出しへのこだわり、メニューの書き方、そして主人と客あるいは客同士の人間風景。居酒屋という不思議な世界。実のところ、
酒の話はあまり出てこない。
いい酒飲みになるためには、居酒屋という空間をていねいに興味深く観察する必要があることを教えられる。
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これは具体的な居酒屋のガイドではない。居酒屋論である。居酒屋の分析はなかなか面白く、客であることの修行を思わせる。大人が分かる文化なのだ。
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ほんとに僕の親くらいの世代が営んでいる「飲み」の生態だなあという印象。
こういった飲み方を自分はやりたいとは思わないが、ある年代以上の人にとっては楽しくて仕方がないのはわかる。そういった意味で興味深い。
あとときおり出てくる分類が微妙。
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東海林さんの丸かじりシリーズのエッセイをいくぶん学術的にして新書にまとめればこうなる。日本の居酒屋文化を、店のしつらえ、店主、客、酒、肴それぞれに着目し、適切な分析により愉快に考察する。確かに、こだわりを強く持ち、料理も店構えもきっちり仕上げた店があれば、工夫もやる気も欠落した店主が惰性でやっている店もある。当然前者が流行って、後者は閑古鳥かと思いきや、必ずしもそうでもないのが居酒屋の不思議。なるほどそうだ。居酒屋とは読んで字の如く、心休まる我が居場所となる酒屋でなきゃならない。家庭と職場に次ぐサードプレイスだ。
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図書館で借りてて、返却日前に飛ばし読みで。
割烹と小料理屋の違い等が面白かった。
他は飛ばしすぎて、あんまり残ってない。
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こんなタイトルで、一冊の本を出版するなんて、池波正太郎か。
とは言え、読み進めるごとに、頷かざるをえないな、こりゃ。
女性が懇意にするネイルサロンや美容院、果てはメゾンがあるように、酒呑みにも行きつけの店があるもんで。
たまには、違う店にも入り、あれが良いだの悪いだの。
店も変われば、客層、料理、色んなものが変わるわけで。
ああ、酒場って良いですね。
最近のハマってるアテは、潤目鰯と銀杏です。
本書は居酒屋、割烹、小料理屋に特化されており、バー、パブなどには触れられておらず。今でこそのバルは、昔はスタンドって呼んでたんだなんて、いかにも赤提灯で横隣になったオヤジが言いそうなことも書かれていて、話の種にはなりそうな節が多々。