紙の本
新自由主義は民営化ビジネスをもてはやすわけではない
2015/09/16 09:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タヌ様 - この投稿者のレビュー一覧を見る
構造改革の旗を振った方で、規制緩和一直線路線は変わらない人である。それで済んだ時代が終わってもまだである。
郵政を分社民営化しても国民生活にどう影響しただろうか、上場による株式売買収入は財政にはプラスなだけでは困る。十分検証すべきと思う。
ただ何でも民営化ですむなら、組織非効率をマスコミに叩かせて世論を形成し民営化し競合企業やコンサルタントの手にゆだねるだけでは、政府の施策としてあまりに安易ではないだろうか。
国民生活のどう影響するかは地味な推定作業であり、マッキンゼー流にプリゼン資料ですますはなしではない。プラスとマイナスは必ずあるのだ。
むしろ民営化された分野に直ちに手を出すのは審議会系経済人の企業あるいあh米国企参入に「道を開く「民営化ビジネス」の露払いをしているだけではないか。
こういう路線はもう終わりにすべきだろう。新自由主義は政府が非効率であり民間の競争による効率性を優れたものとする考えだが。その帰結を振り返るも事も忘れてhなるまい。
投稿元:
レビューを見る
これだけ丁寧に解説しても、小泉改革が格差を拡大したとか、常套句を垂れ流す人が居る…改革も何も出来たもんじゃありません。
投稿元:
レビューを見る
ここでの新自由主義という定義は、リバタリアニズムよりは政府の役割を肯定する立場です。すべて市場に任せるということではなく、市場の失敗は認め政治が一定の役割を果たすことが前提です。ハイエク、フリードマンにちかい立場です。具体的には、資源分配における市場競争の重視、効率的な所得分配、公平な社会保障制度を柱にし、賢人政治や共同体主義への批判を含んでいます。
日本経済の課題に新自由主義の立場から、処方箋を提言しています。内容的には私にとっては自明なものばかりです。1940年体制、1970年体制を守ろうとしている抵抗勢力が多いためにこのようなまっとうなことが実現できないのは非常に嘆かわしいことです。新自由主義政党が結成され、政治の主導権を握る日が早く来ることを祈るばかりです。
投稿元:
レビューを見る
新自由主義は福田内閣以降、徹底的に批判された。その批判に違和感を感じてた自分にとって、ひとつの答えを知れた。全面的に同意できるわけではないが、今後の日本が経済発展を続けるために重要な政策が本書では述べられている。こんな今こそ、改革が必要だ。
投稿元:
レビューを見る
米国政府がモトローラの日本市場への進出を目指して強い圧力をかけたが、そのモトローラ自身が日本市場では全然ダメだった。そして今となってはグーグルに買収された。
経済活動のグローバリゼーションも賃金格差の要因となっている。貿易の相互依存度が高まるほど、輸出産業は生産規模を拡大させ、雇用や賃金が増加する。
官の規制があるところには、必ず業界の利権が生まれる。
米国企業に買収されるからTPPに反対というのは不思議な理論である。
投稿元:
レビューを見る
新自由主義の立場から雇用や社会保障問題についての記述がなされています。また、小泉政権時代の政策によって格差が生まれたと一般的に言われている論調に対しての反駁も述べられています。
投稿元:
レビューを見る
05年前後は、新自由主義という言葉の使い方そのものを巡る議論で批判に対応していた経済学者さんたちも、ついに開き直って新自由主義という言葉を使い始めた。ミネルヴァの梟の格言に従えば、それだけ経済学的な政策提案が斜陽の時にあるという事だろうか。TPPについての議論等もあるが、まあ内容は読む前から想像通りな感じ。いずれにせよ、規制緩和そのものを拒否する昨今の論調に一石を投じたいと言う義憤をひしひしと感じるので楽しみな感じ。
投稿元:
レビューを見る
もうちょっと深く書いてもよかったような……平清盛とか織田信長とか出てくると、ちょっと。経済財政諮問会議の議員だった人なので、一連の改革が何を目指したかというのは、わかりやすい。
投稿元:
レビューを見る
「新自由主義」批判への反撃の書。小泉改革は方向性が間違っていたのではなく、それが不徹底・中途半端だったとする。
経済学の考え方に慣れていない人は反発を覚えるかもしれないが、できれば政策の各論を語った6、7、8章を虚心に読んでみてほしい。著者の言うように、批判派の言い分の多くは、的外れで支離滅裂なものだ。
投稿元:
レビューを見る
小泉改革が格差社会の原因であるとしたり、行き過ぎた市場主義がリーマンショックなどの混乱を生み出したとする議論の矛盾や問題点を突きながら、本来の「新自由主義」は決して市場原理主義(自由放任主義?夜警国家論?)ではなく、政府の役割を無視するものではないという著者の主張は、普通の経済学者、あるいは経済学をちゃんと学んだ者にとっては、言わずもがなのことかと思う。しかし、世の中には俗論がはびこり、いまだ日本は長期停滞から抜け出せないのみならず、小泉改革のときに少しは前進した諸改革さえも後退させられている。
デフレの脱却をまず先に考えましょうとする議論とは趣を異にするが、現在の日本が直面する諸課題に対して徹底して新自由主義の視点から(すなわちまっとうな経済学の立場から)処方箋を書くとこうなるという議論は非常に明快で示唆に富む。
しかし、年金や医療、労働、農業等々とまっとうな処方箋を実行するにはあまりに既得権が強い分野が多すぎることも事実。政治の役割が今ほど重要な時期はないのだが、民主党現政権は……。
歴史的視点からの叙述は、やや(かなり?)粗雑なので、☆1個マイナス。平清盛や織田信長の話はともかく、1940年体制論と1970年体制論をともに受け入れる議論ははじめて読んだ。
投稿元:
レビューを見る
多くの本が文中で用いられ、内容を整理したり、思い返したり出来ます。
コラムとして、四代思想家について書かれてあり面白かったです。
4、5章は小泉改革について分析しています。
投稿元:
レビューを見る
小泉改革の基軸とされた「最も嫌われる経済思想」新自由主義を見直す本書では、市場機能を最大限活かし、生活を豊かにする政府の役割と一体的な思想として捉えている。労働市場改革の章で「同一労働・同一賃金、非正社員の待遇改善は新自由主義の論理」というが、雇用保障を揺るがせずにどう展開するかの提言がなく、ただ長期雇用、新卒一括採用を批判している印象。
投稿元:
レビューを見る
日経書評
小泉改革の評価と労働市場改革についての提言。八代氏はこの示唆深い政策提言が遂行されなかった理由を新自由主義的だとみなされたからと分析する。
評者は、上記の経済学者が共通認識として指摘する経済思想の範疇よりは、政治に近いところに問題の本質があると指摘。諮問会議の成果をうまく活用しなかったのは、民主、自由、いずれの党も相違ない。
投稿元:
レビューを見る
①戦前は欧米型市場経済。②1940年体制ではに終身雇用制等を盛り込んだ統制経済。③1970年体制では、「地域の均衡のある発展」を目指した田中角栄の社会主義体制。
これらの社会体制の変化を初めて知って驚いた。一つは欧米型市場経済が日本にあったことと。③の田中角栄の業績は良いものであるとして私の記憶にあったのだが、経済成長率を止めてしまい良くないモノであったということを初めて知って驚いた。年金制度、雇用等様々な点での提言を行っておられるが、全うな者ではないかと思われる。
TPPについては参加というお立場であるようだが、理由が規制を緩和し競争にさらす方が、日本の産業にとって競争力をつける意味で良いという主張と、アメリカからのサービス、医療分野等での侵攻を受け付けないとする人たちへの反対意見として、一度日本も車等でアメリカ市場に殴り込んだではないか、アメリカが同じことをして何が悪いという主張をされていたが、お互いにどれほどのインパクトがあったかまたあるかを記載していなかったため、若干不安を感じた。
全体的には政府の影響力を小さくして行功とする類いの本である。
投稿元:
レビューを見る
批判的に語られることの多い「新自由主義」について、具体的な政策課題に当てはめて考えることで、新自由主義に対する誤解を解こうという本。平清盛や織田信長を持ち出して新自由主義こそ日本の伝統と言い出すなど?な部分もあったが、政府の役割は市場の補正であり、政策では適切なインセンティブ付与が重要といった本書の趣旨には概ね納得。年金改革、医療改革、固定資産税改革など具体的な政策課題への方策も頷けるものが多かった。