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子どものころの記憶の中でいくつか鮮明に覚えているニュースがある。アポロ11号の月面着陸、沖縄返還、日中国交正常化等々である。
そのうちのひとつ、日中国交正常化について、政治家、官僚が国外・国内とどう交渉してきたかを、十分な資料とインタビューで解き明かた本がこれである。
周恩来、姫鵬飛、田中角栄、大平正芳、橋本恕、栗山尚一といった政治家や官僚が、賠償問題、尖閣問題、台湾との関係、アメリカとの関係、自国民・他国民を背後においたまま、どのようにぎりぎりの交渉を進めていったのかがわかる。ものすごくスリリングなドラマだ。しかも、自分の認識のある時代の出来事というところにリアリティーを感じる
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日中国交正常化において、キーマンとなった田中角栄、大平正芳、そして官僚たちの動向を、インタビューや資料を通して定性的に分析。
ニクソンショックや国交正常化3原則など、当時の状況について知識を整理できた。田中といった当時の主役の活き活きとした描写は、読んでいて楽しい。
そして、条文の一言一句にどれほど各国が神経をすり減らしているかが、交渉の流れを見てよくわかった。
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日中の国交正常化について田中角栄首相、大平正芳外相(いずれも当時)ら政治家と官僚のドキュメンタリー。
国交回復の前提と台湾との断交、国内の反対、そして1978年の日中共同声明にいたるまでの過程を資料と当事者(主に官僚)のインタビューから再現している。途中問題が起こり、日中、日華が一触即発になっても田中と大平は官僚をうまく使いこなし、官僚も実務と工作に明け暮れたことが肉声でよくわかった。一方で中国側の声も書かれているので、日中双方の認識がわかる。
他の方のレビューの通り、日中の国交回復に反対した台湾を除き、アメリカやソ連など近隣諸国の見解を知りたかった。現在も日中の問題は山積しているが、真の「政治主導」とはこういうことかと感じた。
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外交と国内政治の「2レベルゲーム」っていうのがよくわかりますね。もうちょっと内容濃かったらよかったかな。
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日中国交正常化について、その立役者である田中角栄、大平正芳、外務省官僚たちの人物像を掘り下げて詳述している。
日中国交正常化ってこんなに大変なことだったのか、と感嘆した。これは、今の某政権の方々にはとてもできないのではないかというハイレベルな外交交渉ではなかろうか。
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大変勉強になった。学者の著作としては,すこし劇画調なきもするが,であるが故に読みやすかった。
外務省の中で誰がどのような役割を担ったのかについて,また,国際的な交渉での交渉当事者の胆力と事前の準備の必要性についてが伺える作品。
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大変濃い内容。これらの過去を知らずに今のそれぞれの国との関係を語ることはできないと思う。このような本を題材に学校の授業をすればいいと思うのだが。
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【54冊目】前々からちゃんと知りたいと思っていた日中国交正常化。その過程を追った本。歴史の今日的な意味・教訓を得ることに主眼を置いた構成となっており、かなり勉強になる。中国に関するニュースの見方が変わった。
メモ:日中米における台湾問題の重要性//ご迷惑スピーチ//自民党内の親中派と親台派の対立。何かを成そうとするとき、敵は外にだけいるわけではない。//田中首相と大平外相の役割分担。特に、田中の大平への任せっぷり。//日米関係を主軸とする日本外交←アメリカの影
本当に勉強になる良書!新書だから、「深く知りたい」「もっと知りたい」という欲求には応えられないという短所はあるけれど。
だけど、大体の正常化の過程はつかめると思う。正常化の今日的な意義を読者に提示しようとする筆者の一貫した視点は、本書の読みやすさにかなり貢献しているように思う。
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オーラル・ヒストリーをふんだんに使って、田中角栄と大平正芳のリーダーシップに焦点をあて、日中国交正常化の過程を描いている。多方面への気配り・配慮の重要性、政治においては「言葉遊び」も大切であることなどを再認識。
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外務省記録、インタビュー、その他の膨大な関係資料を駆使して、日中国交正常化の立役者である田中・大平・官僚たちに焦点を当て、その挑戦の舞台裏を探る。
本書の特筆すべき点は、なんといっても文章から伝わる圧倒的な臨場感だろう。筆者が後書きで「肉声が原稿に乗り移っていくような感覚」に初めて襲われたとこぼすように、資料と筆者の筆がこれ以上ないほどに溶け合っている。
また、本書は公文書の公開が30年の時差を持って公開されるいわゆる30年ルールの制約上、日本外交史研究の最先端だ。巻末の詳細な参考資料はどれも大変参考になる。
最先端にしてこの密度と完成度!!
まさにこれは著者の目指した「決定版となりうるような歴史研究」ではなかろうか。
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非常に面白かった。日中国交正常化にいかにして田中と大平が対応したのかがわかる。そして、それを実現するのは両者のリーダーシップに強くよることが明らかにされている。読後感は非常にすっきりとしたもpのであったが、現在の政治家が非常に小さく見えた。
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日中国交正常化を膨大な史料を基に、新書ながらドキュメンタリー風に描いた労作。
田中角栄首相、大平正芳外相の「大角コンビ」を中心にして、官僚と協力しながら国交正常化の道を拓いたことがよくわかる。
決断し責任を取って実行する田中、準備の周到さと思慮深い思考の大平。筆者はふたりをそれぞれ「決断実行型リーダーシップ」「熟慮調整型リーダーシップ」とし、優れた指導力を評価している。また知識を持ち下支えをした官僚たちの大切さも忘れない。「田中と大平の指導がなければ、いつ中国と国交正常化できたかわからない。二つのリーダーシップが共振して官僚たちを使いこなしたとき、ようやく国交は樹立されたのである」(p.217)。
個人的には、日中国交正常化というのが日中の間の問題というより、日本にとっては台湾また国内の問題として、一方中国にとってはソ連との問題として強く現れていたというのが興味深かった。つまり前者は1952年日華平和条約との整合性ー中国と国交を開くことがそのまま台湾との国交を断絶することになるー台湾への配慮の問題として。後者はソ連への脅威の対抗の問題として。
また外交というものが、声の大きな者が勝つというものでなく、お互いの面子をいかに立て、納得したかたちで収めるというものであることが確認できよかった。
現代日中の交流のスタート点である国交正常化なので、基礎教養として読んでおいてよい一冊だと思う。
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良書。昨年5月初版。昨今の政/官/民の閉塞感の中で、徒にそこと比較することなく淡々と当時を説き起こしていることが逆に迫力のある内容に。書の最後で、田中角栄の秘書官だった小長啓一氏は政治家のリーダーシップを「企画構想力」「実行力」「決断力」「人間的包容力」の4要素と述べる。私なりにはこの本を読んで「洞察力」「信念」「果断実行」と整理した。
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こういった本はいつも途中で投げ出してしまいますが最後まで興味深く読めました。
読みやすく面白かったです。
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田中角栄、大平正芳と、あのころの日本は存在感のある政治家がいたんだなと、痛感。あのころのはなたれ小僧に将来の夢は、と問えば、野球選手とともに総理大臣っていう声があったような気がする。政治に政治家にまだ希望のあった時代なのかもしれない。